イン・ザ・カット
In the Cut
ストーリー
結末まで書いています。
ニューヨークの英語教師と殺人犯かもしれない刑事。メグ・ライアンが露骨な欲望へと踏み込んだ寄り道。
ニューヨークで英語を教えながら文章を書くフラニーは、内向的な女性だ。教え子のコーネリアスとバーで会った夜、地下の化粧室へ降りた彼女は、薄暗がりで女が男にオーラルセックスをしている場面を目にする。見えたのは、男の手首に彫られたスペードの3と、女の青い爪だけだった。数日後、刑事マロイが聞き込みに来る。若い女性が殺され、その遺体の一部がフラニーの家の庭で見つかったのだ。
粗野で性的な言葉をためらわないマロイに、フラニーは怯えながらも惹かれていく。相棒のロドリゲスは、妻を殺すと脅したために銃の携帯を禁じられている。マロイの手首にもスペードの3の刺青があることに、フラニーは気づく。ある夜、帰り道で覆面の男に襲われた彼女はマロイを呼び、ふたりは体を重ねる。あとで、ブレスレットの飾りがひとつなくなっていることに気づく。フラニーはストリップクラブの上に住む奔放な異母妹ポーリーンに、すべてを打ち明ける。殺された女性があの夜同じバーにいたとマロイから聞かされ、フラニーは刺青を思い出して彼を恐れ始める。
二人目の犠牲者が出て、コーネリアスが取り調べを受ける。フラニーにつきまとう元恋人ジョン・グラハムは、ポーリーンを誘いたいと言い出す。やがてフラニーは、部屋で殺されたポーリーンを見つける。その夜、酔った彼女はコーネリアスにレイプされかけ、現れたロドリゲスに救われる。マロイは、犯人が被害者の指に指輪を残すこと、そして自分がポーリーンの部屋の鍵を持っていることを明かす。あなたが犯人なのかと問うフラニーを、彼は怒って帰らせる。
ふたたび体を重ねた夜、パイプに手錠でつながれたマロイの上着から、なくした飾りが出てくる。確信したフラニーは彼をつないだまま上着と銃を持って外へ出て、ロドリゲスの車に乗る。連れて行かれたジョージ・ワシントン橋の下の小さな灯台で、彼女はロドリゲスの手首に同じ刺青を見る。ふたりの刑事は、そろって同じ刺青を入れていたのだ。ロドリゲスはナイフの先に指輪をのせ、結婚してくれと迫る。フラニーは撃ち、首を絞めてくる彼に、もう一度引き金を引く。血まみれのまま家へ歩いて帰った彼女は、手錠につながれたままのマロイの隣に身を横たえる。
主な出演
メグ・ライアンフラニー役
マンハッタンで英語を教え、ものを書く内向的な女性。殺人事件と、それを追う刑事との関係に引き込まれていく。
フラニーの物語
フラニーは、異母妹ポーリーンのほかにはほとんど心を開かない。バーの地下で手首にスペードの3の刺青がある男を目にした数日後、女性の遺体の一部が庭で見つかったと、刑事マロイが訪ねてくる。粗野な彼に、彼女は怯えながらも惹かれる。覆面の男に襲われてマロイを呼び、ふたりは体を重ねるが、あとでブレスレットの飾りがひとつ消えている。被害者が同じバーにいたと知ると、同じ刺青を持つ彼を疑い始める。やがて殺されたポーリーンを見つけた夜、教え子のコーネリアスにレイプされかけてロドリゲスに救われる。マロイの上着から飾りが出てくると、彼を手錠でつないだまま、ロドリゲスの車に乗る。灯台で同じ刺青を見た彼女は彼を撃ち殺し、歩いて帰って、マロイの隣に身を横たえる。
マーク・ラファロマロイ役
事件を追う刑事。粗野で性的に率直な男で、手首の刺青がフラニーに疑いを抱かせる。
マロイの物語
マロイは相棒ロドリゲスと組んで殺人事件を追う刑事だ。庭で遺体の一部が見つかったフラニーを訪ねた彼は、あからさまに彼女を口説き、手首のスペードの3の刺青は秘密のクラブの印だと話す。襲われた彼女に呼ばれて駆けつけ、ふたりは体を重ねる。川べりへ連れ出して、銃の撃ち方も教える。ポーリーンが殺されたあと、犯人は被害者の指に指輪を残すこと、自分がポーリーンの部屋の鍵を持っていることを明かし、あなたが犯人なのかと問われて、怒って彼女を帰す。ふたたび体を重ねた夜、パイプに手錠でつながれた彼を残し、フラニーは上着と銃を持って出ていく。同じ刺青の相棒ロドリゲスを撃ち殺し、血まみれで戻った彼女が隣に横たわるとき、彼はまだ手錠につながれたままだ。
ジェニファー・ジェイソン・リーポーリーン役
フラニーの異母妹。ストリップクラブの上に住む奔放な女性で、フラニーがただひとり心を打ち明ける相手。
ニック・ダミチロドリゲス役
マロイの相棒。妻を殺すと脅したため、銃の携帯を禁じられている。
ケヴィン・ベーコンジョン・グラハム役
フラニーの元恋人。彼女につきまとい、ポーリーンを誘いたいと言い出す。
シャーリーフ・パグコーネリアス役
フラニーの教え子。連続殺人犯ジョン・ウェイン・ゲイシーに関心を寄せ、警察に疑われる。
この作品が問いかけるもの
『イン・ザ・カット』は、自分を傷つけるかもしれない男たちに囲まれた街で、ひとりの女性が自分の欲望を確かめようとする映画だ。ジェーン・カンピオンは、男のまなざしと危険な女を軸に作られてきたエロティック・スリラーを裏返す。カメラはフラニーの欲望と恐怖に寄り添い、そのふたつを最後まで切り離さない。彼女のまわりには、男たちの下卑た言葉、つきまとう元恋人、刑事の露骨な誘い、レイプしようとする教え子、そして求婚する殺人者がいる。公開時は批評が割れ、観客調査の評価は最低だったが、メグ・ライアンの演技は意表を突く転換と評された。近年は、男性のまなざしを覆すフェミニズム映画として再評価されている。残るのは居心地の悪い、正直な感覚だ。多くの女性にとって、男を求めることと男を恐れることは、いつもはっきり分かれているわけではない。