マッドメン
Mad Men
ストーリー
結末まで書いています。
1960年代マディソン街。ドン・ドレイパーだらけのビルを進む、ペギーとジョーンの二つの道。
1960年3月、ドン・ドレイパーはマディソン街の広告代理店スターリング・クーパーの才気あふれるクリエイティブ・ディレクターだ。女性関係は派手で、郊外の家には美しい妻ベティと子どもたちがいる。新しい秘書として来たペギー・オルセンに、事務長のジョーン・ホールウェイが職場の流儀を教える。だがドンは、名乗っているとおりの男ではない。娼婦の息子ディック・ホイットマンとして生まれた彼は、朝鮮戦争で事故の爆発に巻き込まれて死んだ上官の名を名乗り、その嘘の上に人生を築いてきた。彼を見つけ出した異母弟アダムに金を渡して姿を消させると、アダムは自ら命を絶つ。ペギーはコピーライターに昇格し、第1シーズンの終わり、営業担当ピート・キャンベルとの子を産むが、わが子として認めようとしない。
第2シーズン、ジョーンは婚約者にドンのオフィスでレイプされ、それでも彼と結婚する。ドンの過去と浮気を知ったベティは、第3シーズン、ケネディ暗殺のあと離婚を切り出し、政治顧問のヘンリー・フランシスと再婚する。ドンと共同経営者たちは会社を飛び出し、新しい代理店スターリング・クーパー・ドレイパー・プライスを立ち上げる。酒に溺れ漂うドンは、第4シーズンの終わりに若い秘書のミーガンに求婚する。第5シーズン、会社は自動車の大口契約を勝ち取るが、それはジョーンが、共同経営者の地位と引き換えに、契約の条件として彼女を求めた販売業者と寝たからだった。ペギーはライバル会社へ移り、小切手を偽造していたことが露見したイギリス人の共同経営者レーン・プライスは自ら命を絶つ。
第6シーズン、チョコレート会社への売り込みの最中に崩れたドンは、娼館で育ったことを顧客の前で告白する。共同経営者たちは彼を停職にし、感謝祭の日、ドンは子どもたちに自分が育った家を見せる。ミーガンは彼のもとを去る。1970年、会社は巨大代理店マッキャン・エリクソンに吸収され、ドンはそこの会議を抜け出して西へ車を走らせる。
最終回、サリーはドンに、ベティが末期の肺がんだと告げる。マッキャンで嫌がらせを受けて辞めたジョーンは、自宅で映像制作の会社を始める。ロジャーはミーガンの母と結婚するつもりだ。ペギーはジョーンの共同経営の誘いを断り、同僚のスタンに愛していると告げられ、自分も彼を愛していると気づく。ピートは妻と娘を連れてウィチタへ旅立つ。カリフォルニアの海辺の精神修養の施設で、ドンはペギーに電話をかけて自分の過ちを打ち明け、グループセッションでは、誰にも見てもらえないと泣く見知らぬ男を抱きしめる。最後に映るのは、丘の上で瞑想し微笑むドン。そして、現実にはマッキャンが作った1971年のコカ・コーラのテレビ広告が流れ始める。
主な出演
ジョン・ハムドン・ドレイパー役
才気あふれるクリエイティブ・ディレクター。朝鮮戦争で他人の名を奪い、周りを犠牲にしながら自分を作り変え続ける。
ドン・ドレイパーの物語
1960年、ドンはスターリング・クーパーの花形で、郊外に妻ベティと子どもたちを持ち、浮気を重ねている。だが本名はディック・ホイットマンだ。訪ねてきた異母弟アダムを金で追い払い、アダムは自ら命を絶つ。真実を知ったベティとは離婚し、新しい代理店の設立に加わって、酒に溺れ、秘書のミーガンと結婚する。チョコレート会社への売り込みで娼館育ちだと口にして停職となり、感謝祭の日、子どもたちに育った家を見せる。ミーガンは去る。ペギーの下で働いて信頼を取り戻すが、会社がマッキャンに吸収されると会議を抜け出して西へ向かう。ベティが末期のがんだと知り、カリフォルニアの海辺の施設からペギーに電話し、見知らぬ男を抱きしめ、最後は丘の上で瞑想しながら微笑む。
