トランスペアレント
Transparent
ストーリー
結末まで書いています。
引退した教授が3人の子に女性であると告げる。主演俳優は後にハラスメント疑惑で降板。
ロサンゼルスに暮らす元政治学教授のモーラ・フェファーマンには、自分のことで頭がいっぱいの大人の子どもが三人いる。三人にとって彼女は父親モートだった。第1シーズン、モーラはトランスジェンダーの女性であることを子どもたちに打ち明けるが、三人はそれぞれ自分の危機のただ中でそれを聞く。長女サラは夫レンと子どもたちを置いて、大学時代に愛した女性タミーのもとへ走る。音楽プロデューサーの長男ジョシュは、今も一家の元ベビーシッター、リタと関係を続けている。彼女は十代だったジョシュと性的な関係を持ち始めた。家族はその虐待を知りながら見過ごしていた。シーズンの終わり、ジョシュはリタが自分の息子コルトンを産んでいたこと、その子がもう17歳であることを知る。末っ子のアリはふらふらと生き、自分の性のあり方を問い始める。母シェリーは、死の近い再婚相手を看病している。
第2シーズン、サラとタミーの結婚式は崩れる。ジョシュと一家のラビ、ラクエルは子どもを授かるが、ラクエルは流産し、ふたりは別れる。リタがジョシュにしたことを性的虐待と初めて呼んだのは、ラクエルだった。モーラはヴィッキーという女性と恋に落ちる。1930年代ベルリンの回想は、モーラの母と祖母がナチスから逃れた道のりを描く。
第3シーズン、性別適合手術の準備を進めていたモーラは、心臓が耐えられないと医師に告げられ、ホルモン療法もやめなければならなくなる。ヴィッキーとも別れる。リタは自ら命を絶つ。シェリーは子どもの頃に音楽教師から虐待を受けていたことを明かし、自分の人生を一人芝居にして家族旅行の客船で上演する。第4シーズン、イスラエルを訪れたモーラは、死んだと聞かされていた父が生きていることを知り、ベルリンの回想に登場したギッテルもトランスジェンダーだったと父から聞かされる。性依存症の自助グループに出たジョシュは、自分がされたことにようやく名前を与え始める。サラはレンとよりを戻し、三人目の恋人を迎える。ヨルダン川西岸での恋に引き込まれたアリは、自らの性を問い続ける。
2019年、作品はモーラのいない長編ミュージカルで幕を閉じる。モーラは動脈瘤で急死していた。ノンバイナリーとして名前も改めた末っ子は、イスラエルでの学びを中断して帰国し、葬儀は、その子がかつて迎えられなかった成人の儀式の場になる。ジョシュとラクエルは再び寄り添い、コルトンは生まれたばかりの娘を連れて現れる。モーラは家を親友のダヴィナに遺し、ダヴィナはそこを行き場のない若い性的少数者たちの家にする。家族をミュージカルに仕立てたシェリーは、ユダヤの人々には歴史の重さと釣り合う喜びが必要だと歌う曲で、物語を締めくくる。
主な出演
ジェフリー・タンバーモーラ・フェファーマン役
引退した大学教授。大人になった子どもたちに、トランスジェンダーの女性であることを打ち明ける。
モーラ・フェファーマンの物語
何十年も父モートとして生きてきたモーラは、引退を機に、支援グループで、そしてそれぞれの危機に手いっぱいの子どもたちの前で、本当の自分として生き始める。演芸会で歌った夜、客席を見渡すと子どもたちは誰もいない。やがてヴィッキーと恋に落ちる。性別適合手術の準備を進めるが、心臓が耐えられないと医師に告げられ、ホルモン療法もやめなければならなくなり、ヴィッキーとも別れる。イスラエルでは、死んだと聞かされていた父が生きていると知り、ベルリン時代の親族ギッテルもトランスジェンダーだったと父から聞かされる。やがて動脈瘤で急死し、家を親友ダヴィナに遺す。ダヴィナはそこを、行き場のない若い性的少数者たちの家にする。
