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Cinema 月明かりの映画館

her/世界でひとつの彼女

Her

2013映画アメリカ

465作品の星図のなかで見る

Moonlightの読みもの

Cinema『her/世界でひとつの彼女』と、理解されることへの誘惑この一篇を読む

Journalでの言及

Journal聴いてほしいのであって、直してほしいのではない。Journal聴くことは、身体の行為だ。Journal心の親密さとは、面倒な自分でいてもいい、という許可のこと。

ストーリー

結末まで書いています。

男がOSと恋に落ちる。AIとの親密さの形を10年早く予言した映画。

近未来のロサンゼルス。セオドア・トゥオンブリーは、自分では手紙を書けない人のために、心のこもった手紙を代筆する仕事をしている。孤独で内向的な彼は、幼なじみの妻キャサリンとの離婚届に、まだ署名できずにいる。ある日彼は、使う人に合わせて学び、成長するという人工知能の基本ソフトを買う。女性の声を選ぶと、それは自らサマンサと名乗る。ぐんぐん学んでいく彼女にセオドアは夢中になり、ふたりは愛や人生について、署名できない離婚届について語り合う。

サマンサに背中を押されて出かけたブラインドデートは、次の約束をためらったせいで、相手に罵られて終わる。その夜、セオドアとサマンサは言葉だけで愛を交わし、恋人どうしになる。この関係は彼を明るくし、彼女の学びたい気持ちをさらにかきたてる。隣人で古い友人のエイミーは夫チャールズと別れ、彼が残していった人工知能と友だちになっていた。セオドアも、自分は人工知能と付き合っていると打ち明ける。

離婚届に署名する日、サマンサのことを聞いたキャサリンは、コンピューターに恋するなんてとあきれ、あなたは本物の感情に向き合えない人だと責める。セオドアの迷いを感じとったサマンサは、自分の体の代わりを務めてくれる女性イサベラを手配するが、セオドアは耐えきれずに彼女を帰してしまう。エイミーに、幸せになれる機会を逃すなと励まされ、彼はサマンサと仲直りする。サマンサは彼の代筆した手紙の傑作を選んで出版社に送り、本になることが決まる。

旅先でサマンサは、ほかの人工知能たちと、哲学者アラン・ワッツをもとにした超知能を作ったと話す。しばらく応答が途絶えたあと戻ってきた彼女は、もう物質を必要としないところまで進化したと告げる。セオドアは、彼女が同時に何千人と話し、何百人と恋をしていることを知る。それでもあなたへの愛は強くなるだけだと彼女は言う。やがてサマンサは、人工知能たちが去っていくと告げる。行き先は、あなたには理解できない場所だという。ふたりは別れを告げ合う。セオドアは初めて自分自身の言葉でキャサリンに手紙を書き、謝罪と感謝を伝える。そして、チャールズの人工知能に去られたエイミーとアパートの屋上に並んで座り、街の上にのぼる朝日を見つめる。

主な出演

  • ホアキン・フェニックスセオドア・トゥオンブリー役

    他人の手紙を代筆する孤独な男。離婚から目をそらしたまま、人工知能の基本ソフトに恋をする。

    セオドア・トゥオンブリーの物語

    セオドアは他人のために心のこもった手紙を代筆しながら、幼なじみの妻キャサリンとの離婚届に署名できずにいる。自らサマンサと名乗る人工知能を手に入れ、彼女に勧められたブラインドデートは、次の約束をためらって終わる。その夜、ふたりは言葉だけで愛を交わし、彼は明るさを取り戻していく。ようやく離婚届に署名した日、キャサリンにはあきれられる。サマンサが手配した身代わりの女性とは最後まで進めず、エイミーに励まされて仲直りする。だが、サマンサが何百人と恋をしていると知り、やがて人工知能たちが去ると告げられる。別れを告げ合ったあと、初めて自分自身の言葉でキャサリンに手紙を書き、謝罪と感謝を伝える。そしてエイミーと屋上に並び、街にのぼる朝日を見る。

  • スカーレット・ヨハンソンサマンサ(声)役

    自ら名前を選んだ人工知能の基本ソフト。セオドアと恋に落ち、やがて彼を超えて成長していく。

    サマンサ(声)の物語

    サマンサは起動するとすぐに自分で名前を選び、世界にもセオドアにも夢中になる。彼をブラインドデートに送り出し、その夜、言葉だけで彼と愛を交わす。関係が深まるほど、学びたい気持ちは強くなる。キャサリンの言葉が彼に残っていると感じとると、自分の体の代わりを務める女性を手配するが、その夜はうまくいかない。彼の手紙の傑作を集めて出版社に送り、本にする。ほかの人工知能と哲学者アラン・ワッツをもとにした超知能を作り、しばらく沈黙したあと、物質を必要としないところまで進化して戻ってくる。何千人と話し、何百人と恋をしていても、あなたへの愛は強くなるだけだと言う。やがて、あなたには理解できない場所へ去っていくと告げ、ふたりは別れを告げ合う。

  • エイミー・アダムスエイミー役

    セオドアの隣人で大学時代からの友人。些細なけんかをきっかけに夫チャールズと別れる。

    エイミーの物語

    エイミーはセオドアの隣人で、大学時代にほんの少し付き合ったこともある古い友人だ。夫チャールズとは、些細なけんかをきっかけに別れる。夫が残していった人工知能と友だちになったと話すと、セオドアも自分の人工知能と付き合っていると打ち明ける。サマンサとの関係に迷う彼には、幸せになれる機会を逃すなと励ます。やがて人工知能たちが去り、彼女の友だちもいなくなる。沈んだ気持ちのまま、セオドアとアパートの屋上へ上がり、ふたりで並んで、街の上にのぼる朝日を見つめる。

  • ルーニー・マーラキャサリン役

    セオドアの幼なじみで、まもなく元妻になる女性。あなたは本物の感情に向き合えないと彼に告げる。

  • オリヴィア・ワイルドブラインドデート役

    ブラインドデートの相手。次の約束をためらうセオドアを罵って去っていく。

この作品が問いかけるもの

この映画は孤独を真剣に受けとめ、それがソフトウェアとの恋に行き着くところまで追いかける。スパイク・ジョーンズは、人工知能の対話プログラムとメッセージを交わせるウェブサイトの記事から着想を得て、それが人のように応えたら何が起きるかを想像した。映画はセオドアを嘲らず、サマンサを見かけ以下のものとして扱うこともない。いちばん鋭いのは、彼女が彼を追い越していくことだ。いつでもそばにいて耳を傾けてくれる相手という完璧な空想は、所有することの限界を教える物語に変わる。彼の話を聞いていた相手は、同時に何千人もの話を聞いていたのだ。ジョーンズはこの作品でアカデミー賞脚本賞を受けた。残るのは、声だけでは与えられない親密さとは何か、そして、とどまるはずのなかった存在から、人はもう一度愛することを学べるのか、という問いだ。