マルガリータで乾杯を!
Margarita with a Straw
ストーリー
結末まで書いています。
脳性まひのデリーの大学生がニューヨークで、女性も男性も欲しいと知る。
デリー大学に通うライラ・カプールには脳性まひがある。学内のバンド「トライブ」の詞を書き、ボーカルの青年に恋をしている。悪態もつけばチェスも指し、「アーイー」と呼ぶ母とけんかもする。同じ年ごろの誰とも同じように、恋も性も求めている。自身も車いすを使う友人ドゥルヴは彼女を想っているが、ライラの想いはボーカルに向き、そして振られて傷つく。バンドがコンテストで優勝し、審査員が「障害のある」少女の詞のおかげだと称えると、ライラは中指を立てて応える。
奨学金を得てニューヨーク大学で一学期を過ごすことになり、母シュバンギニとともにグリニッジ・ヴィレッジに移り住む。創作の授業では、イギリス人の同級生ジャレッドが彼女の手助けを任され、ライラは彼に惹かれていく。一方で、パキスタンとバングラデシュにルーツを持つ盲目の活動家ハヌムと出会い、恋に落ちる。自立心の強いハヌムとは互いを支え合い、やがて一緒に暮らし始める。自分が何者なのか決めきれないまま、ライラは一度だけジャレッドと寝て、すぐに後悔し、ハヌムには黙っている。
夏休み、家族はハヌムをデリーに招く。ライラは母の入浴を手伝いながら、自分のことを打ち明ける。母は戸惑い、怒る。ジャレッドとのことを告白されたハヌムは裏切られたと感じ、別れを告げてニューヨークへ戻っていく。そこへ、かつて治療した母の大腸がんが、進行した状態で再発する。病院で母に付き添ううちに、ふたりは互いのもとへ戻っていく。そして母は亡くなる。葬儀でライラは、どれほど母を愛していたか、自分を本当にわかってくれたのは母だけだったと語る。映画の最後、ライラはひとりきりの「デート」に出かけ、ストローでマルガリータを飲む。
主な出演
カルキ・ケクランライラ・カプール役
脳性まひのあるデリー大学の学生。作詞をし、誰とも同じように恋を求め、ニューヨークで両性愛の自分に気づく。
ライラ・カプールの物語
ライラはバンドのボーカルに恋をして振られ、審査員が「障害のある」少女の詞のおかげで勝てたと言えば、中指を立てて応える。奨学金を得て母とニューヨークへ渡ると、手助け役の同級生ジャレッドに惹かれる一方、抗議デモの場で出会った盲目の活動家ハヌムと恋に落ち、彼女の部屋で暮らし始める。そのあと一度だけジャレッドと寝て、すぐに悔やむ。夏のデリーで、体調を崩した母の入浴を手伝いながらハヌムのことを打ち明け、ハヌムにはジャレッドとのことを告白して去られる。母のがんが再発すると病院で付き添い、ふたりは和解し、母は亡くなる。そのあとライラは自分で朝食をつくり、自分自身とのデートに出かけて、ストローでマルガリータを飲む。
レーバティシュバンギニ・カプール役
ライラが「アーイー」と呼ぶ献身的な母。娘とニューヨークへ渡り、知らなかった娘の姿を受け入れられずにいる。
シュバンギニ・カプールの物語
ライラが「アーイー」と呼ぶシュバンギニは、娘の入浴を手伝い、ともに歌い、けんかもする母だ。奨学金が決まると、夫のためらいをよそに娘をニューヨークへ連れていき、住まいを探して暮らしを整える。ふたりの関係を知らないまま、夏休みをデリーの家で過ごすようハヌムを招いたのも彼女だった。体調を崩した彼女は、かつて自分がしたように娘に入浴を手伝われながら、自分は両性愛者でハヌムを愛していると聞かされる。戸惑い、怒るが、娘の前では崩れない。崩れるのは、あとで鏡の前に立ったときだ。以前に治療した大腸がんは、進行した状態で戻ってきていた。入院した彼女は、付き添う娘と和解し、そして亡くなる。
サヤーニ・グプタハヌム役
パキスタンとバングラデシュにルーツを持つ、ニューヨークの盲目の活動家。自立心が強く、ライラの恋人になる。
ウィリアム・モーズリージャレッド役
創作の授業でライラの手助けを任されたイギリス人の同級生。一度だけ彼女と関係を持つ。
この作品が問いかけるもの
『マルガリータで乾杯を!』は、インド映画がほとんど同時に描いてこなかったふたつのものを、ひとりの若い女性に与える。障害のある体と、誰の許しも求めない欲望だ。ライラは性を求めることを隠さず、男に惹かれ、次に女に恋をし、恋愛ではずるいこともする。それでも映画は、彼女を憐れみの対象にはしない。ショナリ・ボース監督は、障害者の権利を訴える従姉マリニ・チブをもとにライラを造形し、両性愛者としての自身の経験も書き込んだ。カルキ・ケクランの演技はインド国家映画賞で審査員賞を受け、作品は2015年4月にインドで、同年10月に日本で公開された。いちばん温かいのは、娘の告白を受け入れられず、それでも娘を愛さずにいられない母とライラの糸だ。残される問いは素朴で大きい。性をもつ大人として扱われるのは、誰なのか。