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Cinema 月明かりの映画館

テラスハウス

Terrace House

2012–2020リアリティ日本

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

男女6人の共同生活。静かなリアリズムで世界的ヒットとなったが、2020年の木村花さんの死で終了し、恋リアと誹謗中傷を問う社会問題に。

『テラスハウス』は、フジテレビが制作したリアリティ番組だ。見知らぬ男女6人が、おしゃれな家と2台の車を与えられて共同生活を送り、その日々が「台本のない」記録として映される。決まりはなく、住人は自分の意思で家を出て、入れ替わりに新しい住人が入居する。スタジオでは、タレントや芸人のパネリストが映像を見ながら語り、笑いを添えた。2012年に湘南を舞台にフジテレビで始まり、2015年からはネットフリックスに場を移して東京、ハワイ、軽井沢と舞台を変え、2019年5月に再び東京へ戻った。

最後のシーズンとなった「新東京編」は、もっとも痛ましい理由によって、もっとも多くを記録されたシーズンだ。最初の数か月は穏やかだった。春花と莉咲子はそろってミュージシャンの健司に惹かれ、言い争いになる。嵐の日の海辺のデートで健司は莉咲子に想いを告げ、彼が家を出るとき、莉咲子も一緒に卒業した。住人は入れ替わっていく。秋にはプロレスラーの木村花が入居し、バスケットボール選手の凌に恋をするが、凌は女優志望のヴィオレッタとの距離を縮めていく。花を慰めたのは芸人の快で、ふたりは別の住人カップルと京都へ旅行する。やがて快が、花がリングで着るコスチュームを誤って洗濯し、縮ませてしまう。2020年3月31日に配信された回で、花は快を激しく責め、彼の帽子をはたき落とした。快はまもなく卒業を告げる。すでに始まっていたネット上の誹謗中傷は、この回を境に激しさを増した。のちに花の母は、スタッフにカメラの前で怒るようあおられていたと証言し、フジテレビは無理強いを否定した。

2020年4月、新型コロナウイルスの感染拡大で撮影は中断される。5月23日、木村花は自ら命を絶った。22歳だった。4日後、フジテレビはシーズンの打ち切りを発表し、撮影済みの2話は放送されなかった。ネットフリックスは、のちに海外で彼女の出演回の配信を取りやめた。

主な出演

  • YOUスタジオ出演

    タレント。2012年の初回から番組の終わりまで、スタジオで住人たちの日々を見守った。

  • 山里亮太スタジオ出演

    お笑いコンビ・南海キャンディーズのひとり。2013年から最後までスタジオで語り、住人への発言はのちに批判を受けた。

  • 木村花参加者

    プロレスラー。2019年に入居し、コスチュームの回のあとネット上で激しい誹謗中傷を受けた。2020年5月、22歳で亡くなる。

  • 小林快参加者

    お笑い芸人。花を支えるが、やがて彼女のコスチュームを誤って洗濯して縮ませ、口論のあと家を出る。

  • 吉原健司参加者

    ケニー。最初の6人のひとりでミュージシャン。春花と莉咲子の両方に想いを寄せられ、莉咲子とともに家を出る。

  • 田辺莉咲子参加者

    フィットネストレーナー。最初の6人のひとり。健司をめぐって春花と言い争い、彼とともに家を出る。

この作品が問いかけるもの

『テラスハウス』は、何も起きないことが海外で愛された。軽井沢編はタイム誌の2018年テレビ番組ベスト10に選ばれている。穏やかさを支えたのは、台本はないという約束と、住人を笑いに変えるパネリストたちだった。木村花の死は、この仕組みが、いちばんつらい瞬間を編集され、配信され、放送され、毎日見知らぬ人々から言葉を浴びせられる若い女性に何を強いうるかを示した。暮らしそのものが商品になる人への配慮の責任。「リアル」の中に潜む演出。嘲笑するコメントが視聴者の空気をつくるのではないかという問い。ジャンルが避けてきた問いが突きつけられた。2021年、放送倫理・番組向上機構は、出演者の精神的な健康への配慮を欠いていたと指摘した。2022年、この件を受けて侮辱罪に懲役刑が加えられた。母は、ネットの中傷をなくす法人を立ち上げた。