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Cinema 月明かりの映画館

フォトコピー

Photocopier

2021映画インドネシア

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

パーティーの記憶をコピー機の紙片から辿る学生。インドネシアの映画賞を席巻したが、共同脚本家が性的な不適切行為の告発でクレジットから外された。

スルヤニ、通称スルは、奨学金で大学に通う情報工学科の一年生だ。学内の劇団「マタハリ」のウェブサイトを作っている。劇団の舞台が京都の演劇祭に選ばれ、祝いのパーティーが、裕福な家の息子で劇作家のラマの家で開かれる。酒は飲むなと父に言われていたが、スルは出かけていく。翌朝、自宅で目を覚ますと、前夜の記憶がない。酔った自撮り写真が自分のアカウントに投稿されていて、奨学金の審査委員会は品行を理由に支給を打ち切る。明け方三時に彼女を送ってきた運転手が近所じゅうを起こしたことを恥じた父は、娘を家から追い出す。

スルは、学内のコピー屋に住み込む幼なじみのアミンのもとに身を寄せ、店のパソコンを使って学生たちの携帯から写真を抜き取り、あの夜を組み立て直していく。酒を手渡したタリクを疑うが、ラマの家の防犯カメラに映っていたのは、酔いつぶれて車へ運ばれる自分の姿だけだった。ラマの父は学費を肩代わりしようと申し出る。やがてスルは、ラマが「天の川」として見せていた写真が、人の肌の接写だと気づく。そこにあったのは自分のあざと、劇団を去った写真係ファラの入れ墨だった。アミンもまた、学生たちの私的な写真をラマに売っていた。

倫理委員会への告発は外に漏れ、ラマの家は訴訟をちらつかせ、父はスルにカメラの前で謝罪させる。娘を信じたのは母だけで、知人のシティの家に彼女をかくまう。そこへファラとタリクが名乗り出る。ふたりも薬を盛られ、ラマの写真の中にいた。三人をつなぐのは、それぞれを家まで送った配車サービスの運転手ブルハンだった。彼の携帯には、意識のない彼らの服を脱がせて体を撮るラマの姿が、ひそかに録画されていた。だがラマは消毒作業員を装った男たちを連れて踏み込み、携帯を奪って燃やしてしまう。

もう何も残っていない。スルとファラはアミンのコピー機を大学の屋上へ運び上げ、自分たちの証言と残った証拠を刷っては中庭へまく。タリクが加わり、ほかの学生たちも自分の話を手に屋上へ上がってくる。舞台の演出家アングンはラマの頬を打つ。裁きが下るのかどうかは告げられないまま、映画は終わる。

主な出演

  • シェニア・シナモンスルヤニ(スル)役

    奨学金で大学に通う情報工学科の一年生。記憶のない一夜のせいで、奨学金も家も失う。

    スルヤニ(スル)の物語

    スルは学内の劇団のウェブサイトを作り、その成功を自分のことのように喜んでいる。父の忠告を振り切ってラマの家の祝宴に出かけ、記憶のないまま朝を迎えると、まず奨学金を、続いて家を失う。周りの用意した筋書きを受け入れず、アミンのコピー屋で学生たちの携帯から写真を抜き取り、無実の相手を疑ったすえに、ラマの「天の川」の写真に自分のあざを見つける。告発は外に漏れ、父にはカメラの前で謝らされる。信じてくれたのは母だけだった。ファラとタリクとともに運転手の隠し撮りの映像にたどり着くが、その携帯はラマに燃やされてしまう。最後にスルは大学の屋上でファラと並び、自分たちの証言の写しを中庭へまき続ける。ほかの学生たちも次々に上がってくる。

  • チッコ・クルニアワンアミン役

    学内のコピー屋に住み込むスルの幼なじみ。学生たちの私的な写真を、ひそかにラマへ売っていた。

  • ルテシャファラ役

    劇団を去った写真係。彼女の入れ墨も、ラマの「夜空」の写真に使われていた。

    ファラの物語

    ファラはかつて劇団の写真係だったが、今は劇団を離れている。新入りのスルには、酒は飲むなと忠告する。スルの最初の訴えが劇団に知れると、タリクはファラの告げ口を疑い、ファラはそれを否定して距離を置く。ラマの「星」の写真の中には、彼女の入れ墨があった。別のパーティーで薬を盛られて服を脱がされ、遠のく意識のなかでシャッターの音を聞き、そのすべてを日記に書き留めていたのだ。スルが人前で謝罪させられたあと、ファラは味方にならなかったことを詫びに来て、タリクと三人で、それぞれを家まで送った運転手を罠にかける。ラマが証拠を燃やすと、スルとともにコピー機を屋上へ運び上げ、証言の写しを中庭へまき続ける。やがてほかの学生たちも加わる。

  • ジェローム・クルニアタリク役

    スルに酒を手渡し、最初に疑われた劇団員。彼自身も薬を盛られ、撮影されていた。

  • ジュリオ・パレングアンラマ役

    裕福な家に育った劇団の劇作家。学生に薬を盛り、その体の写真を作品に変えていた。

  • デア・パネンドラアングン役

    劇団の舞台の演出家。スルの最初の訴えを退けるが、最後にはラマの頬を打つ。

この作品が問いかけるもの

告発された男に金と弁護士と「芸術家」の評判があるとき、若い女性が自分の体について語る言葉はどう扱われるのか。『フォトコピー』が描くのはそれだ。先に罰を受けるのはスルのほうだ。酔った写真を品行の問題とみなす奨学金委員会、近所の目を恥じる父、告発を漏らす倫理委員会。映画は、訴えた者がいつのまにか裁かれる側に座らされていく過程を正確にたどる。薬物、隠し撮り、他人の体を「素材」にすること。罪はそこにあるが、より深い主題は、誰の言葉が信じられるのかだ。インドネシアのシトラ賞で12部門を受賞し、一作品の最多記録となった。配信開始の三日前には、製作会社が性加害の告発を受けた共同脚本家の名をクレジットから外している。結末は判決を示さない。示されるのは、大勢が同時に同じことを語りはじめる瞬間だけだ。