EN
メニュー

Cinema 月明かりの映画館

天使のはらわた 赤い教室

Angel Guts: Red Classroom

1979映画日本

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

ポルノ雑誌の編集者が、温泉町で観たブルーフィルムに映っていた女を探す。石井隆“名美”の系譜。

ひなびた温泉町で骨休めをしていたポルノ雑誌の編集者・村木哲郎は、教室で女が犯されるブルーフィルムを観る。その女の顔が頭から離れない。自分の雑誌のモデルたちには決して見られない顔だった。東京に戻って探しても見つからなかったが、撮影で訪れたラブホテルの受付に、その女がいた。土屋名美という。

名美にとって、あのフィルムは演技ではなかった。学生時代に実際に強姦されたときに撮られたもので、それを観た男たちが、以来それをネタに近づいてくる。顔が忘れられない、雑誌のモデルになってほしいと頼む村木に、名美はほかの男たちにしてきたように、宿で体を差し出す。村木はそれが目当てではないと言いつのり、ふたりは翌日また会う約束をする。だがその日、村木は雑誌の件で警察に引っ張られる。事情を知らない名美は雨の公園で待ち続け、男というものに絶望して、奈落へ落ちていく。

三年後。村木は同じ仕事を続けながら結婚し、女の子も生まれている。仲間と繰り出した場末のバーで、彼は体を売る女になった名美と出くわす。しつこく追う村木を、名美はヒモのマー坊に店から叩き出させる。翌日もやって来た村木はマー坊に痛めつけられて気を失い、店の二階で目を覚ます。ふすまの隙間から見えたのは、客を前にマー坊と交わってみせるショーを演じ、そのあと群がる客の相手を次々にする名美の姿だった。村木は見ていられない。客が帰ったあと、ここから出ようと訴える村木に、名美は、あんたがこっちの世界に来たら、と言葉を荒げる。村木にはそれができない。ふたりは互いに背を向け、それぞれの場所へ戻っていく。

主な出演

  • 水原ゆう紀土屋名美役

    学生時代に受けた強姦を撮影され、ブルーフィルムとして売られた女。ラブホテルの受付で働いている。

    土屋名美の物語

    名美は男を避けるようにラブホテルの受付で働いているが、強姦を撮られたあのフィルムを観た男たちは、次々に彼女を見つけ出す。村木もそのひとりだった。宿で名美は、ほかの男たちにしてきたように体を差し出すが、村木はそれが目当てではないと言い、ふたりは翌日また会う約束をする。村木は来ない。雨の公園で待ち続けた名美は、男というものに絶望して堕ちていく。三年後、場末のバーで体を売る彼女には、ヒモのマー坊がついている。再会した村木をマー坊に叩き出させ、翌日、痛めつけられる彼を止めに入る。客の前で見せる姿を見られたあと、ここから出ようと訴える村木に、あんたがこっちの世界に来たら、と言葉を荒げる。村木にはそれができず、ふたりは互いに背を向ける。

  • 蟹江敬三村木哲郎役

    ポルノ雑誌の編集者。フィルムの女に惚れ込むが、いちばん大事な約束の場所に行けずに終わる。

    村木哲郎の物語

    温泉町でブルーフィルムを観た村木は、教室で犯される女の顔が忘れられない。自分の雑誌のモデルには決して見られない顔だった。その女、名美を、彼は撮影で訪れたラブホテルの受付で見つける。モデルになってほしいと頼み、宿で体を差し出されると、それが目当てではないと言いつのる。だが翌日、雑誌の件で警察に引っ張られ、約束の場所に行けない。三年後、同じ仕事を続けながら結婚し、女の子の父親になった村木は、場末のバーで名美と再会する。ヒモのマー坊に叩き出され、翌日も訪ねて気を失うまで痛めつけられる。ふすまの隙間から、客の前で体を売る名美を見てしまう。ここから出ようと訴えるが、こっちの世界に来たらと言われて踏み出せず、背を向けて去る。

  • 草薙良一マー坊役

    三年後の名美のヒモ。場末のバーで彼女を働かせ、連れ出しに来た村木を叩きのめす。

この作品が問いかけるもの

『天使のはらわた 赤い教室』は、撮られてしまった強姦の記録が、いつまでも観られ続けることについての映画だ。名美はあのフィルムから逃れられない。観た男たちが次々に彼女を見つけ出すからだ。スクリーンの顔に惚れた村木もそのひとりであり、救い出したいと願うことが自分を別の男にするわけではないと、映画は彼に思い違いを許さない。日活ロマンポルノの一本である本作は、それ自体が主人公の生業と地続きの商品であり、ポルノは芸術になりうるのかを登場人物たちが口に出して論じもする。名美を演じた水原ゆう紀は、第1回ヨコハマ映画祭で主演女優賞を受けた。残るのは、最後の場面が救い手に、そして観る者に突きつける問いだ。彼女がいま生きている現実を見続けられるのか。それとも、彼女を救う自分を思い描くことしかできないのか。