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Cinema 月明かりの映画館

ある結婚の風景

Scenes from a Marriage

1973ドラマ・シリーズスウェーデン

465作品の星図のなかで見る

Moonlightの読みもの

Cinema『ある結婚の風景』と、愛が終わる前に壊れる会話この一篇を読む

ストーリー

結末まで書いています。

スウェーデンの離婚率を上げたと言われる全6回のテレビ作品。以後のあらゆる夫婦劇の雛形。

離婚訴訟を扱う弁護士のマリアンヌと、心理学の講師ヨハンは、結婚して十年、ふたりの娘がいる。女性誌の取材に、ふたりは理想の夫婦として語る。その夜の夕食では、招いた友人夫婦のピーターとカタリーナが食卓で互いを罵り合い、座は冷えきる。やがてマリアンヌは妊娠に気づき、中絶する。結婚生活は惰性で回っている。行きたくないのに断れない、実家での毎週の夕食。妻には見せず、同僚の女性に見せるヨハンの詩。どちらにも喜びのない性生活を、ふたりは穏やかに語り合う。

ある日ヨハンは、ずっと年下のパウラという女性を愛していると打ち明け、何か月も家を出ると告げる。ずっと出ていきたかったのだとも。友人に助けを求める電話をかけたマリアンヌは、多くの友人が自分より先に夫の浮気を知っていたことを思い知る。

しばらくして訪ねてきたヨハンは、クリーブランドの大学に職を得たと話す。セラピーで自分について学んだことを語るマリアンヌに、彼は耳を貸さない。彼女は離婚の手続きを済ませようと言い、再婚をほのめかす。書類に署名するために会ったふたりは、財産の分け方、娘たちの育て方、いまの恋人との性にマリアンヌが見いだした喜びをめぐって争い、口論はついに暴力に至る。ヨハンは打ちひしがれて署名する。

年月が流れ、ふたりはそれぞれ別の相手と再婚している。それでもひそかに会い、恋人同士として過ごす。結婚から二十年。友人の田舎の家で、マリアンヌは、結婚してまもない1955年に浮気をしていたことを明かす。夜中、悪夢から目覚めた彼女は、自分は誰も愛したことがなく、誰にも愛されたことがないのではないかとおびえる。ヨハンは彼女を抱き、自分たちなりの、不完全な愛で結ばれているのだと語りかける。

主な出演

  • リヴ・ウルマンマリアンヌ役

    離婚訴訟を扱う弁護士。結婚十年のヨハンとの暮らしを信じていたが、ある晩、彼に去られる。

    マリアンヌの物語

    マリアンヌは雑誌の取材に、自分たちの結婚は安定していると語る。気の進まない実家の夕食にも折れ、ヨハンがさっさと決めた中絶にも従い、それを恨む。パウラのもとへ行くと夫に告げられると、すがり、昔のよしみで抱いてと言い、それでも荷造りを手伝い、みな知っていたと思い知らされる。次に彼が来るころには立ち直っていて、セラピーで学んだことを読んで聞かせ、離婚を済ませようと言う。署名の夜、事務所の床で体を重ねたあと争いになり、彼に殴られる。結婚中にこう喧嘩していれば別れずにすんだかもしれない、と言う。年月が過ぎ、互いに再婚しても密かに会い、1955年の浮気を打ち明け、誰も愛さず誰にも愛されなかったのではという悪夢から目覚め、ヨハンの腕に抱かれる。

  • エルランド・ヨセフソンヨハン役

    心理学の講師。ずっと年下の女性のもとへ去るが、マリアンヌから離れきることはない。

    ヨハンの物語

    ヨハンは、少し得意げな心理学の講師として登場するが、詩を見せた信頼する同僚に凡庸だと言われる。パリから早めに帰宅すると、マリアンヌにパウラのことを打ち明け、ずっと出ていきたかったと言って家を出る。次に訪ねたときには、パウラとの暮らしに疲れていて、よりを戻したいとほのめかし、彼女がセラピーの記録を読むうちに眠りこみ、クリーブランドの大学に行くと告げる。離婚の書類に署名するため事務所で会った夜、ふたりは床で体を重ね、そのあと彼は激して彼女を殴り、打ちひしがれて署名する。年月が過ぎ、互いに再婚しても、ふたりは恋人として会う。友人の田舎の家で悪夢から覚めた彼女を抱き、自分たちなりの、不完全な愛で結ばれていると彼は語りかける。

  • ビビ・アンデショーンカタリーナ役

    夫婦の友人。夫ピーターとの惨めな結婚生活が、マリアンヌとヨハンの食卓でむき出しになる。

この作品が問いかけるもの

『ある結婚の風景』は、ひとつの結婚を何年にもわたって内側から見つめ、どちらも悪人でないまま結婚は終わりうること、そして終わったあとも続きうることを描く。ベルイマンは、リヴ・ウルマンとの関係を含む自らの経験をもとに、作品のほとんどを会話に委ねた。互いをわかっているつもりの夫婦の慎重な会話と、それを打ち砕く会話。1973年にスウェーデンのテレビ向けに少ない予算で作られ、視聴者の多くは女性だったという。放送の翌年に離婚率が倍増したという話が広まったが、のちに、この作品は結婚に起きていた変化の原因であると同時に症状でもあったと論じる批評家も現れた。劇場版はゴールデングローブ賞外国語映画賞を受け、リチャード・リンクレイターは自作の夫婦の映画を測る基準にこの作品を挙げている。