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Cinema 月明かりの映画館

セクレタリー

Secretary

2002映画アメリカ

465作品の星図のなかで見る

Journalでの言及

Journal考えているだけでは、自分が何を望むのかはわからない。

ストーリー

結末まで書いています。

精神病院を退院したばかりの女性が、上司に叩かれることが自分にとって最も健全だと気づく。

深刻な自傷のあと精神科病院に入院していたリー・ホロウェイは、フロリダの小さな町の実家に戻ってくる。父は酒に溺れて荒れ、母はそのことで父と言い争い、結婚したばかりの姉は夫とプールハウスに住んでいる。タイプを身につけたリーは、風変わりで要求の厳しい弁護士、エドワード・グレイの秘書になる。退屈な仕事だと言われても、彼女は、退屈な仕事が好きだと答える。

グレイはリーのタイプミスに苛立つが、やがてその従順さに欲望をかき立てられていく。彼女が自分を傷つけていることを知ると、二度とするなと命じる。ある日、ミスを重ねたリーを机に手をつかせ、尻を叩く。リーは興奮を覚え、ふたりは支配と服従の性的な関係に入っていく。リーは花開くように変わり、グレイを愛するようになる。だがグレイは自分の欲望を恥じて距離を置き、リーはわざとタイプミスをして彼を挑発する。そのかたわら、家族ぐるみの知り合いピーターと普通の恋愛も試みるが、セックスは生ぬるく、叩いてほしいと頼むと彼は戸惑うばかりだ。机の前でこれまでより踏み込んだ行為があった日、グレイは自己嫌悪から彼女を解雇する。

ピーターに求婚され、リーは気乗りしないまま受け入れる。だがウェディングドレスの試着中に飛び出し、グレイの事務所へ駆けつけて愛を告げる。迷うグレイは彼女を試す。自分が戻るまで、手も足も動かさずに椅子に座っていろ。リーは従う。ピーターが椅子から引きずり下ろしても彼女は席に戻り、グレイはその姿をひそかに見ている。家族や友人が入れ替わり訪れ、やめさせようとする者も、励ます者もいる。ハンガーストライキだと記者まで集まってくる。三日後、戻ったグレイはリーを二階へ連れて行き、体を洗い、食事をさせる。ふたりは結婚し、自分たちで選んだ関係を幸せに続けていく。

主な出演

  • マギー・ジレンホールリー・ホロウェイ役

    精神科病院を出たばかりの若い女性。上司の命令の中に、自分自身の欲望を見いだしていく。

    リー・ホロウェイの物語

    リーは中学に入ったころから、隠れて自分を傷つけてきた。電話の勧誘すら断れないほど気が弱い。弁護士グレイの秘書となり、退屈な仕事だと言われて、退屈な仕事が好きだと答える。自傷に気づいたグレイに二度とするなと命じられ、彼女はそれをやめる。タイプミスを理由に初めて尻を叩かれて興奮を覚え、そこから始まる支配と服従の関係の中で自信をつけ、彼を愛するようになる。わざとミスをして彼を挑発し、ピーターとは生ぬるいセックスしかできない。自分を恥じたグレイに解雇され、ピーターとの婚約を受け入れるが、ウェディングドレスのまま彼の事務所へ駆けつけて愛を告げ、手足を動かさずに三日間、机の椅子に座り続ける。戻ってきた彼と、ふたりは結婚する。

  • ジェームズ・スペイダーエドワード・グレイ役

    几帳面で風変わりな弁護士。秘書を支配したいと望み、同時にその欲望を恥じている。

    エドワード・グレイの物語

    グレイはすべてをタイプライターで打たせ、事務所で蘭を育て、人を寄せつけずに暮らす弁護士だ。雇ったリーのタイプミスに苛立ちながら、その従順さに欲望をかき立てられる。彼女の自傷を知ると、話を聞いたうえで、二度とするなと命じる。ミスを理由に尻を叩いたことから支配と服従の関係が始まるが、彼は自分の欲望を恥じ、何度も身を引く。これまでより踏み込んだ行為のあと、おぞましいと書いた手紙を細断し、彼女を解雇する。ウェディングドレス姿で戻ってきて愛を告げるリーを、彼は試す。戻るまで手足を動かさずに座っていろ。遠くから彼女を見守り、三日後に戻って体を洗い、食事をさせ、口ごもりながら愛を告げて、彼女と結婚する。

  • ジェレミー・デイヴィスピーター役

    家族ぐるみの知り合い。ふつうのやり方でリーとつきあうが、彼女の求めるものが理解できない。

  • レスリー・アン・ウォーレンジョアン・ホロウェイ役

    リーの母。口うるさく、夫の酒をめぐって言い争いが絶えない。

  • スティーヴン・マクハティバート・ホロウェイ役

    リーの父。酒に溺れて荒れ、彼女が戻った家に暗い影を落としている。

この作品が問いかけるもの

『セクレタリー』は、服従を望む女性の気持ちを、傷ではなく欲望として描く。リーは長いあいだ、隠れて自分を傷つけてきた。グレイの事務所で、痛みは分かち合われ、選ばれるものになり、映画の語り方では彼女の目覚めになる。結末がふたりに与えるのは、罰ではなく結婚だ。監督のシャインバーグは、主従の関係もふつうでありうると示したかったと語り、作品は2002年のサンダンス映画祭で審査員特別賞を受け、マギー・ジレンホールはゴールデングローブ賞の候補になった。一方で、上司と部下のあいだで、はっきりした同意なしに始まる関係を美化しているという批判もあり、のちに『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』と比べられもした。どちらの読みにも画面に根拠がある。残る問いは切実だ。ふたりが選んだ力の交換と、一方が拒めない力の差を、どう見分けるのか。