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Cinema 月明かりの映画館

日本の秘められた恥

Japan's Secret Shame

2018ドキュメンタリーイギリス

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

著名なテレビ記者にレイプされたと訴えた伊藤詩織の闘い。彼女が向き合った警察、法律、ネットの中傷を追う。

『日本の秘められた恥』は、イギリスの制作会社トゥルー・ヴィジョンが英国放送協会のドキュメンタリー枠のために作った約1時間の番組で、演出とプロデュースはエリカ・ジェンキン。2018年6月28日、同局の第2チャンネルで放送された。カメラは、告発に踏み切ってからの数か月のジャーナリスト伊藤詩織を追う。冒頭に映るのは、2015年4月に東京で仕事の会食をしたあと、伊藤と山口敬之が交わしたメールの文面だ。山口は著名なテレビ記者で、安倍晋三首相を好意的に描いた人物伝の著者でもある。伊藤は、意識を失い、目を覚ましたときには山口にレイプされていたと語る。山口は、彼女がひどく酔っていた、行為は合意の上だったと主張している。

29歳の伊藤は、その後の経緯をたどり直す。事件以来初めて現場のホテルを訪れた彼女は、建物を見上げたあとしゃがみ込み、これ以上ここにはいられないと足早に立ち去る。警察署の道場のマットに横たわらされ、男性警官たちが等身大の人形で被害を再現し、写真を撮ったことを語る。逮捕状は出たが執行されず、事件は不起訴になった。2017年5月の記者会見以来、ネットでは見知らぬ人々が彼女を「売春婦」と罵り、家族まで中傷する。彼女は盗聴探知機を買い、自宅を調べる。

番組は彼女のまわりに、より広い日本の現実を置いていく。2017年まで百年以上改正されず、同意のなさではなく暴行や脅迫の証明を求める強姦罪。女性がわずか8%の警察。同意のない性行為は強姦だと教わったことのない大学生たち。都内にただ一つの被害者支援センターは、事件直後に電話した彼女に、直接来なければ相談は受けられないと告げていた。米紙ニューヨーク・タイムズのモトコ・リッチ東京支局長は、政治の介入を疑う声が多いと語る。自民党の杉田水脈議員は、男性の前であれほど飲んだ伊藤には女として落ち度があったと言う。2017年9月、検察審査会の議決で刑事責任を問う道は閉ざされ、伊藤は民事訴訟へ向かう。ミートゥー運動が広がるなかで彼女への支持も増え、彼女は語る。動けば良い波も悪い波も来る。それでも黙っているよりずっといい。

主な出演

  • 伊藤詩織本人

    29歳のフリージャーナリスト。著名なテレビ記者をレイプで告発したあとの数か月を、番組は追う。

  • 杉田水脈本人

    自民党の衆議院議員。山口を擁護する側として取材に応じ、伊藤には女として落ち度があったと語る。

  • モトコ・リッチ本人

    米紙ニューヨーク・タイムズの東京支局長。事件を取材しており、政治の介入を疑う声が多いと語る。

  • ジェイク・エーデルスタイン本人

    東京を拠点とするアメリカ人記者。日本の警察回りの体験を綴った回想録の著者として登場する。

この作品が問いかけるもの

『日本の秘められた恥』が問うのは、日本でレイプの被害にあった女性がなぜこれほど警察に行かないのか、そして人前で語ることを選んだ女性に何が起きるのか、ということだ。番組は材料を並べてみせる。同意のなさではなく暴行や脅迫の証明を求める法。男性警官に被害を語り、人形で再現させられる捜査。人口1300万人の都市にただ一つの支援センター。告発に罵声で応えた世間。もっとも鋭い場面は、与党議員の杉田水脈が、酒を飲んだ女性の側に落ち度を見るところだ。その発言は放送後、日本でも批判を浴びた。日本で番組が見られるようになったのは、2019年3月の動画配信からだった。これは外から覗き込むカメラである。そして恥の在りかを、題名の示す場所に置いて終わる。声を上げた女性ではなく、声を上げることをこれほど高くつくものにした仕組みの側に。