団地妻 昼下りの情事
Apartment Wife: Affair in the Afternoon
ストーリー
結末まで書いています。
日活ロマンポルノ第1作。夫にかまわれない団地妻が、旧友とラブホテルに入るところを隣人に撮られ、脅されてコールガールの組織に引き込まれる。
笠井律子は、都内近郊の団地に暮らす専業主婦だ。課長昇進をかけて働く夫の良平は、疲れたと言って彼女をかまわない。隣に住む陽子は、夫の海外出張をいいことに、こけしの形をしたバイブレーターを置いていく。押し売りのセールスマン畑中には、コンドームを売りつけられる。そんなとき、夫婦の高校時代からの友人で、昔から律子に思いを寄せていた桐村一郎から電話が来る。一緒に酒を飲み、律子は彼とラブホテルに入る。
ふたりの姿を、陽子がひそかに写真に撮っていた。陽子は律子にコールガールの仕事を持ちかけ、断る律子に写真を突きつける。桐村とのことを夫にばらされたくなければ、と。組織の元締めは畑中で、すべては律子を引き込むための罠だった。律子は従うしかない。けれど客を取るうちに、彼女はそこに喜びを見いだし、服やダイヤの指輪に金を使うようになる。
上司に昇進は望めないと言われた良平は、外国人バイヤーのマイクとの商談にすべてをかける。部下から相手の弱点は女だと聞き、桐村に頼んでコールガールを手配する。派遣されたのは律子だった。代金を払いに行った良平はすべてを知り、妻を殴り、昇進の道も絶たれたと絶望して家を飛び出す。平穏な暮らしを失った律子は陽子につかみかかり、もみ合ううちに頭を打った陽子は死んでしまう。律子は、自分を愛している桐村のもとへ行く。遠くへ行こう、と桐村は言う。走る車の中でもふたりは互いを求め合い、車は崖から転落して炎上する。
主な出演
白川和子笠井律子役
都内近郊の団地に暮らす主婦。仕事に追われる夫に顧みられず、脅されて売春組織に引き込まれる。
笠井律子の物語
律子は団地でひとり昼を過ごす。課長昇進をかけて働く夫の良平は、疲れたと言って彼女をかまわない。昔から自分に思いを寄せていた旧友の桐村から電話が来ると、一緒に酒を飲み、ラブホテルに入る。その姿を隠し撮りしていた隣室の陽子は、写真を突きつけて、押し売りの畑中が仕切る売春組織に彼女を引き込む。すべては罠だった。従うしかなかった律子は、やがて客を取ることに喜びを覚え、服やダイヤの指輪に金を使うようになる。夫が外国人バイヤーの接待に呼んだ女は、律子だった。コンクリートの箱の中で息が詰まりそうだった、と吐き出す彼女を残して夫は出ていく。陽子とつかみ合ううちに陽子は死に、律子は桐村のもとへ向かう。ふたりを乗せた車は崖から転落し、炎に包まれる。
浜口竜哉笠井良平役
律子の夫。昇進をかけて働き、取引相手の接待に呼んだ女が妻だったと知る。
笠井良平の物語
良平は課長への昇進をかけて働き、夜は疲れたと言って妻をかまわない。やがて律子の服装が派手になり、夫婦の営みまで変わったことに不審を抱く。昇進を左右する外国人バイヤー、マイクとの商談は思わしくない。マイクの弱点は女だと聞かされ、旧友の桐村にコールガールの手配を頼む。代金を払いにホテルの一室へ行くと、マイクの相手をしていたのは妻だった。ふたりは言葉もなく立ちつくす。良平は律子を殴り、裏切られた思いと、閉ざされた昇進の道に打ちのめされて家を飛び出す。その日から、彼は家に帰らない。
南条マキ東山陽子役
隣室の主婦。夫の海外出張をいいことに人妻の売春を仲介し、写真で律子を脅す。
関戸純方桐村一郎役
夫婦の旧友で、組織ともつながるプレイボーイ。高校時代から律子を想っていた。
前野霜一郎畑中役
性具を売り歩くセールスマン。裏では売春組織を仕切っている。
この作品が問いかけるもの
『団地妻 昼下りの情事』は1971年11月、一般映画の製作を止めた日活が送り出したロマンポルノの第1作だ。製作費750万円という異例の低予算ながら、連日立ち見が出るほどの反響を呼んだ。この映画はひとつの言葉も生んだ。以後「団地妻」は性的な含みを帯びた類型となり、その名を冠した作品が次々に作られた。空想の舞台は現実の場所だ。夫を送り出したあと、新しいコンクリートの団地でひとり昼を過ごす妻たち。疲れて相手をしない夫と、欲しいものも買えない給料。見つかったとき律子は、毎日このコンクリートの箱の中で息が詰まりそうだった、と口にする。物語は彼女に快楽と金を与え、そのあとで死を与える。残る問いは、妻の退屈と欲望を、罰を結末にせずに語ることはできるのか、ということだ。