娼年
Call Boy
Journalでの言及
Journalその言葉は、別の誰かのために作られた。Journal予約の申込みを読めば、そのサービスがわかる。ストーリー
結末まで書いています。
退屈した大学生が女性向けの娼年に。客ごとに異なる女性の欲望のかたち。
森中領は一流大学に籍を置きながら講義にはほとんど出ず、夜はバーテンダーとして働く二十歳の青年だ。女にもセックスにも退屈している。手順の決まった退屈な運動だ、と彼は言う。ある夜、ホストになった友人のシンヤが年上の女性・御堂静香を連れて店に来る。静香は、仕事が終わる頃に店の前で待っていると書いた名刺を残していく。彼女の部屋で、リョウは生まれつき耳の聞こえない咲良と、静香の見ている前で身体を重ねさせられる。静香が五千円札を置き、咲良がさらに五千円を重ね、静香は「ぎりぎり合格」と告げる。彼女は女性客に男を売る会員制クラブの経営者だった。リョウは娼夫になる。
仕事は彼を開いていく。触れる前に、まず話を聞くことを覚える。常連のヒロミは、はじめはカフェで話すことしか求めない。上品なイツキには、放尿する姿を見られたいという秘めた願いがあり、それを見たいと口にするのはリョウのほうだ。夫にもう女として見られていないことに傷ついた主婦。車椅子で暮らす泉川は、妻の紀子とリョウの時間を映像に残したいと望む。七十一歳の女性は、亡き夫の思い出と年を重ねた身体について語る。やがてリョウは特別な客を受け持つ一人となり、痛みに快楽を覚える先輩の娼夫アズマは、傷だらけの体を彼に見せる。仕事を知ったシンヤとゼミの同級生メグミはリョウを責めるが、彼はやめない。アズマと並ぶ売れっ子になったリョウに、静香は欲しいものをあげると言う。リョウは静香を求めるが、彼女は静かに拒む。そこへ指名が入る。客はメグミだった。行為のあと、あなたは私とは違う世界の人だったと彼女は言う。
静香は自分の過去を語る。娼婦だった頃に客と恋に落ちて咲良を産み、いまはエイズウイルスとともに生きていること。リョウはもう一度、静香の前で咲良を抱きたいと願い出て、再試験は認められる。やがてクラブは摘発され、静香は逮捕される。その前に静香は、リョウが幼い頃に急死した母のことを調べていた。咲良を通して届いた答えは、母もまた身体を売っていて、倒れた日も客と会っていたというものだった。リョウはすべてを受け入れる。最後の場面では、咲良を中心にクラブが再開され、リョウはいまも娼夫として働いている。
主な出演
松坂桃李森中領役
退屈を抱えた二十歳の大学生で、バーテンダー。娼夫となり、客ひとりひとりの欲望と向き合っていく。
森中領の物語
リョウは二十歳の大学生で、バーで働き、セックスを手順の決まった退屈な運動だと言う。静香の見ている前で咲良を抱く試験を受け、ぎりぎり合格と告げられて、彼女のクラブの娼夫になる。客の話に耳を傾けることを覚え、話をしたいだけの女性、夫に女として見られなくなった主婦、七十一歳の女性と向き合う。仕事を知ったシンヤとメグミに責められても、やめない。アズマと並ぶ売れっ子になり、褒美に静香自身を求めるが、静かに拒まれる。客として彼を指名したメグミには、違う世界の人だったと告げられる。静香の前でもう一度咲良を抱きたいと願い出る。静香の逮捕のあと、咲良を通して、幼い頃に急死した母もまた身体を売っていたと知る。リョウはすべてを受け入れ、仕事を続ける。
真飛聖御堂静香役
女性客に男を売る会員制クラブの経営者。娼婦だった過去を持ち、エイズウイルスとともに生きている。
御堂静香の物語
静香は、女性客に男を売る会員制クラブを営んでいる。バーでリョウに名刺を残し、仕事明けの彼を赤い車で迎え、自分の見ている前で咲良を抱かせて五千円札を置き、ぎりぎり合格と告げる。スーツを仕立ててやり、写真を撮らせ、彼が売れっ子になっていくのを見守る。褒美に彼女自身を求められると、静かに拒む。やがて自分の過去を語る。娼婦だった頃に客と恋に落ちて咲良を産み、いまはエイズウイルスとともに生きていること。咲良との再試験を願い出たリョウに、それを認める。クラブは摘発され、静香は逮捕されるが、その前に昔のつてをたどってリョウの母のことを調べており、その答えは咲良を通して彼に届く。
冨手麻妙咲良役
静香の娘で、生まれつき耳が聞こえない。最初の夜にリョウを試し、のちにクラブを受け継ぐ。
桜井ユキ白崎恵役
リョウのゼミの同級生。彼の仕事を責め、やがて自ら客として彼を指名する。
猪塚健太平戸東役
クラブの売れっ子娼夫。痛みに快楽を覚え、リョウが売れっ子になると予言して、彼と心を通わせる。
江波杏子老女役
七十一歳の客。亡き夫の思い出と年を重ねた身体について語ってから、自分の望みを口にする。
この作品が問いかけるもの
『娼年』は、お金で買われる性のいつもの向きを逆にする。客は女性で、売られるのは若い男だ。映画が見つめるのは、彼が何をするかより、耳を傾けることで何を知るかだ。問われるのは、さまざまな形をした女性の欲望、孤独や障害や老い、性を売る仕事とそれにまとわりつく偏見、そして息子の歩む道を堕落ではなく受け継いだものに見せる、母の秘密。2016年に石田衣良の原作を松坂桃李主演で舞台化した三浦大輔が、同じ主演で映画にした。2018年4月に全国73館で成人指定の作品として公開されると、女性客を中心に支持を集め、公開6週目で興行収入3億円を超え、成人指定作品として日本初の女性限定の応援上映も開かれた。江波杏子の遺作でもある。人の欲望に応えることは、ひとつの思いやりになりうるのか。そして、応える側は何を差し出しているのか。