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Cinema 月明かりの映画館

キンク

Kink

2013ドキュメンタリーアメリカ

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

SMポルノを製作するサンフランシスコの旧武器庫の内側。生産規模で示される同意の交渉。

この映画が入っていくのは、サンフランシスコの14番街とミッション通りの角に建つ、築百年を超えるれんが造りの旧武器庫だ。そこには、緊縛やサドマゾヒズムのポルノで世界最大手のキンク・ドットコムが入っている。別の映画の撮影でこの建物を使ったジェームズ・フランコが、長年の仕事仲間クリスティーナ・ヴォロスを説き伏せて監督させた。

冒頭、同社の監督のひとりメトレス・マデリンが、新人の男性出演者に、撮影でされるかもしれないことを一つずつ尋ね、そのたびに可否を答えさせる。続いて、1997年に大学の寮の一室で事業を始めた英国出身の創業者ピーター・アクワースが、事務所や楽屋、何十ものセットが並ぶ建物を案内する。角の向こうから集団の撮影の声が響いても、彼は平然としている。

ヴォロスは、どこにでもある職場を撮るようにこの会社を見つめる。制作会議、セットづくり、リハーサル、モニターに向かう監督たち。ベトナム系アメリカ人の監督ヴァン・ダークホルムは、男性同士の緊縛の場面に、ほかの映画監督と変わらない集中で向き合う。出演者の手配を担うジェシー・リーは、痛みを扱う場面では本当に痛みを感じ、本物の反応をしてほしいのだと説明する。ルールもはっきり示される。出演者は「モデル」と呼ばれ、自分で限界を決め、きつい場面の前後にはカメラの前で話を聞かれる。セーフワードは絶対で、監督は場面を終えた相手を必ずいたわる。出演者たちは「サブスペース」と呼ばれる感覚を語り、撮影をマラソンの練習にたとえ、自分たちの嗜好は誤解されていると口をそろえる。疑問の声はまれだ。自分の子どもがこの業界に入ったらどう思うかと聞かれた一人は、ここには迷子の魂がたくさんいると答える。映画は暗転した画面に撮影の音だけを流して終わり、クレジットは音楽なしで流れていく。

主な出演

  • ピーター・アクワース本人

    キンク・ドットコムの英国出身の創業者。大学の寮で事業を始め、旧武器庫の中を案内する。

  • メトレス・マデリン本人

    同社の監督のひとり。冒頭、新人の出演者に一つずつ可否を確かめ、限界を聞き取っていく。

  • ヴァン・ダークホルム本人

    男性同士の緊縛の場面を撮るベトナム系アメリカ人の監督。ほかの映画監督と変わらない集中で撮影に臨む。

  • ジェシー・リー本人

    出演者の手配役。痛みを扱う場面では本当に感じ、本物の反応をしてほしいと説明する。

この作品が問いかけるもの

この映画は、多くの人が外から想像するしかない世界の真ん中に、同意という問題を置く。旧武器庫では、残酷に見える場面も事前に細かく取り決められ、一つの言葉で止まり、終われば相手をいたわる。少なくともこの職場が敬意とはっきりした合意で回っていることを、映画は説得力をもって示す。これは仕事の映画でもある。だが、映画が語らないことも、この主題の一部だ。会社への問いかけがほとんどないこと、元出演者から寄せられてきた苦情に触れないこと、演じられた虐待の映像が途切れなく届けられる観客の側を問わないことを、批評家たちは指摘した。暗い画面に音だけが流れる結末は、そのことを知っているようにも見える。撮影現場での丁寧な同意は、映像が外へ出たあとの意味まで決めてくれるのか。その問いは開かれたままだ。