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Cinema 月明かりの映画館

人生の最期にシたいコト

Dying for Sex

2025ドラマ・シリーズアメリカ

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

末期がんを告げられたモリーがセックスレスの結婚を離れ、誰とも迎えたことのないオーガズムを探す。キンクと支配とホスピスがひとつの語りに。

ブルックリンに暮らすモリー・コーチャンは、尊大なジャーナリストの夫スティーヴとの不幸な結婚生活が十年になる。夫婦カウンセリングの最中に医師から電話が入る。乳がんが再発し、骨と脳と肝臓に転移したステージ4だという。治療のホルモン剤で性欲が高まり、夫に触れると、スティーヴは泣き出してしまう。病院で緩和ケアを担当するソーシャルワーカーのソーニャに、モリーは打ち明ける。誰かと一緒にいて絶頂に達したことは一度もない、と。彼女は夫のもとを去り、俳優の親友ニッキーの部屋に移る。ニッキーは自分の暮らしを脇に置いて彼女を看ることになる。

そこからの日々は、可笑しくて率直だ。出会い系アプリ、ホテルの部屋、エレベーターで出会った男。どれも寸前で引き返す。壁越しに聞こえる隣人の気配から、命じる側に立つ快感を知る。ソーニャのかつての恋人には、支配する前にまず服従を学べと教わる。頼まれて隣人を蹴り上げた拍子に、大腿骨が折れる。親密さが近づくたびに体がこわばる理由も、作品ははっきり描く。七歳のとき、母の恋人から性的虐待を受けていたのだ。依存症から立ち直ろうとしている母ゲイルが姿を見せ、疲れ果てたニッキーは恋人ノアと別れ、モリーともぶつかる。

名前も明かされない隣人の男に愛していると告げたその瞬間、モリーの肺はつぶれる。呼吸の管が外れたあと、夜勤の看護師アーニーが渋々認めた病室で、隣人は一夜を過ごし、モリーは初めて誰かと一緒に絶頂を迎える。死が近づくと、彼女は彼に去ってほしいと頼み、彼はそれを受け入れて去っていく。

検査で、がんが脊髄と脳に及んでいることがわかる。モリーはそれ以上の治療を断ってホスピスに移り、看護師エイミーから、体がどのように死んでいくのかを教わる。ようやく母の手助けを受け入れ、スティーヴも別れを告げに来る。モリーはニッキーとゲイルに見守られて息を引き取る。時がたち、ニッキーは舞台の仕事に戻り、ノアとよりを戻している。ある日、性の話で笑い合う年老いた二人の女性が、彼女の目にとまる。

主な出演

  • ミシェル・ウィリアムズモリー・コーチャン役

    ステージ4の乳がんを抱える女性。結婚を離れ、自分が性に何を求めているのかを初めて探しに行く。

    モリー・コーチャンの物語

    モリーはスティーヴとの結婚生活を十年続けてきた。七歳のとき母の恋人から性的虐待を受けて以来、誰かが近づくたびに体がこわばる。がんの再発を告げられると、夫婦カウンセリングの部屋を出て、やがて結婚からも出て、ニッキーの部屋に移る。望みは、誰かと一緒に絶頂を迎えること。だが何度試しても寸前で引き返してしまう。壁越しに隣人を見つけ、彼に命じる快感を知る。彼を蹴った拍子に大腿骨を折り、肺がつぶれるその瞬間に、愛していると告げる。呼吸の管が外れたあと、隣人は病室で一夜を過ごし、彼女は望みをかなえる。がんが広がると治療をやめ、ホスピスでようやく母の手助けを受け入れ、隣人には去ってほしいと頼み、ニッキーに手を握られて息を引き取る。

  • ジェニー・スレイトニッキー・ボイヤー役

    モリーの親友で俳優。モリーを部屋に迎え入れ、自分の暮らしを脇に置いて彼女を看る人になる。

    ニッキー・ボイヤーの物語

    モリーから再発を知らされ、ニッキーは打ちのめされる。モリーを部屋に迎え入れて看る側になり、スティーヴから渡された医療記録をすぐになくしてしまう。歯の手術のあとで恋人ノアに携帯の電源を切られると、彼と別れる。大みそかにはモリーと言い争い、モリーが謝る。呼吸の管につながれたモリーを楽にしようと、自力で息ができないかもしれないと知りながら、管を外すと決めたのはニッキーだった。モリーは自分で呼吸を続け、ニッキーは親友の望みをかなえる手伝いを続け、病院にはノアがスープを持って来る。最期にモリーの手を握っているのはニッキーだ。時がたち、自分の舞台をつくり、ノアとよりを戻し、性の話で笑い合う年老いた二人の女性に目をとめる。

  • ロブ・ディレイニー隣人役

    壁越しに気配が聞こえる隣人。モリーの命令に従う相手となり、やがて彼女が愛する男になる。

  • ジェイ・デュプラススティーヴ役

    結婚して十年になるモリーの夫。尊大なジャーナリストで、妻の病まで自分の物語にしてしまう。

  • シシー・スペイセクゲイル役

    依存症から立ち直ろうとしているモリーの母。娘は、ホスピスに入るまでその手助けを拒み続ける。

この作品が問いかけるもの

『人生の最期にシたいコト』は、めったに同じ部屋に置かれることのない女性の快楽と死を、ひとつの病床に並べてみせる。どちらも冗談にはせず、教訓にもしない。下敷きは、2019年に45歳で亡くなったモリー・コーチャンが親友ニッキー・ボイヤーと作ったポッドキャストだ。問いは率直だ。誰かと一緒に絶頂を迎えたことのないまま中年になるとは、どういうことか。子どものころの虐待は、なぜ何十年もあとまで大人の体をこわばらせるのか。言葉にした約束事と同意の上に成り立つキンクが、怯えてきた女性にとって、ようやく安心できる場所になりうるのはなぜか。制作者のキム・ローゼンストックは、性よりも死について多くを学び、死のほうが語られにくい禁忌かもしれないと語っている。根にあるのは、誰かの最期を看ることが、それ自体長い愛の行為になる友情だ。