このごにおよんで愛など
Between Two Lovers
ストーリー
結末はまだ書いていません。
結婚3年目の絵本作家は、担当編集者の女性とひそかに関係を続けてきた。選択を迫られた彼女は、3人で暮らし、3人で子どもをつくろうと言い出す。
絵本作家の小島詩は、保険会社に勤める杜夫と結婚して3年になる。杜夫は気遣いができて料理も得意だが、古き良き家族観とのあいだで揺れている。子どもをつくろうという夫の提案を、詩ははぐらかす。彼女は担当編集者の倉持潤奈と、ひそかに関係を続けていた。潤奈は不器用でとげがあり、詩に不満を抱えながらも一途で、簡単には関係から降りない。ある日、杜夫と潤奈のふたりから選択を迫られた詩は、変なことを想像しちゃった、3人でこの家に住むの、と言い出し、3人で子どもをつくろうと持ちかける。
突拍子もない提案と詩そのものに、杜夫と潤奈は戸惑う。詩はふたりのどちらにも好きだとまっすぐに告げ、ふたりは彼女を、わがまま、いい加減、だらしない、欲張りと言いながら、どこか嬉しそうでもある。ひとつ屋根の下で、3人は寄りかかり、ぶつかり、試し合う。いちばん普通に見える杜夫は、その普通さを揺さぶられ、潤奈は夫婦のあいだに割って入るのではなく、3人の関係をもうひとつの現実として引き受けていく。互いの関係は少しずつ変わりはじめ、やがて潤奈の妊娠がわかる。まわりには、杜夫の同僚夫婦、詩の友人コンちゃんとそのパートナーのスギくん、杜夫と潤奈が相談に訪れる弁護士、女性のためのクリニックで働く女性がいる。
主な出演
この作品が問いかけるもの
三角関係の物語は、たいてい誰かが選ぶところで終わる。『このごにおよんで愛など』は、選べと迫られたところから始まり、主人公はそれを拒む。詩は夫も潤奈も欲しい。彼女の答えは、ひとつの家と、3人でつくる子どもだ。是枝裕和と西川美和の監督助手を務めてきた広瀬奈々子監督は、もっといろいろな家族の形があってもいいという思いからこの映画が生まれたと語り、脚本は2023年、釜山国際映画祭の企画マーケットでふたつの賞を受けた。作品が差し出すのは具体的な問いだ。子どもを望む結婚、その内側でひそかに続く女性同士の恋、そして3人の大人がひとりの子を育てるとき、法はそれをどう扱うのか。クレジットには性的少数者に関する監修と法律監修が並び、物語でも杜夫と潤奈は弁護士のもとを訪ねる。