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Cinema 月明かりの映画館

エゴイスト

Egoist

2023映画日本

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

ファッション誌編集者が若いトレーナーとその母を支える。金で支える愛は愛か。

斉藤浩輔は東京のファッション誌の編集者で、仲間うちではゲイであることを隠さずに生きている。18歳で故郷を出た。14歳で母を亡くし、父にははっきりと打ち明けたことがない。仲間の紹介で、若いパーソナルトレーナーの中村龍太と出会う。トレーニングを重ねるうちにふたりは結ばれ、浩輔は深く惹かれていく。龍太は病気がちな母・妙子に女手ひとつで育てられ、働いて母を支えている。浩輔は龍太に、母へのお土産を持たせるようになる。

ある日、龍太はもう終わりにしたいと言う。母の治療費のために体を売っていて、浩輔と出会ってからは割り切れなくなったのだ。電話に出なくなった龍太を、浩輔は客を装ってホテルに呼び出し、申し出る。毎月、自分がお金を渡す。一緒にがんばろう。龍太は受け入れ、足りない分を朝から晩までのアルバイトで稼ぐ。お土産のお礼にと妙子に夕食へ招かれた浩輔は、その食卓に、少年のころから失っていたぬくもりを見いだす。妙子が手術を受けることになると、浩輔は通院のために車を買う。納車の日、浩輔は車の中で、海へ行こうと言った龍太を待つ。電話に出たのは妙子だった。龍太はその朝、布団の中で亡くなっていた。

葬儀で浩輔は泣き崩れ、妙子に謝る。妙子は、ふたりの関係を知っていたと告げる。龍太は、浩輔に救われた、この世は地獄だけじゃなかったと言っていた、と。実家に戻った浩輔に、父は、病に倒れた母から別れてほしいと頼まれても、別れなかった日のことを話す。浩輔は妙子に、龍太に渡していたお金をこれからも受け取ってほしいと頼む。驚く妙子に、浩輔は引かない。妙子は浩輔を夕食に迎え、ときには龍太の部屋に泊めるようになる。ある日、妙子の姿が消える。すい臓がんで一週間前から入院していたのに、心配させたくなくて知らせなかったのだ。愛がなんなのかわからない、と言う浩輔に、妙子は、自分でわからなくても私たちがそう思っているから大丈夫、と答える。同室の患者に息子さんかと聞かれ、妙子は、自慢の息子なの、と言う。最後の場面で、妙子は手を差し伸べ、まだ帰らないでね、と言う。浩輔はその手を握り返す。

主な出演

  • 鈴木亮平斉藤浩輔役

    東京で働くゲイのファッション誌編集者。14歳で母を亡くし、龍太とその母に、お金と心を注いでいく。

    斉藤浩輔の物語

    浩輔が故郷に帰るのは年に一度、母の命日だけで、父にははっきり打ち明けたことがない。龍太には一気に惹かれ、彼の母への土産を持たせるようになる。体を売って母の治療費を稼いでいると打ち明けて去った龍太を、客を装ってホテルに呼び出し、毎月自分がお金を渡すから一緒にがんばろうと申し出る。妙子の食卓に少年の日に失ったぬくもりを見いだし、通院のための車を買う。納車の日、海へ行こうと言った龍太を車で待つが、龍太はその朝、布団の中で亡くなっていた。浩輔は、龍太に渡していたお金を受け取ってほしいと妙子に頼みこみ、愛がなんなのかわからない、と言う。最後の病室で、まだ帰らないでねと差し出された妙子の手を、彼は握り返す。

  • 宮沢氷魚中村龍太役

    若いパーソナルトレーナー。病気の母の治療費のために体を売っていたが、浩輔の申し出を受け入れる。

    中村龍太の物語

    龍太は母の妙子を支えながら、パーソナルトレーナーとして働いている。浩輔とのトレーニングはやがて恋になり、浩輔からの土産を母のもとへ持ち帰る。だがある日、もう終わりにしたいと告げる。母の治療費のために体を売ってきたが、浩輔と出会ってから割り切れなくなったのだ。客を装った浩輔にホテルで毎月の援助を申し出られると、会わなければよかったと取り乱し、やがてその手を取る。売りをやめ、昼は産業廃棄物の処理、夜は食堂の皿洗いと働きづめになるが、母に仕事を隠さずにすむことを喜ぶ。車が届く日に海へ行こう、と浩輔を誘ったその朝、彼は布団の中で息を引き取る。浩輔に救われた、この世は地獄だけじゃなかったと龍太が話していたことを、葬儀の日に妙子が伝える。

  • 阿川佐和子中村妙子役

    龍太をひとりで育てた母。浩輔が息子にとって何者だったかを知り、龍太の死後、彼を迎え入れる。

    中村妙子の物語

    妙子は病気がちで、息子の稼ぎに支えられて暮らしている。土産のお礼にと浩輔を夕食に招き、その夜、浩輔さんはあなたの大事な人なんでしょ、相手が男でも女でもいい、と龍太に尋ねる。手術のあと、龍太が布団の中で亡くなり、浩輔からの電話に出たのは彼女だった。葬儀では、龍太はあなたに救われたと言っていた、と浩輔に伝える。龍太に渡していたお金を受け取ってほしいと頼まれて驚くが、やがて彼を夕食に迎え、ときには龍太の部屋に泊める。すい臓がんで入院したことは知らせずにいたが、駆けつけた浩輔に、愛してくれてありがとう、と言う。同室の患者には自慢の息子だと話し、まだ帰らないでねと手を差し伸べる。

  • 柄本明斉藤義夫役

    故郷に暮らす浩輔の父。誰かいい人はいないのかと息子に尋ねる。かつて、病の妻のそばを離れなかった。

この作品が問いかけるもの

『エゴイスト』が問うのは、お金を払う愛はそれでも愛なのか、ということだ。浩輔にはお金があり、龍太には病気の母と、母を支えるために売ってきた体がある。映画はその不均衡から目をそらさない。浩輔自身、自分の献身が愛なのか、失った家族を買おうとしているだけなのかを問い続ける。その問いのまわりには、ふたりの居場所の乏しさが映っている。龍太の葬儀で、浩輔は弔問客のひとりでしかない。原作はコラムニスト高山真の自伝的小説で、はじめ別の筆名で出版され、彼の没後に本名で復刊された。答えは、それを口にする資格のあるただひとりの人から届く。すべてを知っていた妙子は言う。自分でわからなくても、私たちがそう思っているから大丈夫。