エリザベス・モスペギー・オルセン役
ドンの秘書からコピーライター、そしてクリエイティブの責任者へ。男の世界で一段上がるたびに代償を払う。
ペギー・オルセンの物語
1960年、ペギーは営業のピート・キャンベルと関係を持ち、口紅の座談会を機にコピーライターになる。一年目の終わり、病院で陣痛だと知らされて彼の子を産むが、顔も見ようとしない。子を手放し、何もなかったように前へ進めというドンの言葉どおりにする。ドンの新しい代理店では最大の顧客を失った会社に新たな契約をもたらすが、彼に辱められ、競合他社のコピー部長に転じる。会社どうしが合併すると、上司テッドとついに結ばれるが、彼はカリフォルニアへ去る。部下となったドンと組み、売り込みを率いて大きな契約を勝ち取る。マッキャンではジョーンの共同経営の誘いを断り、ドンの沈んだ電話を受け、愛していると告げたスタンを、自分も愛していると気づく。
ジャニュアリー・ジョーンズベティ・ドレイパー役
ドンの妻。郊外の完璧な暮らしに閉じ込められた元モデルで、夫の正体を知って彼のもとを去る。
クリスティーナ・ヘンドリックスジョーン・ホールウェイ役
会社を取り仕切る事務長。周りの男たちが突きつけるあらゆる要求をくぐり抜けて、共同経営者にのぼりつめる。
ジョーン・ホールウェイの物語
ジョーンはスターリング・クーパーの秘書たちを取り仕切り、かつてはロジャー・スターリングの恋人だった。婚約者の医師グレッグにドンのオフィスでレイプされ、それでも彼と結婚して会社を辞めるが、夫の出世の道は閉ざされていく。新しい代理店に事務長として戻り、夫がベトナムにいるあいだにロジャーの子を身ごもり、夫の子だと思わせたまま息子ケヴィンを産む。夫が自ら望んで戦地に戻ると知ると、彼を追い出す。自動車の販売業者が契約の条件に彼女と寝ることを求め、ピートがそれを持ちかけると、共同経営者の地位と引き換えに応じる。マッキャンで嫌がらせと侮りを受け、契約の価値の半額で辞める。自宅で映像制作の会社を始めると、恋人リチャードは去っていく。
ジョン・スラッテリーロジャー・スターリング役
機知に富み享楽的な共同経営者。地位を受け継いだ男で、意味を探して物語を漂う。
ヴィンセント・カーシーザーピート・キャンベル役
野心的で嫉妬深い営業担当。ペギーとのあいだに子をもうけ、ドンの秘密を暴き、最後はウィチタでやり直す。
この作品が問いかけるもの
『マッドメン』は、アメリカが自分自身を売ることを覚えた十年を、売る側の部屋の内側から見つめる。主人公は自分を作り上げた男で、作品がもっとも鋭く描くのは、その作り事が周りの女性たちに払わせる代償だ。男たちが動かすビルで、ペギーとジョーンは女性に開かれた二つの道を進む。一方は才能と度胸、もう一方は美しさと管理の腕。作品はその代償から目をそらさず、ジョーンが顧客と寝て得させられた共同経営者の地位まで描く。基本ケーブル局の作品として初めてエミー賞のドラマ作品賞を受け、四年連続で受賞した。第3シーズンの時点で、脚本家九人のうち七人が女性だった。最後の場面は最も議論を呼んだ。瞑想しながら微笑むドン、そして史上もっとも有名なコカ・コーラの広告。それが悟りなのか、彼がいちばん得意な手口なのか、作品は答えを開いたままにする。