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Cinema 月明かりの映画館

夜の伝説 マダム・クロード

Madame Claude

2021映画フランス

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

1960年代パリで最も強力な高級娼婦網を仕切った女と、彼女を揺るがす弟子。

1960年代の終わり。フェルナンド・グルデ、通称マダム・クロードは、パリ16区を拠点に、街でもっとも高級な娼婦の組織を仕切っている。貧しい地方に生まれ、産んだ娘を母に預けてパリに出てきた女だ。男は女を娼婦のように扱う、だから自分は娼婦の女王になると決めた、と彼女は言う。抱える女性たちの客は政治家、有名人、そしてギャング。クロードは代金の3割を取り、耳にした秘密を警察や情報機関と取引し、身の安全はギャングのジョー・アティアに頼っている。パリに呼び寄せた母と十代の娘は、彼女の生き方を拒んで去っていく。

裕福な家の出の若い女性シドニーが、働きたいと訪ねてくる。教養があり、頭の回転が速く、そして子どものころ自分に性的虐待を加えた外交官の父から逃げてきた彼女は、ほかの女性たちとは違っていた。クロードは彼女を雇い、誰よりも信頼するようになる。そのあいだにも足もとは揺らいでいく。政府中枢にまで及ぶ殺人スキャンダル、マルコヴィッチ事件が、警察と政治家を警戒させる。情報機関のセルジュはクロードの女性たちを汚職官僚相手の秘密任務に送りこみ、シドニーの父とも通じていることがわかってくる。クリスマスの晩餐で、シドニーは父を問いつめ、その顔に水を浴びせる。翌朝、クロードは命を狙われ、ジョーからは、きみは見捨てられたと告げられる。館は閉鎖に追いこまれ、彼女は田舎に身を隠す。

父を告訴するつもりだと告げに来たシドニーに、クロードは、誰も気にしない、と言って追い返す。脱税で追及されたクロードはアメリカへ逃れる。妊娠を打ち明けてきた娘を突き放し、置き去りにしたまま。フランスへ強制送還されると、小さな規模で商売を再開し、1992年、今度は女性の警察官の手で再び逮捕され、禁錮3年を言い渡される。シドニーは父を法廷に立たせ、勝訴する。クロードに残した伝言で、彼女は、あなたが誰をも、自分自身をも傷つけるように、私も傷つけられるのが怖くて離れたのだと語り、感謝を伝え、愛していると告げる。最後に映るのは、白髪になったクロードが海辺を歩く姿だ。

主な出演

  • カロル・ロシェマダム・クロード(フェルナンド・グルデ)役

    貧しい地方から成り上がった娼館の女主人。パリの権力者たちに恐れられ、頼られながら、誰にも心を許さない。

    マダム・クロード(フェルナンド・グルデ)の物語

    クロードは、産んだ娘を母に預けてパリに出てきた。1960年代の終わりには街でもっとも高級な娼館を営み、代金の3割を取り、警察と秘密を取引し、ギャングのジョー・アティアに守られている。呼び寄せた母と十代の娘は、彼女の生き方を拒んで去る。そんな彼女が初めて心から大切に思う相手が、シドニーだ。シドニーが父の顔に水を浴びせた翌朝、クロードは命を狙われ、ジョーには見捨てられたと告げられ、館は閉鎖される。父を訴えると告げに来たシドニーを、誰も気にしないと言って追い返す。脱税で追われてアメリカへ逃れ、妊娠した娘を置き去りにしたまま送還され、商売を再開して、1992年に禁錮3年の判決を受ける。白髪の彼女は、海辺を歩いている。

  • ガランス・マリリエールシドニー役

    外交官の娘。幼いころ父から性的虐待を受け、クロードの組織に加わって、彼女のいちばんの側近になる。

    シドニーの物語

    シドニーは教養があり頭の回転が速く、父から逃げるようにクロードの館を訪ねてくる。客たちの世界の作法を知っていると売りこんで雇われ、やがてクロードの右腕になる。幼い彼女に性的虐待を加えた外交官の父が館に乗りこんでクロードを脅し、情報機関のセルジュもその父と通じているとわかる。クリスマスの晩餐で父に償いを求め、その顔に水を浴びせる。翌朝クロードは命を狙われ、彼女を責める。父を訴えると告げても、クロードには誰も気にしないと追い返され、警察には娼婦の話など誰も信じないと言われる。それでも数年後、父を法廷に立たせて勝訴する。クロードへの伝言で、傷つけられるのが怖くて離れたと語り、感謝を伝え、愛していると告げる。

  • ロシュディ・ゼムジョー・アティア役

    パリに出てきたころからクロードを守ってきたギャングで、古い友人。

  • ピエール・ドゥラドンシャンセルジュ役

    情報機関の人間。クロードの女性たちを秘密任務に使い、シドニーの父とも通じている。

この作品が問いかけるもの

『夜の伝説 マダム・クロード』は、男は女を娼婦のように扱うという苛酷な現実を、逆に稼ぎに変えようとした女の物語だ。女が経営し、権力者を客とし、ほかの女たちの体の上に成り立つ商売。それが守られたのは、国家の役に立つあいだだけだった。映画はこの世界を華やかには描かない。差し引かれる取り分、呑みこまれる暴力、警察との取引、そして実の娘に愛情を示せない創業者。その向かいに置かれるのが、制度に守られた父に虐待されたシドニーだ。彼女は変わりゆく時代を味方に、父を法廷に立たせる。ふたりの女のあいだには、当時にも今にも通じる問いが横たわる。閉ざされた社会で、セックスワークは女性にある種の力を与えたのか。それとも、別の主人を与えただけなのか。