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Cinema 月明かりの映画館

Shall we ダンス?

Shall We Dance?

1996映画日本

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

妻に言えない社交ダンス教室。中年男の説明できない喜び。

東京のボタン会社で経理課長を務める杉山正平は、妻の昌子、娘の千景と三人で暮らしている。郊外に庭付きの家を買い、夜遅くまで飲み歩くこともない。仕事にも家庭にも不満はないはずなのに、心の奥に満たされない何かがある。ある晩、正平は電車の窓から、小さなダンス教室の窓辺にたたずむ女性の姿を見る。毎晩その姿を眺めた末、思い切って教室の扉をたたき、家族には内緒で社交ダンスを習い始める。

ところがグループレッスンを受け持つのは、あこがれの岸川舞ではなく、ベテランのたま子先生だった。妻にいいところを見せたい服部、やせたい田中と親しくなり、長年通う押しの強いシングルマザーの高橋豊子に圧倒されながら、正平はダンスにのめり込んでいく。教室では、会社で変わり者と馬鹿にされている同僚の青木が、かつらをつけて熱心に踊っていた。食事に誘った舞からは、安易な気持ちで来てほしくないと厳しくたしなめられる。舞はかつて世界大会にも出た一流のダンサーで、父の経営する教室で、しかたなく講師をしていたのだ。それでも正平は、ダンスそのものに惹かれていく。

夫の帰りが遅くなったことを心配した昌子は、探偵の三輪に調査を頼み、夫がダンス教室に通っていると知る。正平は豊子と組んでアマチュアの大会に出ることになり、指導にあたる舞の胸にも、ダンスへの情熱がよみがえってくる。大会当日、娘の声援で家族が見に来ていると知った正平はうろたえ、よろけた豊子を支えようとして衣装のスカートを踏み、破いてしまう。ダンスは中断された。

正平はダンスをやめる。家を訪ねてきた青木と豊子は、海外でふたたび踊ることを決めた舞のお別れパーティーに来てほしいと伝え、舞の手紙を渡す。そこには、かつての舞のつらい経験と、正平たちと出会ってからの心の変化がつづられていた。パーティーの前夜、ダンスを続けてほしいと言う妻につい当たってしまった正平は、娘の言葉で我に返り、妻に謝る。当日、帰りの電車から教室を見上げると、窓に「シャル・ウィ・ダンス? 杉山さん」という貼り紙があった。舞がラストダンスの相手を選ぼうとしたそのとき、スーツ姿の正平が現れる。舞は笑顔で歩み寄り、シャル・ウィ・ダンス?と声をかける。

主な出演

  • 役所広司杉山正平役

    家族も郊外の家もある堅実な経理課長。家族に内緒で社交ダンスを習い始める。

    杉山正平の物語

    正平は毎晩、電車の窓からダンス教室の窓辺に立つ女性を眺めた末に、思い切って扉をたたく。グループレッスンを受けるうちにダンスにのめり込み、食事に誘った舞に厳しくたしなめられても、自分が惹かれているのはダンスそのものだと気づく。教室では、会社で馬鹿にされている青木が、かつらをつけて踊っていた。アマチュアの大会では、娘の声援で家族が来ていると知ってうろたえ、豊子のスカートを破いてしまう。失格した青木が会社で笑われるとかばうが、自分はダンスをやめると決め、続けてほしいと言う妻につい当たり、あとで謝る。電車の窓から教室の貼り紙を見た彼は、舞のお別れパーティーのラストダンスに間に合い、舞に踊りを申し込まれる。

  • 草刈民代岸川舞役

    世界大会にも出た一流のダンサー。挫折を経て、父の小さな教室でしかたなく講師をしている。

    岸川舞の物語

    舞は教室の窓辺に立ち、行き交う電車を物憂げに眺めている。生徒になった正平に食事に誘われると、安易な気持ちでここに来てほしくないと厳しくたしなめる。大会に出る正平と豊子の指導を任され、豊子に文句を言われながらも練習を続ける正平の姿を見るうちに、ダンスへの情熱がよみがえってくる。父の教室を辞めて海外でもう一度踊ると決めた彼女は、正平に手紙を書く。かつての挫折は、パートナーを信じずにひとりで踊っていたからだったこと、正平たちと出会って心が変わったこと。お別れパーティーの終わり、ラストダンスの相手を選ぼうとしたそのとき、スーツ姿の正平が現れ、舞は笑顔で歩み寄って、シャル・ウィ・ダンス?と声をかける。

  • 竹中直人青木富夫役

    会社で馬鹿にされている正平の同僚。かつらをつけ、誰にも内緒でダンスに打ち込んでいる。

  • 渡辺えり子高橋豊子役

    長年教室に通う押しの強いシングルマザー。大会で正平と組む。

  • 原日出子杉山昌子役

    正平の妻。夫の浮気を疑い、夜の行き先を探偵に調べさせる。

  • 柄本明三輪徹役

    昌子に調査を頼まれる探偵事務所の所長。正平のダンス通いを突き止める。

この作品が問いかけるもの

この映画は、しなければならないことをすべてやってきた男が、それでは足りないと気づく物語であり、控えめであることをよしとする文化のなかで、楽しみを求めていると認めることの難しさの物語でもある。当時の日本で社交ダンスは時代遅れと思われがちで、会社員が同僚にも妻にも隠しておきたいものだった。映画は日本アカデミー賞を独占し、社交ダンスの新たなブームを呼び、アメリカではアニメを除く日本映画の興行記録を作った。もっともやさしい洞察は夫婦の描き方にある。浮気を疑った昌子が見つけたのは、妻にも言葉にできない何かを求めていた夫の姿だった。映画は、互いの憧れを秘密にしておくことで夫婦が何を失うのかを問い、その答えを軽やかに、ひとつのダンスで示す。