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Cinema 月明かりの映画館

ピアニスト

The Piano Teacher

2001映画フランス、オーストリア

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

ウィーン音楽院の教授が生徒に“指示書”を渡す。女性の欲望を最も容赦なく描いた映画。

ウィーンの名門音楽院でピアノを教えるエリカは39歳。厳格で、周囲から一目置かれている。家では支配的な老いた母と、同じ部屋、同じベッドで暮らしている。父は長いあいだ精神病院で過ごし、すでに亡い。抑え込まれてきた欲望は、のぞき見やマゾヒズム、ひそかな自傷となって表れている。

ある夫妻の家で開かれた演奏会で、エリカはワルターという青年に出会う。工学を学びながらピアノを弾く魅力的な若者で、彼女と同じくシューベルトとシューマンを愛している。彼はエリカに師事しようと音楽院を受験する。演奏に心を動かされながらも彼女は反対票を投じるが、ワルターは合格し、あからさまに言い寄ってくる。母親に追い立てられて不安を抱える生徒アンナが彼と楽しそうに話すのを見ると、エリカはアンナのコートのポケットに割れたガラスを忍ばせる。手を切ったアンナは演奏会に出られなくなり、代わりにエリカが弾くことになる。

化粧室まで追ってきたワルターがキスをすると、エリカは主導権を握って彼を辱め、命令に背いたとたんに行為をやめて、手紙を書くと告げる。エリカの部屋で、ワルターはその手紙を読み上げる。縛られ、殴られたいという彼女の望みが並んでいる。嫌悪したワルターは、病気だと言い捨てて去る。その夜、エリカは同じベッドの母に覆いかぶさってキスをし、母に突き放される。

エリカはアイスホッケーの練習場にワルターを訪ねて謝り、身を差し出すが、体を重ねようとして吐いてしまう。その夜遅く、ワルターはエリカの家に来て母親を部屋に閉じ込め、手紙に書かれていたとおりに彼女を殴り、やめてと懇願する彼女をレイプする。

翌日、顔を腫らしたエリカは、演奏会場のロビーに立っている。家族と連れ立って現れたワルターは、何事もなかったように軽く挨拶して会場に入っていく。エリカは自らを傷つけ、会場を出て、街へ歩いていく。

主な出演

  • イザベル・ユペールエリカ役

    ウィーンの音楽院の厳格なピアノ教師。母と暮らし、欲望をひそかな儀式の中に閉じ込めている。

    エリカの物語

    エリカは音楽院で生徒を見下し、ときに残酷に扱い、夜ごと支配的な老母の待つ家に帰る。演奏会で出会った工学生ワルターの入学には反対票を投じるが、合格した彼はあからさまに言い寄ってくる。彼が生徒のアンナと笑い合うのを見ると、アンナのコートのポケットに割れたガラスを忍ばせ、弾けなくなった彼女の代わりに演奏会に出る。追ってきたワルターを辱めて主導権を握り、自分がされたいことを書いた手紙を渡すが、病気だと言われる。謝りに行っても、体を重ねることはできない。その夜、ワルターは部屋に来て母を閉じ込め、やめてと懇願する彼女を殴り、レイプする。翌日の演奏会場で、家族と笑いながら現れた彼に軽く挨拶されると、彼女は自分を傷つけ、会場を出て街へ歩いていく。

  • ブノワ・マジメルワルター役

    工学を学ぶ魅力的な青年で、才能あるピアニスト。エリカに言い寄るが、彼女の示す条件を受け入れられない。

    ワルターの物語

    ワルターは工学を学びながらピアノを弾く青年で、エリカと同じくシューベルトとシューマンを愛している。彼女の反対票にもかかわらず音楽院に合格し、あからさまに言い寄る。化粧室まで追ってキスをすると、エリカは彼を辱め、命令に背いたとたんにやめて、手紙を書くと言う。彼女の部屋で読み上げたその手紙には、彼女がされたいことが並んでいる。嫌悪した彼は、病気だと言い捨てて去る。練習場に謝りに来た彼女に愛していると告げるが、彼女は体を重ねられない。その夜遅く、彼はエリカの家に来て母親を部屋に閉じ込め、手紙に書かれていたとおりに、やめてと懇願する彼女を殴り、レイプする。翌日、家族と笑いながら演奏会場に現れた彼は、彼女に軽く挨拶して中へ入っていく。

  • アニー・ジラルドエリカの母親役

    エリカの老いた母。娘の暮らしを支配し、同じベッドで眠る。

この作品が問いかけるもの

『ピアニスト』は、一度も表に出ることを許されなかった欲望がどうなるのかを描く。エリカは母の支配と芸術の規律のなかで生きてきた。彼女の望みは、彼女を求めたただひとりの男をたじろがせる形をとっている。のちにノーベル文学賞を受けるエルフリーデ・イェリネクの1983年の小説を、ミヒャエル・ハネケはどちらの安易な読み方にも寄せずに映画にした。これは解放の物語でも、症例研究でもない。ワルターが手紙のとおりにふるまうとき、映画ははっきり示す。空想として書かれたことでも、本人の意に反して行われれば、それはレイプだ。2001年のカンヌ国際映画祭でグランプリを受け、イザベル・ユペールとブノワ・マジメルがそろって女優賞と男優賞を受けた。残るのは、誰にも望むことを許されなかった人が、どうやって何かを望むことを学ぶのかという問いだ。