花と蛇 ZERO
Flower and Snake: Zero
ストーリー
結末まで書いています。
団鬼六原作、東映版第4作。SMと刑事もの。
刑事の雨宮美咲は、監禁した女性たちを縛って責め、その様子を生配信する違法サイト「バビロン」を追う捜査班の一員だ。アジトに突入して少女を救い出したとき、少女を責めていた女が、家出したきり行方の知れなかった妹の美冬だと気づき、美咲はとっさに彼女を逃がしてしまう。それ以来、声を変えてヨセフと名乗る男に弱みを握られ、サイトの情報と引き換えに、辱めの指示に従わされることになる。
「バビロン」の新たな囚われ人は、遠山静子。莫大な借金を抱えた夫が、サイトの手下の黒川に命を脅かされるのを見て、自ら身を差し出した人妻だ。静子を縛る若い調教師のエディは、彼女を痛めつけきれず、黒川たちから制裁を受ける。静子は、相手があなたでよかったとつぶやく。一方、夫が忙しく欲望を持て余していた主婦の瑠璃は、チャット仲間に教えられた配信に釘付けになり、自分の中の嗜好に目覚めて有料会員になる。美咲は、囚われた女たちが最後には殺される様子まで配信されていたこと、サイトの背後に政財界に顔のきく美術商マキムラがいることを突き止めるが、上司の馬場警部は捜査を打ち切ってしまう。警察病院では、美冬が保護された少女を殺そうとし、ふたりとも命を落とす。
静子の最後のショーに、美咲は志願奴隷として潜り込む。客席を買った瑠璃は、舞台のふたりを責める役を買って出て、自らも縛られる。エディと静子が観客の前で交わったあと、黒川が明かす。静子は高校生のときに強姦されて男の子を産み、里子に出していた。その子は調教師として育てられた。それがエディだった。ショーが美咲の処刑へと移ったとき、美咲は縄を解き、処刑役の男を殺す。飛び込んできた馬場が黒川を殺し、黒川は息絶える前に、本物のマキムラはとうに死んだと言って、無数の画面の向こうの視聴者たちを指さす。ヨセフの正体は馬場だった。エディもその場で命を落とす。
事件のあと、身ごもった静子はベビー服を縫っている。瑠璃は、失業して寝転がる夫に、そろそろ職安に行ってと声をかける。その夫は馬場だった。昇進した美咲の電話が、また鳴る。ヨセフと名乗る声だ。彼女の驚く顔を映す無数の画面の先には、パソコンに向かう瑠璃の姿があった。
主な出演
天乃舞衣子雨宮美咲役
闇サイト「バビロン」を追う刑事。現場で妹を逃がしたことで弱みを握られる。
雨宮美咲の物語
美咲は、現場で妹の美冬を逃がした代償を払わされる。声を変えてヨセフと名乗る男が、サイトの情報と引き換えに、辱めの指示に従わせるのだ。手がかりを追って静子の夫にたどり着き、囚われた女たちが最後には殺され、その様子まで配信されていたことを知る。上司の馬場は捜査を打ち切り、美冬は保護された少女を殺そうとして、警察病院で命を落とす。美咲はヨセフを通じて、静子の最後のショーに志願奴隷として潜り込む。ショーが自分の処刑へ移ったとき、縄を解いて処刑役の男を殺す。飛び込んできた馬場が黒川を殺し、美咲は、ヨセフの正体が馬場だったと気づく。事件のあと、美咲は昇進する。そこへまた電話が鳴り、ヨセフと名乗る声が聞こえてくる。
濱田のり子遠山静子役
夫の借金を返すため自ら「バビロン」に身を差し出し、監禁されて責めを受ける人妻。
遠山静子の物語
静子は、借金を抱えた夫の命を黒川に脅かされ、自ら「バビロン」に身を差し出した。なぜここにいるのかと問われても、言えないとしか答えない。彼女を痛めつけきれない調教師のエディが制裁を受けると、静子はその傷の手当てをしながらわけを打ち明け、相手があなたでよかったとつぶやく。借金の返済が終わるという最後のショーで、ふたりは観客の前で体を重ねる。そのあとで黒川が明かす。静子は高校生のとき強姦されて男の子を産み、里子に出していた。その子が調教師として育てられたエディだった。エディはその場で命を落とす。事件のあと、身ごもった静子はベビー服を縫っている。
桜木梨奈瑠璃役
チャット仲間から「バビロン」を教えられ、有料会員として配信にのめり込んでいく主婦。
瑠璃の物語
瑠璃は、夫が忙しく、欲望を持て余している主婦だ。チャット仲間から「バビロン」を教えられ、犯罪じゃんと顔を引きつらせながらも、画面から目を離せなくなる。自分の中の嗜好に目覚め、自らを縛って外へ出るまでになり、有料会員になる。静子の最後のショーの観覧席が募られると、すぐさま応募し、舞台のふたりを責める役を買って出て、自らも縛られる。事件のあとも、彼女はパソコンを手放さない。昼間から寝転ぶ失業中の夫に、そろそろ職安に行ってと声をかける。その夫は馬場だった。最後に、驚く美咲の顔を映す無数の画面の向こうで、パソコンに向かっているのは瑠璃だ。
辻本祐樹エディ役
静子を縛り調教する役目の青年。彼女を痛めつけきれず、心を寄せていく。
木村祐一馬場慶彦役
美咲の上司の警部。「バビロン」の捜査を途中で打ち切る。
この作品が問いかけるもの
この映画は、囚われる人妻をめぐる団鬼六の古い物語を、ライブ配信の時代へと移し替えた。シリーズで初めてヒロインは三人になる。囚われる女、囚える者を追う女、そして家で画面を見つめる女だ。もっとも鋭いのは、三人目をめぐる視点である。「バビロン」の女たちは、借金が人を志願者にするという意味でしか志願者ではない。そしてサイトの力は、金を払って見る人々から生まれている。マキムラの正体を問われた手下は、死に際に無数の画面を指さす。映画自身もその告発の外には立てない。非難する見せ物そのものでできているうえ、手放した息子が女を責める調教師に育てられていたり、刑事が自分の上司に脅されていたりと、ひねりは残酷さの上に残酷さを重ねていく。残るのは、見ることと加わることの境目はどこにあるのか、という居心地の悪い問いだ。