愛人/ラマン
The Lover
Moonlightの読みもの
Books『愛人/ラマン』と、記憶が欲望を作り直す方法この一篇を読むストーリー
結末まで書いています。
1929年のサイゴン。フランス人女学生と裕福な中国人の男、鎧戸の部屋。デュラスは映画を否認した。
1929年、フランス領インドシナ。15歳のフランス人少女は、家族とともに貧しい暮らしを送っている。夫を亡くして心を病んだ教師の母は、役人にだまされて役に立たない土地を買わされ、蓄えを失った。兄のピエールは阿片に溺れて暴力をふるい、弟のポールは心を病んでいる。勉強好きで孤独な少女は、作家になることを夢見ている。
サイゴンの寄宿学校へ戻るためにメコン川を渡る渡し船で、少女は32歳の中国人の男と出会う。裕福な資産家の息子で、パリ留学から帰ったばかりだ。男は豪華な車で送ろうと申し出て、少女は17歳だと偽る。翌日、男は学校の前で彼女を待ち、中国人街に借りている部屋へ連れていき、ふたりの性的な関係が始まる。少女は15歳、男は32歳。映画はそれを秘密の恋として描くが、これは未成年者への性的虐待だ。ふたりはほとんど毎日会うようになる。男は少女を愛するようになるが、彼女は愛されたくないと言い張る。
関係を知った家族は怒るが、やがて黙認し、男の金と贈り物で暮らすようになる。家族の侮蔑に傷つき、身動きのとれない立場に追いつめられた男は、少女に暴力をふるう。男の父は、白人の娘との結婚を決して許さず、何年も前に決められた資産家の娘との結婚を息子に強いる。ふたりの関係は壊れていく。
少女は船でフランスへ帰る。遠ざかる男を思い、船の上で彼女は、自分がどれほど彼を想っていたかを知って泣き崩れる。何十年ものち、作家として名を成した彼女のもとに、妻とフランスを訪れていた男から電話がかかってくる。ずっと愛し続けてきた、死ぬまで愛し続ける、と彼は告げる。
主な出演
ジェーン・マーチ少女役
インドシナの貧しく荒れた家庭に育つ15歳のフランス人の女学生。作家になることを夢見ている。
少女の物語
寄宿学校へ戻るメコン川の渡し船で、少女は32歳の裕福な中国人の男の車に乗せてもらい、17歳だと偽る。本当は15歳だ。翌日、男は彼女を中国人街の部屋へ連れていき、性的な関係が始まる。これは未成年者への性的虐待だ。男は毎日、車で学校まで送り迎えをし、彼女は愛されたくないと言う。母と乱暴な兄は男に食事の代金を払わせ、金を受け取りながら、中国人だと見下して口もきかない。父に決められた結婚から逃れられない男に、金のためだったと言ってくれと頼まれ、彼女はそのとおりに言う。フランスへ向かう船から岸壁の黒い車を見つけ、沖に出てから泣き崩れる。何十年ものち、作家になった彼女に、ずっと愛してきたと告げる彼の電話がかかってくる。
レオン・カーフェイ中国人青年役
パリ帰りの、裕福な中国人一家の32歳の息子。父の決めた結婚から逃れられない。
中国人青年の物語
メコン川の渡し船で、男はフランス人の女学生に気後れしながら声をかけ、車で送ろうと申し出る。少女は17歳だと偽る。翌日、男は彼女を学校から中国人街の部屋へ連れていき、性的な関係が始まる。32歳の男による、15歳の少女への性的虐待だ。愛されたくないと言う少女を、彼は本気で愛するようになる。食事の代金を払いながら少女の母と兄に見下され、傷つき、追いつめられて、少女に暴力をふるう。結婚させてほしいと父に懇願するが許されず、金のためだったと言ってくれと頼み、彼女はそう言う。彼は父の決めた資産家の娘と結婚する。何十年ものち、妻とフランスを訪れた彼は彼女に電話をかけ、死ぬまで愛し続けると告げる。
少女の母。夫を亡くした教師で、詐欺にあって財産を失い、男の金のために娘の関係を黙認する。
アルノー・ジョヴァニネッティ兄(ピエール)役
少女の兄。阿片に溺れ、妹と弟に暴力をふるう。
ジャンヌ・モローナレーション役
何十年もの時を隔てて、インドシナでのあの年を振り返り、物語を語る声。
この作品が問いかけるもの
『愛人/ラマン』は、撮影でアカデミー賞候補となった美しい映像で、ひとつの関係を恋として描く。だがそれは、はっきり言えば32歳の男による15歳の少女の性的搾取だ。その隔たりこそ、この作品がいま突きつける問題だ。映画はふたりを取り巻く力も見据えている。男の金で暮らす没落した植民地の一家、息子が白人の娘と結婚することを許さない父、そしてフランス領インドシナを貫いていた人種と階級の線。原作者デュラスは映画と距離を置き、これに応えて小説の別の版を書いたと語った。主演のジェーン・マーチは16歳のモデルだったときに見出された。性愛の場面をめぐるタブロイド紙の騒ぎは、誰よりも彼女に重くのしかかった。監督はのちに本物ではなかったと認めている。このような物語を、誰が、どう語るのか。