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Cinema 月明かりの映画館

花と蛇

Flower and Snake (2004)

2004映画日本

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

タンゴダンサーの妻を夫がヤクザの老人に差し出す。杉本彩の代表作。

遠山静子は世界的に知られるタンゴダンサーで、夫の隆義は遠山ビルの社長を務める若手実業家だ。だが静子は蛇の出てくる淫らな夢にうなされ、夫に触れられても何も感じることができない。裏社会の大御所で、95歳を超えて車椅子に身を置く老人・田代一平は、画面の中で踊る静子に目を奪われ、手に入れたいと望む。田代の意を受けたヤクザの森田幹造は、隆義が大臣に会社の金を渡す場面を収めた映像を突きつける。罪をかぶせて解雇した部下が持ち込んだものだった。逃げ道は妻を差し出すことだけだと迫られた隆義は、相手が体の不自由な老人だと知ると、大したことにはならないと自分に言い聞かせ、仮面舞踏会だと偽って静子を連れ出す。

目を覚ました静子は、仮面の観客に囲まれた舞台の上にいた。ピエロが司会を務める秘密のショーだった。運転手は目の前で殺され、ボディガードの野島京子も捕らえられて、レイプされ、拷問を受ける。京子を救うため、静子は従うしかない。服をはがされ、縄で縛られ、観客の前で犯される。夫に売られたことも知らされる。隙を見て静子とともに逃げ出そうとした京子は、殺される。やがて、後悔した隆義が彼女のもとにたどり着き、買い戻したから、もう一度やり直そうと泣く。意識の朦朧とした静子は、「して」とだけ答える。

ショーの締めくくりに現れるのは、田代その人だ。95歳の田代は彼女に性的暴行を加えるために運ばれてくるが、その途中で息絶える。静子は銃を手にして抜け出し、出口を求めて建物の中を逃げまどう。迎えに来た隆義は、銃で撃たれる。最後の場面で彼女は真っ白な部屋で目を覚まし、すべてが現実だったのか、それともまた見た被虐の夢だったのかは、最後まで明かされない。

主な出演

  • 杉本彩遠山静子役

    被虐の夢にうなされる世界的なタンゴダンサー。夫の手で、裏社会の大御所に差し出される。

    遠山静子の物語

    静子は浮いた噂ひとつない人気ダンサーで、夫に触れられても何も感じない。保身に走った夫に売られ、仮面舞踏会だと偽って連れ出された彼女は、仮面の観客に囲まれた舞台の上で目覚める。はじめは屈しないが、ボディガードの京子が痛めつけられると京子を救うために従い、夫に売られたと知らされて気力を失う。服をはがされ、縛られ、観客の前で犯される。ふたりで逃げようとした京子は殺される。泣きながら買い戻したと言う夫に、朦朧とした静子は「して」とだけ答える。田代は彼女を襲う最中に息絶える。静子は銃を手にして出口を探し、迎えに来た夫は撃たれる。最後に彼女は真っ白な部屋で目を覚まし、すべてが現実だったのかは明かされない。

  • 野村宏伸遠山隆義役

    静子の夫の若手実業家。贈賄をネタに脅され、保身のために妻を差し出す。

    遠山隆義の物語

    隆義は遠山ビルの社長だが、妻との夜はうまくいかず、朝から手の震えを酒で抑えている。大臣に会社の金を渡した映像を、罪をかぶせて解雇した部下の告げ口で森田に握られ、黙っていてほしければ妻を差し出せと迫られる。返事を保留して探偵に調べさせ、相手が95歳を超えた体の不自由な老人だと知ると、大したことにはならないと自分に言い聞かせ、仮面舞踏会だと偽って妻を連れ出す。自宅で目を覚まし、自分のしでかしたことの重さに気づく。目隠しをされて秘密のクラブに連れてこられると、舞台の上で犯されている静子を見つけ、男を引きはがし、買い戻したからやり直そうと泣く。最後に、逃げ出した静子を迎えに来たところで、彼は撃たれる。

  • 石橋蓮司田代一平役

    95歳を超える裏社会の大御所。車椅子に身を置きながら、静子を我がものにしようとする。

  • 遠藤憲一森田幹造役

    田代に仕えるヤクザの組長。隆義を脅し、妻を差し出させる。

  • 未向野島京子役

    静子のマネージャー兼ボディガード。ともにさらわれ、静子を従わせるために痛めつけられる。

この作品が問いかけるもの

『花と蛇』は、団鬼六の小説を原作とする1974年の日活ロマンポルノをリメイクし、東映が配給した作品で、日本の映画検閲の歴史における分水嶺と評されてきた。主流の娯楽作品として世に出た例がほとんどないほどの、性的な残酷さと裸体の描写を含むからだ。主演の杉本彩は緊縛師の有末剛と組み、前年にはセックスレスを理由に離婚したことを公に語っていた。映画は、混同されやすい二つのものを並べる。女性がひそかに抱く被虐の空想は、彼女自身のものだ。だが、保身のために妻を見知らぬ男たちに差し出す夫の行為は、彼女に対する犯罪にほかならない。画面の上で彼女になされることのほとんどに、同意はない。夢か現実かをぼかす結末はその両方を手に入れ、その空想がそもそも彼女のものだったのかは問わないままにしておく。