エイミー・ランデッカーサラ・フェファーマン役
長女。満たされない妻であり母で、夫を捨てて女性のもとへ走り、自分が何を求めているのかを探し続ける。
サラ・フェファーマンの物語
夫レンとふたりの子と暮らすサラは、大学時代に愛したタミーと再会し、家族を置いて彼女のもとへ走る。だが結婚式は崩れる。女性たちの音楽祭で知り合った女性に金を払って尻を打たせ、シナゴーグの活動にのめり込んではラビのラクエルと衝突し、レンとは同じ家に暮らしながら夫婦ではない日々を送る。第4シーズン、ようやく正直になった彼女はレンとよりを戻し、ふたりで三人目の恋人ライラを迎える。モーラの葬儀では、かつての恋人タミーとライラに今はレンだけで幸せだと告げ、母シェリーとは距離を保とうとし、モーラが火葬されると知った子どもたちに、ホロコーストのことを語って聞かせる。
ジェイ・デュプラスジョシュア・フェファーマン役
長男で音楽プロデューサー。恋愛は混乱続きで、十代のころ一家のベビーシッターから虐待を受けていた。
ジョシュア・フェファーマンの物語
ジョシュは、十代の彼に性的虐待を始めた元ベビーシッターのリタと今も関係を続けていて、彼女が自分の息子コルトンを産んでいたこと、その子がもう17歳だと知る。一家のラビ、ラクエルと恋に落ちる。リタのしたことを虐待だと初めて口にしたのは彼女だった。ラクエルは流産してふたりは別れ、両親がリタの妊娠を知りながら黙っていたことも知る。リタが自ら命を絶つと、カンザスまで車を走らせてコルトンに伝え、そこでキリスト教に改宗し、遺灰を海にまく。性依存症の自助グループで自分がされたことに名前を与え始め、同居する母シェリーとの似たところに気づく。モーラの死後ラクエルと再び結ばれ、葬儀には生まれたばかりの娘を抱いたコルトンが現れる。
ギャビー・ホフマンアリ・フェファーマン役
末っ子。定まらない暮らしのなかで性と欲望を探り、最後にはノンバイナリーのアリとして生きている。
アリ・フェファーマンの物語
末っ子のアリは定職もなく漂うように生き、モーラのカミングアウトとともに自分の性のあり方を問い始める。ジェンダー論の授業を取ってその助手と付き合い、モーラの母を見舞う列車の中で、詩人で教授のレスリーのもとで学ぶかもしれないと告げる。レスリーは恋人になるが、やがて重たくなり、アリは家族の船旅に逃げ込む。モーラとともに訪れたイスラエルでは、ヨルダン川西岸での恋に引き込まれ、性のあり方を問い続ける。最終章では、イスラエルで数か月学んでラビになることも考えながら、ノンバイナリーとして名前も改めて帰国する。モーラの葬儀は、かつて取りやめた成人の儀式の予定日と重なり、その場がアリのための儀式になる。
ジュディス・ライトシェリー・フェファーマン役
モーラの元妻で、三人の母。寂しがりで芝居がかっていて、子どもの頃から自分の受けた虐待を隠してきた。
この作品が問いかけるもの
『トランスペアレント』は、年老いた親がトランスジェンダーの女性だと打ち明けることを家族コメディの中心に据え、配信作品として初めてゴールデングローブ賞のコメディ作品賞を受けた。ジョーイ・ソロウェイは自分の親のカミングアウトを機にこの作品を作り、80人を超えるトランスの人々を起用したが、モーラ役にはシスジェンダーの男性を選び、2016年にはその配役は許されないと自ら語るようになる。2018年、ジェフリー・タンバーは二人のトランス女性からハラスメントを訴えられて降板させられ、物語は主人公を失ったまま続いた。残るのは、秘密が家族を伝わっていく姿だ。女性だった父、ベビーシッターに虐待された息子、教師に虐待された母、ナチスから逃れた一族。自分勝手で滑稽で愛しにくい人々が、互いを見ることを学べるのかを、作品は問い続ける。