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Cinema 月明かりの映画館

ヘルタースケルター

Helter Skelter

2012映画日本

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

全身整形で作られたトップモデルの崩壊。岡崎京子を蜷川実花の色彩で。

りりこは誰もが知るトップモデルだ。雑誌の表紙を独占し、映画にも進出し、女子高生たちの憧れの的になっている。その秘密を知るのは、彼女がママと呼ぶ事務所社長の多田寛子だ。りりこの体は、和智久子の違法な美容クリニックで、ほとんどすべてを作り変えたものだった。額に痣が浮かんだ日から後遺症が始まり、体を保つための手術はどんどん増えていく。りりこは苛立ちをマネージャーの羽田美知子にぶつけ、関係まで強いる。辱められた美知子は、かえって彼女の虜になっていく。一方、検事の麻田誠は、患者が次々と自ら命を絶っているクリニックを捜査し、りりこの正体に目星をつけていた。

整形前のりりこにそっくりな妹の千加子から手紙が届き、ふたりはひそかに再会する。やがて天然の美しさを持つ新人モデルのこずえが表紙を奪い始め、恋人でデパートの御曹司の南部貴男は、政治家の娘との婚約を発表する。りりこは薬に溺れていく。美知子の目の前で彼女の恋人の伸一を誘惑し、ふたりを操って南部の婚約者を襲わせる。水族館に現れた麻田は、クリニックを告発する証言を求め、りりこを本名で呼び、整形前の写真と書類を置いていく。りりこは拒む。幻覚に苛まれた彼女は、美知子にこずえを襲えと命じるが、遊園地で近づいてきた美知子に、こずえは冷ややかに、やれば、と言い、美知子は手を出せない。テレビの収録中にりりこは倒れ、多田は彼女に休めと告げる。

荒れたりりこの部屋を片付けていた美知子は、麻田の資料を見つけて世間に流す。人々はりりこの整形の話題に飛びつき、麻田の狙いどおり、クリニックの悪事も明るみに出る。りりこは記者会見を開き、無数のフラッシュを浴びながら、カメラの前で自らを傷つけて倒れ、そのまま姿を消す。

時が流れても、こずえはスターであり続けている。海外での撮影のあと、過激なショーで知られるクラブへ連れていかれたこずえは、美知子によく似た女を見かけ、扉の奥へあとを追う。そこにいたのは、クラブの女王として君臨する、美しいりりこだった。

主な出演

  • 沢尻エリカりりこ役

    全身のほとんどを違法な整形で作り変えたトップモデル。その美しさが崩れ始めている。

    りりこの物語

    雑誌の表紙を独占するりりこの額に痣が浮かび、整形で作り上げた体が崩れ始める。手術は増え続け、苛立ちをマネージャーの美知子にぶつけ、関係まで強いる。天然の美しさを持つこずえに表紙を奪われ、恋人の南部が別の女性との婚約を発表すると、薬に溺れ、美知子の目の前で彼女の恋人を誘惑し、ふたりを操って南部の婚約者を襲わせる。水族館では検事の麻田に本名で呼ばれ、クリニックを告発する証言を求められるが、拒む。幻覚のなかで美知子にこずえを襲えと命じ、テレビの収録中に倒れる。秘密が世間に暴かれると、記者会見を開いてカメラの前で自らを傷つけ、姿を消す。時が流れ、過激なショーで知られるクラブで、こずえは女王として君臨する美しいりりこを見つける。

  • 大森南朋麻田誠役

    りりこを整形したクリニックを追う検事。彼女の証言を求める。

    麻田誠の物語

    検事の麻田は、和智久子のクリニックの違法な整形手術を追っている。後遺症に苦しみ自ら命を絶った患者もいるが、クリニックには有力な後ろ盾があり、裁判に勝つには証言が要る。テレビに映るりりこを見て、彼はその正体に目星をつける。水族館で彼女の前に現れ、本名で呼びかけ、法廷で証言してほしい、勇気は美しいと語りかけるが、りりこは拒む。麻田は整形前の写真と書類を置いて去る。美知子がりりこの部屋でその資料を見つけて世間に流すと、麻田は情報漏れの責任を問われる。だがそれは最初から彼の狙いどおりだった。りりこの整形が明るみに出たことで、クリニックの悪事もついに報じられる。

  • 寺島しのぶ羽田美知子役

    りりこのマネージャー。虐げられ、辱められながら、彼女の虜になっていく。

    羽田美知子の物語

    美知子はりりこのマネージャーだ。顔に水を浴びせられ、八つ当たりを受け、ある夜には関係まで強いられるが、辱められた彼女は、かえってりりこに尽くすようになる。りりこはそんな彼女を変態女と罵り、目の前で恋人の伸一を寝取り、ふたりを操って南部の婚約者を襲わせる。やがて幻覚に苛まれたりりこに、こずえを襲えと命じられる。遊園地でこずえに近づくが、やれば、と冷ややかに言われ、手を出せない。荒れたりりこの部屋に残って片付けていた美知子は、麻田の資料を見つけ、世間に流す。時が流れ、過激なショーで知られるクラブで、こずえは美知子によく似た女を見かけ、そのあとを追って、りりこのもとへたどり着く。

  • 綾野剛奥村伸一役

    美知子の若い恋人。りりこに誘惑され、操られる。

  • 水原希子吉川こずえ役

    天然の美しさを持つ新人モデル。りりこの座を奪い始める。

  • 桃井かおり多田寛子役

    りりこが所属する事務所の社長。りりこにママと呼ばれ、整形の秘密をつくった張本人。

この作品が問いかけるもの

『ヘルタースケルター』は、消費されるために作られた体の物語だ。1990年代半ばに描かれた岡崎京子の漫画は、美しさを渇望し、それが少しでも崩れればたちまち牙をむく大衆のために、ほぼ全身を整形で作られたスターを想像した。劇中の雑誌の表紙を自ら撮影した写真家でもある蜷川実花監督は、それを、映画が告発する世界そのものの極彩色で撮った。りりこは周りの人々にとって怪物だが、映画はその残酷さを仕組みの一部として描く。彼女の体を売った事務所、その体で実験したクリニック、そして「見たいものを、見せてあげる」という宣伝文句そのままに見せ物を求める観客。興行収入21.5億円のヒットとなった。彼女が自らを傷つける瞬間にもシャッターは鳴りやまず、最後の場面は、こうした見せ物が終わらず、ただ舞台を変えるだけだと告げている。