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Cinema 月明かりの映画館

トゥルーマン・ショー

The Truman Show

1998映画アメリカ

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

自分の人生がテレビ番組だと知る男。『テラスハウス』が必要とする20年前に生まれたリアリティTVの寓話。

トゥルーマン・バーバンクは、陽光あふれる島の町シーヘブンで保険会社に勤め、生まれてから一度も島を出たことがない。彼は知らない。生まれたときにテレビ局の養子にされたことも、シーヘブンが巨大なドームの中に造られたセットであることも、自分の人生のすべてが隠しカメラで昼も夜も世界中に生中継されていることも。まわりの人間はみな俳優だ。会話にさりげなく商品の宣伝を差し挟む妻メリルも、幼なじみの親友マーロンも、母親も。番組の生みの親クリストフは、少年時代のトゥルーマンから父親を海の事故で「奪い」、水への恐怖で彼を島に縛りつけてきた。

トゥルーマンは学生時代に出会ったローレンを忘れられずにいる。彼女は浜辺で、この世界はすべて偽物だと伝えようとしたが、父親を名乗る男に連れ去られた。フィジーへ移ったと聞かされた彼女を、いつか探しに行くのが彼の夢だ。本当の名はシルビア。番組を追われた彼女は、外の世界でトゥルーマンの解放を訴えている。

放送が30年目に近づくころ、綻びが見え始める。晴れた空から照明器具が落ちてくる。彼の頭上にだけ雨が降る。カーラジオが彼の動きを実況する。死んだはずの父を街で見かけるが、その男はたちまち連れ去られる。島を出ようとすれば、あらゆる道がふさがれる。問い詰められたメリルは役を放り出して助けを求め、番組から姿を消す。クリストフは記憶を失っていたという筋書きで父を再登場させ、涙の再会で視聴率を取り戻す。

だがある夜、トゥルーマンは地下室から掘った抜け道を通って姿を消し、放送は史上初めて途切れる。見つかった彼は、水への恐怖を乗り越え、ヨットで島を離れようとしていた。クリストフはスタッフの制止を振り切って嵐を起こすが、トゥルーマンは進み続け、ヨットはやがて空の描かれた壁に突き当たる。そこには階段と、「出口」と書かれた扉があった。クリストフは空から語りかけて番組の真実を明かし、外の世界にもここ以上の真実はない、ここにいれば何も恐れることはないと引き止める。トゥルーマンはいつもの挨拶、「もし見かけなかったら、こんにちは、こんばんは、おやすみなさい」を口にし、お辞儀をして扉の外へ出ていく。シルビアが彼のもとへ駆け出す。世界中の視聴者が歓声を上げ、そしてすぐにチャンネルを変える。

主な出演

  • ジム・キャリートゥルーマン・バーバンク役

    島の町で保険会社に勤める男。自分の人生がまるごとテレビ番組であることを知らずに生きてきた。

    トゥルーマン・バーバンクの物語

    トゥルーマンは30年近く、一度もシーヘブンの島を出たことがない。少年のころ、嵐の迫る海で父に船を進めてとせがみ、父が溺れるのを目の前で見て以来、水が怖い。こっそり雑誌の写真から目を切り抜き、フィジーへ移ったと聞かされたローレンの顔を組み立てようとしている。晴れた空から照明が落ち、死んだはずの父と街ですれ違うと、彼は町を試し始めるが、島を出る道はことごとくふさがれる。問い詰められたメリルは役を放り出す。やがて彼は地下の抜け道から姿を消し、殺すなら殺せと叫びながらクリストフの起こした嵐の中を進み、描かれた空に突き当たる。空からの声に耳を傾けたあと、いつもの挨拶を口にし、お辞儀をして扉の外へ出ていく。

  • ローラ・リニーメリル・バーバンク役

    トゥルーマンの妻。実は役を演じる女優で、夫婦の日常に商品の宣伝をさりげなく挟み込む。

  • エド・ハリスクリストフ役

    番組の生みの親。トゥルーマンの人生を隅々まで演出し、自分の造った世界こそ彼を守ると信じている。

    クリストフの物語

    クリストフは番組の生みの親で、月の裏に隠された管制室からトゥルーマンの人生を演出している。島から出さないために父親の水難事故を仕組んだのも彼だ。インタビューでは、病んでいるのは外の世界だ、シーヘブンこそあるべき世界だ、トゥルーマンは自分の檻を好んでいる、と言い切る。綻びに気づいたトゥルーマンには、記憶を失っていた父との再会を用意して視聴率を取り戻し、新しい恋の相手まで考える。夜更けには、眠る彼を映す画面にそっと触れる。彼がヨットで島を離れると転覆させろと嵐を命じ、やがて止めさせる。壁の前で空から語りかけ、外にもここ以上の真実はない、ずっとお前を見てきた、と告げる。トゥルーマンはお辞儀をして去り、クリストフは打ちのめされる。

  • ナターシャ・マケルホーンローレン・ガーランド/シルビア役

    学生時代のトゥルーマンが恋した女性。真実を告げようとして番組を追われ、外の世界で彼の解放を訴える。

  • ノア・エメリッヒマーロン役

    幼なじみの親友。実は俳優で、クリストフから届く台詞どおりにトゥルーマンを慰める。

この作品が問いかけるもの

『トゥルーマン・ショー』は、ひとりの人間の人生そのものが娯楽になる世界を、テレビがその形式を見つける直前に描いた。翌年には『ビッグ・ブラザー』の放送が始まり、のちにニューヨークのベルビュー病院の精神科医は、自分の人生が放送されていると信じ込む患者たちの症状を「トゥルーマン・ショー妄想」と名づけた。作品が差し出す問題は、いまも大きくなり続けている。保護の顔をした監視、商品として売られる私生活、利益を得る者に書かれる人生、本人に一度も尋ねないまま彼を愛する観客。そして最後の問いは、檻を造った男の口から発せられる。外にもここ以上の真実はない、ここにいれば安全だ、とクリストフは言う。自由な人生は、見知らぬ人生と引き換えにする価値があるのか。映画はトゥルーマンを扉の外へ送り出し、その先に何があるのかは語らない。