POSE/ポーズ
Pose
ストーリー
結末まで書いています。
1987年から98年までのニューヨーク、ボールルームの世界。制作陣は、脚本のあるドラマで史上最多のトランス俳優をそろえたと語った。
1987年のニューヨーク。エイズウイルスへの感染を知ったばかりのトランス女性ブランカは、尊大なエレクトラが率いるハウス・オブ・アバンダンスを離れ、自分のハウス「エヴァンジェリスタ」を立ち上げる。黒人とラテン系の性的少数者たちがトロフィーを競い、互いを家族として結びつくボールルームの世界だ。最初の子どもたちは、ゲイであることで親に追い出され、やがてダンスを学ぶ才能ある青年デイモン、セックスワーカーのエンジェル、のちに加わる商才のある若者パピ。ボールの司会者でブランカの親友プレイ・テルは、恋人コスタスをエイズで失う。エンジェルはトランプ・タワーで働く既婚のエリート会社員スタンと関係を持つが、よりを戻したいとすがる彼を拒む。シーズン1の終わり、エレクトラはブランカのハウスに加わり、ブランカは「今年の母」に選ばれる。
1990年代初めへ進むシーズン2には、疫病と暴力の影が差す。ブランカのネイルサロンは焼かれる。対抗するハウス・オブ・フェロシティのキャンディは、仕事で訪れたモーテルで殺され、その葬儀でプレイ・テルは、彼女が求め続けたリップシンク部門をボールに設けると告げる。売れ始めたモデルのエンジェルは、トランスであることを暴かれて契約を失うが、パピがマネージャーとなり、ふたりは婚約する。エレクトラが「今年の母」となり、車椅子の生活になったブランカは、路上で暮らすふたりの十代と出会い、食事に連れていく。
シーズン3は1994年。ブランカは看護助手として働きながら医師クリストファーと付き合い、エンジェルとパピは結婚して幼いベトと家族になる。重い病のプレイ・テルは新薬の治験に加わるが、ボールでブランカと歌った翌日、遺体で見つかる。恋人リッキーは、プレイ・テルが自分の治験薬を飲まずにリッキーに与えていたことを知る。最終話、ブランカは彼の遺灰を納めたロケットを仲間に配り、活動団体アクトアップは、亡くなった人々の遺灰を市長の庭にまく。1998年、ブランカは正看護師となり、エレクトラ、エンジェル、ルルもそれぞれ成功し、デイモンはシカゴでダンススタジオを営んでいる。リッキーとともに新しい子どもたちを育てるブランカは、エレクトラから「レジェンド」の称号を贈られる。勝てないのになぜ続けるのかとほかのハウスの母に問われ、ブランカは、ハウスの子どもたちを支えるためだと答える。
主な出演
MJ・ロドリゲスブランカ・エヴァンジェリスタ役
エイズウイルスとともに生きるトランス女性。ハウス・オブ・エヴァンジェリスタを立ち上げ、行き場のない若者たちの母となる。
ブランカ・エヴァンジェリスタの物語
エイズウイルスへの感染を知ったブランカは、エレクトラのハウスを出て自分のハウスを興し、路上にいたデイモン、エンジェル、のちにパピを子どもたちに迎える。「今年の母」に選ばれ、ネイルサロンを開くが、トランスだと知った家主に立ち退きを迫られ、のちに店を焼かれる。診断がエイズへ変わると、キャバレーの客の前で初めて感染を打ち明け、重い病に倒れ、車椅子で路上の十代ふたりを食事に連れていく。1994年には看護助手として働きながら医師と付き合い、プレイ・テルとともに治験に加わるが、彼を失う。1998年、正看護師となった彼女は「レジェンド」の称号を贈られ、なぜ続けるのかと問われて、ハウスの子どもたちを支えるためだと答える。
ビリー・ポータープレイ・テル役
ボールでいちばん名の知れた司会者で、デザイナーであり導き手。仲間が次々に亡くなるなか、自らもエイズウイルスとともに生きる。
プレイ・テルの物語
プレイ・テルはマイクを握ってボールを仕切る。エイズに奪われていく恋人コスタスに寄り添い、自らも陽性とわかるが、打ち明けるのはブランカだけだ。かつて退けたリップシンク部門を、キャンディの葬儀で彼女のために設ける。治療薬の副作用で入院し、リッキーと恋に落ち、アクトアップの抗議にも加わる。隠れて薬物を使っていたことをデイモンに暴かれ、ブランカとの仲は深く傷つく。最終シーズンでは酒に溺れてリッキーに去られ、更生施設に入る。治療できないリンパ腫を告げられると、二十年前に離れた故郷を訪ねて母と和解する。ボールでブランカと歌った翌日、リッキーが遺体となった彼を見つける。自分の治験薬を飲まずに、リッキーに与えていたのだった。
ドミニク・ジャクソンエレクトラ・ウィンター役
ハウス・オブ・アバンダンスの高慢な母。ブランカの好敵手であり、やがて家族のひとりになる。
エレクトラ・ウィンターの物語
エレクトラはハウス・オブ・アバンダンスを率いる。募金箱から盗んだ金で性別適合手術の頭金をつくり、反対するパトロンを押しきって手術を受けるが、見捨てられて部屋を追われ、ストリップで食いつなぎ、子どもたちにも去られて、ブランカに迎え入れられる。女王様として働き始め、地下室で客が死んでいるのを見つけると、ブランカとキャンディの手を借りて遺体をトランクに封じ、クローゼットに隠す。自分のハウスを興し、リッキーのためにデイモンを傷つけようとたくらむが、ブランカに叱られて手を引き、「今年の母」に選ばれる。1994年にはテレフォンセックスの商売を広げ、エンジェルの結婚式の費用を出す。1998年、成功した彼女はブランカに「レジェンド」の称号を贈る。
インディア・ムーアエンジェル・エヴァンジェリスタ役
ブランカのハウスに加わるトランスのセックスワーカー。モデルとして歩み始め、パピと結婚する。
ライアン・ジャマール・スウェインデイモン・エヴァンジェリスタ役
同性愛を嫌う親に拒まれ、路上にいた若いダンサー。ハウス・オブ・エヴァンジェリスタの最初の子ども。
エンジェル・ビスマルク・クリエルエステバン・エヴァンジェリスタ役
機転の利く若いやり手。ハウスに加わり、性的少数者のモデルを扱う代理人となり、エンジェルの夫になる。
この作品が問いかけるもの
このドラマは、アメリカのテレビがほとんど周縁に置いてきた人々を、ゴールデンタイムのドラマの中心に据えた。黒人とラテン系のトランス女性、家を追われた若い性的少数者、そしてエイズが仲間を奪っていくなか、彼らがニューヨークのボールルームで築いた、自ら選んだ家族。生物学ではなく営みとしての母性の物語であり、見て見ぬふりをする街を生き延びるための喜びと装いの物語でもある。制作陣は、脚本のあるドラマとして史上最多のトランスジェンダー俳優をそろえたと語った。ビリー・ポーターは、公にゲイであることを明かした黒人男性として初めてエミー賞のドラマ部門主演男優賞を受け、2021年にはブランカ役のロドリゲスが、トランスジェンダーとして初めて主演女優賞の候補になった。残るのは、最後にブランカが答える問いだ。勝てないのに、なぜ続けるのか。