ブエノスアイレス
Happy Together
ストーリー
結末まで書いています。
香港からブエノスアイレスへ流れ着いた二人の男が、別れてはやり直す。
ウィンとファイは、別れてはやり直すことを繰り返してきた香港のカップルだ。ウィンがファイに贈ったランプに描かれたイグアスの滝を見るために、ふたりはアルゼンチンへやってくる。だが道に迷い、言い争い、別れてしまう。帰りの旅費のないファイはブエノスアイレスに残り、タンゴバーのドアマンとして働く。そこへ、ウィンがほかの男たちと客として現れる。何度もやり直そうと迫るウィンを、ファイはそのたびに突き放す。
やがて男とのもめごとで痛めつけられたウィンが、ファイの狭い部屋に転がり込んでくる。ファイは彼を引き取って世話をし、つかのま穏やかな幸せを感じる。だが回復したウィンはファイの留守に出歩くようになり、ファイは嫉妬からウィンのパスポートを隠す。ウィンを痛めつけた男を殴ってバーの仕事を失ったファイは、中華料理店で働き始め、台湾から来た旅の青年チャンと親しくなる。パスポートをめぐる最後の口論のあと、ウィンは出ていく。
旅費を貯めたチャンは、南米の最南端、世界の果ての灯台へ向かう前に、君の悲しみを代わりに捨ててきてあげると、ファイにテープレコーダーを渡す。ファイはそれを握りしめるが、言葉は出ず、ただ泣くことしかできない。稼ぎのいい食肉工場に移って帰りの旅費を貯めたファイは、ひとりでイグアスの滝を訪れる。ウィンは誰もいなくなった部屋に戻り、ランプを直して、泣き崩れる。
香港へ帰る途中、ファイは台北に立ち寄り、夜市でチャンの家族が営む屋台にたどり着く。彼はそこからチャンの写真を一枚持ち去る。また会えるかどうかはわからない。けれど、会おうと思えば、どこに行けばいいのかはわかっている。
主な出演
レスリー・チャンウィン役
ファイの奔放で魅力的な恋人。何度も去っては戻り、そのたびにやり直そうと言う。
ウィンの物語
イグアスの滝が描かれたランプを買い、本物を見ようとファイをアルゼンチンへ連れてきたのはウィンだった。道に迷って言い争うと、しばらく別れようと言い出す。ブエノスアイレスでは男から男へと渡り歩き、連れの男とファイのタンゴバーに現れては、何度もやり直そうと迫る。男に痛めつけられてファイの狭い部屋に転がり込み、看病を受けるが、傷が癒えるとファイの留守に出歩き、隠されたパスポートをめぐって言い争う。最後の口論のあと、彼は出ていく。やがて誰もいなくなった部屋に戻った彼は、かつてファイに贈ったランプを直し、ひとり泣き崩れる。
トニー・レオンファイ役
帰りの旅費もなくブエノスアイレスに取り残され、夜通し働きながら、ウィンを受け入れまいとしている。
ファイの物語
ファイは、やり直すための旅でウィンとアルゼンチンに来た。ランプに描かれたイグアスの滝をめざす途中で道に迷って別れ、帰りの旅費もなくブエノスアイレスに残される。タンゴバーのドアマンとして働き、やり直そうと迫るウィンをそのたびに突き放す。だが痛めつけられて転がり込んできたウィンを引き取って世話をするうち、つかのま穏やかな幸せを感じる。回復したウィンが出歩き始めると、彼のパスポートを隠す。それをめぐる最後の口論のあと、ウィンは出ていく。チャンにテープレコーダーを渡されても、悲しみを言葉にできずに泣くばかりだ。食肉工場で旅費を稼ぎ、ひとりでイグアスの滝を訪れ、帰り道の台北で、夜市にあるチャンの家族の屋台にたどり着く。
チャン・チェンチャン役
台湾から来た旅の青年。中華料理店でファイと親しくなり、世界の果てへ旅立つ。
この作品が問いかけるもの
『ブエノスアイレス』は、男どうしであることを決して問題として扱わない恋愛映画だ。問題はもっと古い。一緒に暮らせないのに、離れてもいられないふたり。やり直すことと、同じところを回り続けることの違い。ウォン・カーウァイはふたりを地球の反対側へ連れていった。映画は1997年5月、香港がイギリスから中国へ返還される数週間前に公開された。画面に刻まれる日付や、鄧小平の死を伝えるラジオが、物語を植民地最後の数か月に置いている。批評家たちはその英語の題を、香港と中国は幸せに共に生きられるのかという問いとして読んだ。ウォン・カーウァイはこの作品で、同年のカンヌ国際映画祭の監督賞を受けた。初めての大きな賞だった。映画自身の答えは私的で、感傷がない。物語は恋人たちではなく、友の居場所をようやく知った、ひとりの男で終わる。