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Cinema 月明かりの映画館

ラブ&ポップ

Love & Pop

1998映画日本

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

渋谷の女子高生4人の援助交際の一日。庵野秀明のデジタルビデオ実験。

東京の女子高生・吉井裕美は写真を撮るのが好きで、パソコンに詳しい奈緒、大人びた千恵子、学校をやめてダンサーを目指す知佐の3人に比べ、自分にはやりたいことがないと感じている。4人はそろって、お金をもらって年上の男たちと会う援助交際をしている。

夏休みを前にしたある日、4人は水着を買いに渋谷へ出かける。奈緒はゲイの男性コバヤシから携帯電話を借りていて、4人は伝言ダイヤルに、今日会える男性を募るメッセージを吹き込む。裕美は店で12万円のトパーズの指輪を見つけ、どうしても今日のうちに欲しくなる。4人はカラオケボックスで、マスカットを噛んで口から出してほしいという中年男の頼みを聞いて金を受け取り、山分けする。裕美は、あとは自分ひとりで稼いで、デパートの閉店までに指輪を買うと決める。

裕美はひとりで伝言の相手に会っていく。恋人のふりをしてレンタルビデオ店に付き合ってほしいという青年ウエハラには、アダルトビデオの棚の前で性的な虐待を受け、逃げ出した彼女に、彼はそれでも金を払う。コバヤシの恋人からは、コバヤシの子猫が病気だ、自分は彼と別れる、と伝言を頼まれ、裕美はそれを伝える。次に会ったのは、ぬいぐるみを抱えた青年だった。ラブホテルで裕美はそのぬいぐるみを繕ってやる。だがシャワーを浴びているところへ彼が入ってきて、見知らぬ男についてくる彼女をなじる。はじめから襲って、犯して、金を奪うつもりだったと言い、スタンガンを見せる。そして小銭を投げつけて出ていく。

携帯を返しに行った裕美に、コバヤシは子猫を救ってくれた礼を言う。青年に言われた言葉を裕美が口にすると、コバヤシは、そう言った人はきっと、あなたにとても価値があると思っているのだと答える。指輪は買えなかった。家に帰った裕美は、その日のことを思い返しながら眠りに落ちる。映画は、4人がくるぶしまでの水の中を、並んで排水路を歩いていく場面で終わる。

主な出演

  • 三輪明日美吉井裕美役

    やりたいことが見つからない女子高生。トパーズの指輪の代金を、一日でひとりで稼ごうとする。

    吉井裕美の物語

    裕美は写真を撮るのが好きな女子高生で、3人の友人と同じように、お金をもらって年上の男たちと会っている。渋谷で12万円のトパーズの指輪を見つけ、どうしても今日のうちに欲しくなり、閉店までにひとりで稼ごうと、伝言の相手に会いに行く。恋人のふりをしてほしいと頼んだ青年には、レンタルビデオ店で性的な虐待を受け、逃げ出した彼女に、彼はそれでも金を払う。ぬいぐるみを抱えた青年には、はじめから襲って犯し、金を奪うつもりだったと告げられ、小銭を投げつけられる。指輪は買えなかった。その青年の言葉を口にすると、コバヤシは、そう言った人はあなたにとても価値があると思っているのだと答える。映画は、4人がくるぶしまでの水の中を歩いていく場面で終わる。

  • 希良梨野田知佐役

    裕美の友人のひとり。学校をやめてプロのダンサーになるつもりでいる。

  • 工藤浩乃横井奈緒役

    裕美の友人のひとりでパソコンに詳しい。伝言ダイヤルに使う携帯電話を借りてくる。

  • 仲間由紀恵高森千恵子役

    裕美の友人たちのなかで、いちばん大人びた少女。

  • 浅野忠信キャプテンEO役

    ぬいぐるみを抱えた青年。裕美をラブホテルに連れて行き、説教をし、襲うつもりだったと打ち明ける。

この作品が問いかけるもの

『ラブ&ポップ』は、女子高生が大人の男からお金を受け取って会う援助交際を、お金を受け取る側の少女の目の高さから撮っている。『エヴァンゲリオン』を手がけた庵野秀明にとって初めての実写長編で、ほぼ全編が手持ちのデジタルビデオカメラで撮られた。庵野自身、4人を、どこにでもいそうでどこにもいない、おじさんの夢が詰まった女子高生たちだと語り、これが誰の幻想なのかを隠していない。裕美が出会う男たちこそが問題を抱えている。ひとりは彼女に性的な虐待を加え、ひとりは自分の嗜好に金を払い、ひとりは襲うつもりだったと打ち明けたうえで危険について説教をする。映画は、指輪への、そして意味のある一日への彼女の欲求を真剣に受けとめ、男たちの金を同意と取り違えさせない。未成年の少女は、男たちが金で買おうとしているものに同意することはできない。