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Cinema 月明かりの映画館

Tinder詐欺師:恋愛は大金を生む

The Tinder Swindler

2022ドキュメンタリーイギリス

465作品の星図のなかで見る

Journalでの言及

Journal恋愛を始める準備と、選ばれる準備は別のもの。

ストーリー

結末まで書いています。

ダイヤモンド王子を騙る男に騙された3人の女性。なぜ詐欺が成立したかを描く。

サイモン・レヴィエフと名乗る男が、どうやってプライベートジェットの暮らしを支えていたのか。この映画は、彼にだまされた3人の女性の証言でそれを明かしていく。2018年1月、ロンドンの大学院で学ぶ29歳のノルウェー人、セシリエ・フィエルホイは、出会い系アプリで「サイモン」とつながる。アプリの達人を自任する彼女に、彼はイスラエルのダイヤモンド王レフ・レヴィエフの息子だと名乗った。フォーシーズンズホテルでのコーヒーから始まった初デートは、彼のジェット機でソフィアへ飛んで終わる。離れていても彼はバラと音声メッセージを送り、オスロに不意に現れ、ふたりで住むロンドンの部屋を探してほしいと頼む。交際から3か月、血まみれの彼とボディガードの写真が届く。敵にカードを追跡されている、金が要る、と。彼女は借金を重ね、その額はおよそ25万ドルに膨らむ。返済にと送られてきた小切手は不渡りだった。

スウェーデンのペルニラ・ショーホルムは、同じ年の春にアプリで彼と知り合い、恋人ではなく友人として欧州を旅して、約4万5千ドルを貸していた。借金についてカード会社に問い合わせたセシリエは、当局から恋人の写真を求められる。深く落ち込んだ彼女はオスロに戻って治療を受け、ノルウェーの新聞ヴェルデンス・ガングに事の次第を打ち明ける。2019年の調査報道で、サイモンの正体は詐欺の前科をもつシモン・ハユットであり、ひとりの女性から引き出した金で次の女性を魅了していたことが明らかになる。取材を断った彼は、自分で撮った映像と音声メッセージの中にだけ現れ、すべてを否定する。アムステルダムで彼の恋人だったアイリーン・シャーロットは、約14万ドルを渡していたが、やがて反撃に転じ、彼のブランド服を売り払う。3人の女性の働きもあって、彼は2019年、偽造旅券を使ってギリシャで逮捕され、イスラエルへ送られる。昔の詐欺事件で禁錮15か月を言い渡されるが、5か月で釈放される。女性たちの手元には借金が残る。最後の場面でも、セシリエはまだアプリを使っている。そしていま彼の名前を検索すれば、その嘘を暴く記事がいくつも並ぶ。

主な出演

この作品が問いかけるもの

スリラーとして観られることが多いが、本当の主題は、愚かではない人に詐欺がどう効いていくかだ。女性たちは、誰もが勧められることをしていた。名前を検索し、写真を確かめ、人目のある場所で会った。確かめようがなかったのは、危険と献身をめぐって彼が何か月もかけて築いた物語だ。映画は、切迫したメッセージのたびに愛情が借金へ変わる過程を見せ、その後も描く。事件が明るみに出ると見知らぬ人々は彼女たちを金目当てと罵り、裁判所や銀行は、監督が「強圧的な支配」と呼んだものの被害者としてではなく、借り手として扱った。本作は、配信元の週間映画ランキングで首位に立った初のドキュメンタリーだ。最後の場面は、ネット時代の正義へのささやかな答えだ。法がほとんど動かなかった場所で、女性たちは、彼の名前を検索すれば真実が出てくるようにした。