マネーショット: Pornhubは語る
Money Shot: The Pornhub Story
ストーリー
結末まで書いています。
プラットフォームと、それに依存する出演者と、廃止を求める活動家。誰も完全には正しくない。
世界でもっとも知られたポルノサイト、ポルノハブの歴史を、ポルノで生計を立てる人たちの声を軸にたどるドキュメンタリーだ。ナレーションはない。映画は、登場する人々が初めてポルノを見た記憶を語る場面から始まり、ふたりの出演者の仕事を追う。撮影から編集、宣伝までを自分でこなすグウェン・アドラと、シリ・ダールだ。2018年に始まった「モデルハブ」は、出演者が自分の作品でサイトから稼げる道をようやく開いた。
次に映画は、サイトの持ち主をたどる。ポルノハブは、コンコルディア大学の学生3人が始めた、海賊版だらけの無料サイトだった。2010年にファビアン・ティルマンに売られ、彼が脱税で有罪となったあと、運営会社(のちのマインドギーク、現在のアイロ)はフェラス・アントゥーンらの手に渡る。富の源は検索からの流入とデータと広告だった。社内で3年間、脚本や制作、出演者集めを担ったノエル・パーデューは、性労働者を危険にさらした2018年の米国の法律を、最高経営責任者が知りもしなかったと振り返る。
そしてスキャンダルが起きる。誰でも何でも投稿できたサイトには、レイプや子どもへの性的虐待の動画が上がっていた。2020年12月、ニコラス・クリストフが『ニューヨーク・タイムズ』に書いたコラム「ポルノハブの子どもたち」が、キリスト教団体エクソダス・クライの告発運動と重なる。マスターカードとビザは決済を止め、ポルノハブは本人確認のない投稿を禁じた。カナダ議会は幹部を追及し、監視担当者が1日に少なくとも700本の通報動画を確かめるよう求められていたことが示される。出演者たちは、本人確認、ダウンロード禁止、監視の強化というクリストフの提案には賛成する。だが、全米性的搾取センターのような団体の狙いは性産業そのものをなくすことだと言い、決済停止で打撃を受けたのは会社よりも出演者だったと訴える。終盤、映画はネット全体に広がる検閲に目を向ける。ポルノは表現の自由にとっての「炭鉱のカナリア」だという言葉が語られ、最後の場面ではシリ・ダールが撮影に臨む。
主な出演
シリ・ダール本人
撮影の現場も映されるポルノ女優。クリストフの提案を「どう考えても妥当」と評し、ネット上で表示を制限される実情を語る。
グウェン・アドラ本人
撮影も編集も宣伝も自分でこなす独立系の出演者。プラットフォームが性的な作品を締め出すたびに、収入が揺らぐ。
ポルノハブで脚本、制作、出演者集めを担った元社員。本作では資料調査と事実確認も務め、古巣を内側から批判する。
『ニューヨーク・タイムズ』のコラムニスト。2020年12月のコラム「ポルノハブの子どもたち」が締めつけの引き金になった。
ダニ・ピンター本人
全米性的搾取センター(旧称モラリティ・イン・メディア)の上級法律顧問。サイトを告発する側の主張を語る。
表現の自由連合の広報責任者。広告で稼ぐポルノハブよりも、決済停止で痛手を負ったのは出演者だと指摘する。
この作品が問いかけるもの
この映画は、ふたつの害を並べて置き、一方でもう一方を帳消しにすることを拒む。アクセス数で稼ぎ、載せる中身をろくに確かめなかったサイトに、レイプや子どもへの性的虐待の動画が上がっていた。それがスキャンダルの核心であり、出演者たち自身も、クリストフの提案を当然の対策だと認めている。だが実際に下された処方、つまり、性産業の廃絶を望むと出演者が語る団体に後押しされた決済停止は、同意のうえで働き報酬を得ていた大人たちをもっとも強く打った。その底には、いまあらゆるプラットフォームが向き合う問いがある。ネットに何を載せてよいかを誰が決め、決め方を誤ったとき誰が代償を払うのか。公平な映画か、出演者寄りの映画か、批評家の見方は割れた。確かなのは、性労働者が同意とお金と危険について、自分の言葉で長く語る場を得たことだ。