匿名の恋人たち
Romantics Anonymous
ストーリー
結末まで書いています。
触れられない男と見られたくない女。接触への恐れをめぐるラブストーリー。
イ・ハナは、人の目を見ることができない天才ショコラティエだ。人気のチョコレート店「ル・ソベール」に正体を隠した「匿名ショコラティエ」として作品を納め、顔を合わせられるのはオーナーの黒岩健二だけだった。ところがハナの誕生日であるバレンタインデーに健二が倒れて亡くなり、店は大手の双子製菓に買収される。新社長としてやってきたのは御曹司の藤原壮亮。彼は人に触れることができず、握手さえできない。匿名ショコラティエに会いたいという壮亮の呼び出しに応じたハナは、ホールスタッフの応募者と勘違いされて採用されてしまう。断ろうとして壮亮を押し倒したとき、ふたりとも何も起きないことに気づく。彼女は彼の目を見られ、彼は彼女に触れられた。
ふたりは互いを練習相手にすると決め、食事をし、見つめ合い、抱きしめ合う。壮亮は、幼い頃に病気の兄の無菌室に入り、兄が亡くなったのは自分が汚いせいだと思い込んだことを打ち明ける。ハナが想いを寄せるのは、ジャズバー「ブラッシュ」の店主で壮亮の同級生でもある高田寛。その寛は、壮亮とハナのカウンセリングを受け持つアイリーンと微妙な関係にある。恋愛に依存した母に捨てられた彼女は、同じ男とは二度寝ないと決めている。剣道の手合わせの最中、ハナは勇気を出して寛に告白するが、面の下にいたのは壮亮だった。そのあいだも店は、チョコレートひとつずつで難題を乗り越えていく。
壮亮の父で会長の俊太郎は、ル・ソベールを閉めるつもりでいる。店を救う道は、匿名ショコラティエにしか作れない「ピュアケンジ」でワールドショコラマスターズに勝つことだけだ。ハナが自分の口で打ち明ける前に、壮亮のいとこの孝が彼女の正体を暴く。店を辞めたハナは、健二が使ったカカオを探しに海外へ向かい、残されたスタッフは彼女の復帰を願う。後を追った壮亮と見つけた幻のカカオは、傷んで捨てられるはずだった豆だった。ハナは自分の名前で大会に出ると決め、壮亮は韓国語の「サラン」で愛を伝える。
帰国すると俊太郎が倒れ、株を買い集めていた孝が壮亮の解任を求める。同じ日、壮亮はこれまで関わった取引先や客に支えられ、作り手の幸せこそ欠かせないと株主に語り、解任を退ける。ハナは会場の視線にくじけかけるが、駆けつけた壮亮の顔を見て落ち着きを取り戻し、優勝する。ハナは壮亮に好きだと告げ、ふたりは口づけを交わす。時が流れ、ふたりは結婚式を挙げる。けれどハナはまた視線に耐えられなくなり、ふたりは笑いながら式場を飛び出していく。アイリーンの集団カウンセリングには、新しい顔ぶれがやってくる。
主な出演
小栗旬藤原壮亮役
双子製菓の御曹司で、ル・ソベールの新社長。兄の死以来、人に触れることができない。
藤原壮亮の物語
壮亮は幼い頃、病気の兄の無菌室に入り、兄が亡くなったのは自分が汚いせいだと思い込んだ。ル・ソベールでホールスタッフとして雇ったハナは、彼が触れられるただひとりの相手だった。ふたりは練習相手になり、壮亮は彼女の恋がうまくいくよう手を貸しながら、自分も惹かれていく。剣道の面の下でハナの告白を聞いたのは彼で、寛が彼女を抱き寄せる場面を見てしまうのも彼だ。孝に正体を暴かれたハナが店を去ると、海外まで後を追い、韓国語の「サラン」で愛を伝える。帰国後は株主の前で作り手の幸せを語って解任を退け、大会の会場へ駆けつける。結婚式では、視線に耐えられなくなったハナの手を取り、ふたりで笑いながら式場を飛び出す。
ハン・ヒョジュイ・ハナ役
人の目を見られない天才ショコラティエ。ル・ソベールの匿名ショコラティエとして正体を隠してきた。
イ・ハナの物語
ハナが目を見られる相手は、ル・ソベールのオーナー・健二だけだった。その健二が、彼女の誕生日に亡くなる。新社長の壮亮にホールスタッフと間違われて雇われ、彼の目だけは見られると知って、ふたりで練習を重ねる。ようやく寛への想いを告白すると、剣道の面の下にいたのは壮亮だった。スタッフの集まりで正体を明かそうとしてパニックになり、孝に正体を暴かれると店を辞め、健二のカカオを探しに海外へ向かって、自分の名前で大会に出ると決める。会場の視線にくじけかけたとき、壮亮の顔を見つけて立て直し、優勝する。好きだと告げたハナは、結婚式でまた視線に耐えられなくなり、壮亮と笑いながら式場を飛び出す。
赤西仁高田寛役
ジャズバー「ブラッシュ」の店主。壮亮の高校の同級生で、ハナが想いを寄せる相手。
中村ゆりアイリーン役
壮亮とハナのカウンセリングを受け持つ精神科医。同じ男とは二度寝ないと決めている。
成田凌藤原孝役
壮亮のいとこで、会社での右腕。ひそかに会社の乗っ取りを準備している。
佐藤浩市藤原俊太郎役
壮亮の父で、双子製菓の会長。ル・ソベールを閉店させようとする。
この作品が問いかけるもの
『匿名の恋人たち』は、2010年のフランス・ベルギー映画を日韓共同で作り直した作品で、その恋はふたつの不安の上に立っている。人に触れられない男と、人の目を見られない女。作品はそれを、恋によって治される欠点としてではなく、抱えたまま生きていく現実として描く。ふたりは練習し、失敗し、またやり直す。集団カウンセリングの場には、それぞれの不安を抱えたほかの人々もいる。ラストはそのことをはっきり示す。大勢の前で世界大会に勝ったハナも、自分の結婚式の視線には耐えられず、ふたりはただ式場を出ていく。回復はまっすぐには進まない。幸せは、それが終わるのを待ってはくれない。配信直後にはネットフリックスの日本のシリーズ順位で1位になった。触れられる、見られるただひとりの相手が、始まりの場所になりうる。その優しさは珍しい種類のものだ。