ミセス・プレイメン
Mrs Playmen
ストーリー
結末まで書いています。
1970年代のローマ。夫が逮捕を逃れて姿を消し、ふたりで創刊した成人誌「プレイメン」をアデリーナ・タッティロが率いて作り変えていく。
1970年代のローマ。敬虔なカトリック信者で母でもあるアデリーナ・タッティロは、夫サロ・バルサモと創刊したイタリア初の成人向け雑誌「プレイメン」を出している。横領の容疑を逃れてサロが姿を消すと、警察は最新号を押収し、名目上の編集長アデリーナを夫の代わりに逮捕する。保釈された彼女を待っていたのは、借金まみれの会社と、彼女を疑う編集者マリオ・シャルトルーだった。それでもアデリーナは舵を取る。
彼女は雑誌の役割を変えていく。ヌードの隣に並ぶのは、快楽について誰にも教わらなかった花嫁や妻たちへの記事、夫に殺された侯爵夫人の日記、まだ認められていなかった離婚をめぐる議論だ。シャルトルーのひそかな恋人で野心家の写真家ルイジ・ポッジは、署名の中身を隠したまま、若い女性エルサのヌード写真を誌面に載せる。その直後、エルサは知り合いの男に強姦され、家族からその男との結婚を迫られる。アデリーナは彼女をアシスタントに雇う。雑誌をつぶそうとする風紀課の警部アンドレア・デ・チェザーリは、エルサを情報提供者にするうち、彼女に惹かれていく。
イタリアに進出した「プレイボーイ」は、写真家を引き抜き、買収を持ちかけ、誌名の盗用で訴えてくる。アデリーナはジャクリーン・ケネディ・オナシスのヌード写真を載せて号を売り切り、サロとの離婚を申し立て、表紙を飾ったジゴロのスティーヴと関係を持つ。暴徒がゲイバーの客を襲った夜、シャルトルーはポッジを残して逃げ出す。
最終話、エルサとシャルトルーが「プレイボーイ」という名も借り物だったと示し、裁判はプレイメンの勝訴に終わる。同じ日、アデリーナの息子ロレンツォと恋人が会いに行った危険な若者を止めようとして、デ・チェザーリが重傷を負う。逮捕状の取り消されたサロが戻り、筆頭株主として雑誌を取り上げ、エルサを解雇し、株を買い取りたいと言うアデリーナを殴る。シャルトルーは辞め、大臣の醜聞写真を売ろうとしたポッジは逮捕される。やがてアデリーナは、サロが自分と離婚しないまま愛人と結婚していたと知り、暴露すると迫る。サロは雑誌を手放す。病院で目を覚ましたデ・チェザーリのそばにはエルサがいて、やがて彼女は編集部に戻る。アデリーナは避妊薬を取り上げる号をまとめながら、プレイメンの主として立っている。
主な出演
カロリーナ・クレシェンティーニアデリーナ・タッティロ役
逃げた夫に代わり、借金まみれの成人向け雑誌を背負うカトリックの妻であり母。やがて雑誌を自分のものにする。
アデリーナ・タッティロの物語
アデリーナは夫サロとともにプレイメンを築いてきた。逮捕を逃れたサロがかつての恋人とフランスへ去ると、借金と警察と、彼女を疑う社員たちが残される。家の使用人に暇を出し、車を売り、雑誌を自分の手に握る。花嫁に向けた官能の物語を自ら書き、エルサを雇い、ひそかにサロに通じていたシャルトルーを解雇して、また呼び戻す。ジャクリーン・ケネディ・オナシスのヌード写真にすべてを賭け、離婚を申し立て、スティーヴを恋人にする。戻ってきたサロに雑誌を奪われ、買い取りを申し出て殴られると、夫が離婚しないまま愛人と結婚していたことを突き止め、すべてが始まった屋上で向き合い、雑誌を手放させる。最後に彼女は、プレイメンの主として避妊薬の号を練っている。
フィリッポ・ニグロマリオ・シャルトルー役
雑誌の編集者。はじめはアデリーナを警戒し、年下の男との関係を隠して生きている。
マリオ・シャルトルーの物語
シャルトルーはアデリーナに隠れてサロに手を貸し続けるが、ふたりでいるところをエルサに見られ、解雇される。サロの裏金の鍵のありかを打ち明けて呼び戻される。ひそかな恋人である写真家ルイジ・ポッジがエルサをだましたと知ると冷たくし、やがて恋人として付き合おうと申し出て、売春幇助の容疑を晴らす記録を見つけ出す。ゲイバーが暴徒に襲われた夜には、ポッジを置いて逃げ出す。エルサとともに「プレイボーイ」との裁判に勝つが、サロが戻ると辞める。一緒にアメリカへ行こうとポッジに誘われた彼は、大臣の写真を狙う知人をポッジのもとへ導く。約束に反して、取引の場でポッジは逮捕される。シャルトルーは、走り去るパトカーを追いかけて取り残される。
ジュゼッペ・マッジョルイジ・ポッジ役
のし上がるためなら手段を選ばない写真家で、シャルトルーのひそかな恋人。
フランチェスカ・コルッチエルサ役
本当の同意のないままヌード写真を載せられた下町の若い女性。のちにアデリーナのアシスタントになる。
エルサの物語
パーティーの入口で追い返されかけたエルサを、アデリーナが招き入れる。その夜、写真家ルイジ・ポッジに、ふたりだけのためと言われてヌードを撮らせ、誌面に載ることを隠されたまま署名させられる。その直後、知り合いの男に強姦される。警察では屈辱的な質問を浴び、男の弁護士は結婚すれば罪は消えると持ちかけ、断った彼女を父は勘当する。アデリーナの助手となり、風紀課のデ・チェザーリの情報提供者にもなるが、やがてアデリーナの側に立ち、偽りの証言を拒み、「プレイボーイ」との裁判を勝利に導く記事を見つけ出す。サロに解雇され、男を訴えた裁判でも苦しい立場に置かれる。病院で目覚めたデ・チェザーリに付き添って口づけを交わし、やがて編集部の机に戻る。
ドメニコ・ディエーレアンドレア・デ・チェザーリ役
雑誌をつぶそうとする風紀課の警部。エルサを情報提供者にするうちに、彼女に惹かれていく。
フランチェスコ・コレッラサロ・バルサモ役
アデリーナの夫で雑誌の共同創刊者。借金から逃げ、戻ってくると雑誌を取り返そうとする。
この作品が問いかけるもの
『ミセス・プレイメン』は、女性の欲望を代弁するのは誰なのかを問い、その答えを単純にはしない。主人公はヌードを売って生計を立てながら、敬虔なカトリック信者として、妻たちに快楽や離婚や避妊薬のことを知らせたいと願う。イタリアでまだ離婚が認められていなかった時代の話だ。1971年に「イタリアのヒュー・ヘフナー」と呼ばれた実在のアデリーナ・タッティロは、自分の考えるエロティシズムでは女性も男性と同じく主体なのだと語っている。作品はその言葉を、自らの物語の中で試す。エルサの体は本当の同意のないまま誌面に載り、彼女を強姦した男には、結婚すれば罪を免れる道が差し出される。雑誌のまわりには、風紀課、教会、愛する相手を隠さねばならない編集者、そして妻の働きより重い法的な権利を握る夫という、時代の力が並んでいる。