花と蛇2 パリ/静子
Flower and Snake II: Paris/Shizuko
ストーリー
結末まで書いています。
35歳年下の妻に秘められた情欲を見たいと願う年老いた美術評論家が、援助する若い画家を見極めさせようと、彼女をパリへ送り出す。
名前こそ前作と同じだが、物語はつながっていない。高名な美術評論家の遠山隆義は老い、35歳年下の最愛の妻・静子を夜の生活で満たすことができずにいる。ある日遠山は、亡くなった画壇の長老がひそかにコンピューターで描いていた春画を目にする。どれも、想像で描かれた緊縛姿の静子だった。その絵に触発された遠山は、妻の内に眠る情欲をこの目で見たいという倒錯した欲望にとらわれ、パリで不遇をかこつ若い画家・池上亮輔への援助を続けるべきか見極めてほしいと、静子をパリへ送り出す。
池上のアパートで、静子はモデルを頼まれ、服を脱ぐよう求められ、恥辱的なポーズを取らされるうちに、その時間にのめり込んでいく。やがて、縛られた静子を描いた油彩画が完成する。日本へ持ち帰ろうとする静子に、池上は絵の本当の価値を知りたいと闇市場への出品を持ちかける。静子は彼の妹・小夜子に付き添われて古城のオークション会場へ向かうが、そこに並んでいたのは自分をモデルにした春画の数々で、その一枚は池上の絵にそっくりだった。池上の絵が贋作ではないと身をもって示そうとする静子に、オークションを仕切る司祭は贋作との判定を下し、彼女は罰として、買い手たちの前で絵と同じ姿を取らされる。
ところが、すべては遠山が仕組んだことだった。老いて性的に衰えた彼は、まだ見ぬ妻の姿を引き出したい一心で、池上に静子の調教を頼んでいたのだ。静子はそれを夫の愛として受け入れ、薬の力を借りて夫と結ばれようとする。だが心臓に持病を抱えていた遠山は、その最中に息絶える。その後、静子の尽力で池上の絵は日本で評価される。彼の成功を見届けた静子は、亡き夫を想いながら、自らの体に贖罪の鞭をふるう。
主な出演
杉本彩遠山静子役
美術評論家の年若い妻。画家の才能を見極めるためにパリへ送られ、彼のモデルとなってのめり込んでいく。
遠山静子の物語
パリの池上のアパートで、静子はモデルを引き受け、服を脱ぎ、恥辱的なポーズを取らされるうちに、その時間にのめり込んでいく。彼の才能を信じて、縛られた自分を描いた油彩画を古城の闇オークションへ持ち込むと、そこには自分をモデルにした春画がすでに並んでいた。池上の絵が本物だと身をもって示そうとするが、絵は贋作と判定され、彼女は罰として買い手たちの前で絵と同じ姿を取らされる。すべてが夫の仕組んだことだと知ると、それを夫の愛として受け入れ、薬の力を借りて夫と結ばれようとする。夫はその最中に息絶える。池上の絵を日本で世に出した彼女は、その成功を見届けると、亡き夫を想いながら、自らの体に贖罪の罰を与える。
遠藤憲一池上亮輔役
パリで不遇をかこつ才能ある画家。夫の依頼とは明かさぬまま、縛られた静子を描く。
宍戸錠遠山隆義役
老いた高名な美術評論家。妻を満たせず、彼女の性の目覚めをひそかに仕組む。
遠山隆義の物語
遠山は高名な美術評論家で、35歳年下の妻・静子を深く愛しながら、老いた体では彼女を満たすことができない。亡くなった画壇の長老がひそかにコンピューターで描いていた春画を目にすると、どれも想像で描かれた縛られた静子の姿だった。それに触発されて、妻の内に眠る情欲をこの目で見たいという思いにとらわれる。援助を続けるべきか見極めてほしいと妻をパリの池上のもとへ送り出し、その池上には、ひそかに静子の調教を頼んでいた。絵の完成も、オークションでの辱めも、すべて彼の計画から始まっている。仕組んだことを知った静子は、それを夫の愛として受け入れ、薬の力を借りて彼と結ばれようとする。心臓に持病を抱えていた遠山は、その最中に息絶える。
不二子池上小夜子役
池上の妹。古城で開かれるオークションへ静子を連れていく。
この作品が問いかけるもの
『花と蛇2 パリ/静子』は縄も競売の場も引き継ぐが、本当の主題は、老いていく自分の体への男の恐れだ。遠山は、妻が求めていると思い込んだものを自分では与えられない。だから別の男にそれを彼女の中から引き出させ、その成果を美術品のように眺める。静子が自分の欲望について知ることはすべて、本人の知らない計画の内側で起きている。彼女がそれを愛として受け入れる以上、映画は観る者にもそう受けとめるよう求める。この作品がもっとも鋭く突きつけるのはそこだ。本人の知らないところで仕組まれた快楽は、本当にその人のものと言えるのか。絵画とパリの競売は、もうひとつの問いを重ねる。女性の体を描いた像は、いったん作られ、売りに出されたあと、誰のものになるのか。