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Cinema 月明かりの映画館

ある結婚の風景(2021)

Scenes from a Marriage (2021)

2021ドラマ・シリーズアメリカ

465作品の星図のなかで見る

Moonlightの読みもの

Cinema『ある結婚の風景』と、愛が終わる前に壊れる会話この一篇を読む

ストーリー

結末まで書いています。

ベルイマンの結婚解剖を性別反転。今回は妻が去る側。

哲学教授のジョナサン・レヴィとテック企業の幹部ミラ・フィリップスは、幼い娘エヴァと居心地のいい家に暮らしている。結婚生活についての調査の聞き取りに、ふたりは満ち足りた、慎重な答えを返す。夕食に招いた友人夫婦ケイトとピーターは、開かれた結婚がほころびかけていて、ふたりの前で言い争う。その夜ベッドでミラは、妊娠していると打ち明ける。ふたりは迷い、産もうと話がまとまりかけるが、やがて考えを変える。病院でジョナサンは落ち着かず、処置のあと、ミラはひとりにしてほしいと言って泣く。

時が流れ、家で娘の世話をしているのはジョナサンのほうだ。ミラは吹雪の中を車で帰ってきて、仕事で知り合ったポリという男を愛してしまった、明日彼と出ていくと告げる。ふたりは夜通し言い争う。朝、スーツケースを閉められずにいるミラの代わりに、ジョナサンが荷造りをしてやる。

数か月後、ミラは家を訪ねてくる。思わせぶりで、迷いを抱えたまま。海外へ移る昇進を打診されたと言うが、ジョナサンはすぐに退ける。彼は結婚について書いた文章を読んで聞かせ、ふたりはキスをするが、彼がそれを止める。のちに家を売ることになった日、ミラは離婚の書類への署名を引き延ばし続け、ふたりは体を重ねる。仕事もポリとの関係も終わっていた彼女は、もう一度やり直せないかと言うが、ジョナサンはもう前に進んだと答える。出ていこうとする彼ともみ合いになり、引っ越し業者が着いたところで、ミラはようやく署名する。

数年後、ジョナサンの父の死をきっかけに、ふたりはひそかに逢瀬を重ねている。ジョナサンはジェーンと再婚して幼い息子がいて、浮気はこれが初めてではないと認める。彼は今は貸し家になっている昔の家を一晩借りる。かつての寝室ではうまくいかず、改装された屋根裏でふたりは結ばれ、終わることのない喪のような離婚について語り合う。ミラとエヴァのもとへたどり着けない悪夢から目覚めたジョナサンを、ミラは抱きしめ、ベルイマンの原作の一節を口にする。夜のさなか、暗い家で、世界のどこかで。そこで「カット」の声がかかり、ふたりの俳優はセットから歩き去っていく。

主な出演

  • オスカー・アイザックジョナサン役

    哲学教授で、子煩悩な父親。妻が去ったあと、娘を育てる側に残される。

    ジョナサンの物語

    ジョナサンは結婚生活についての聞き取りに、慎重に答える。ミラの妊娠に、ふたりは産もうと決めかけ、考えを変える。やがて娘エヴァを世話しているのは彼のほうだ。そこへミラが吹雪の中を帰ってきて、ポリのもとへ行くと告げる。朝、閉まらないスーツケースに彼が荷物を詰めてやる。数か月後、結婚について書いた文章をミラに読んで聞かせ、キスをするが、そこで止める。家を売る日には署名を迫り、体を重ねたあと、やり直したいという彼女に、もう前に進んだと答え、もみ合いの末に署名させる。数年後、ジェーンと再婚して幼い息子がいる彼は、浮気はこれが初めてではないと認め、昔の家を一晩借りてミラと過ごし、悪夢から覚めてミラに抱きしめられる。

  • ジェシカ・チャステインミラ・フィリップス役

    テック企業の幹部。別の男のもとへ走って結婚を離れるが、それを手放しきれない。

    ミラ・フィリップスの物語

    ミラはベッドで、妊娠しているとジョナサンに打ち明ける。ふたりは迷った末に産まないことを選び、処置のあと、ひとりにしてほしいと言って泣く。やがて吹雪の中を帰ってきて、ポリを愛してしまった、明日出ていくと告げる。朝、スーツケースを閉められずにいると、夫が荷物を詰め直してくれる。数か月後、思わせぶりに、迷いを抱えたまま家を訪ね、彼とキスをする。家を売る日には仕事もポリも失っていて、署名を引き延ばし、体を重ね、やり直せないかと言い、もみ合いのあとでようやく署名する。数年後、ひとりで暮らす彼女はジョナサンとひそかに会い、離婚を終わることのない喪にたとえ、悪夢から覚めた彼を抱きしめて、ベルイマンの原作の一節を口にする。

  • ニコール・ベハーリーケイト役

    ジョナサンとミラの友人。夫ピーターと開かれた結婚を送り、ふたりの食卓で、恋人との別れに打ちのめされている。

  • コリー・ストールピーター役

    ケイトの夫。ふたりの取り決めをめぐる口論が、夕食の席にまであふれ出す。

この作品が問いかけるもの

ハガイ・レヴィによる本作は、イングマール・ベルイマンの1973年のシリーズの形、互いを知りすぎたふたりの長い対話をそのまま受け継ぎ、中心の出来事だけを反転させた。今回、家を出ていくのは妻だ。そのひとつの変更が、作品の本当の問いを開く。結婚の中で世話をするのは誰か。女性は何を望むことを許されるのか。子どもとともに残された男は、それで小さくなるのか。夫婦の中絶にも率直で、ふたりで決めたことを別々に悲しむ姿を描く。ある批評は、ベルイマンの原作が1974年にアメリカで公開された際、妊娠と中絶の筋がそっくり削られていたことを指摘している。ふたりの俳優はほとんど会話だけでこれを演じ、画面はときおり撮影現場をのぞかせる。残るのは、ともに暮らせないのに愛するのをやめられないふたりがいる、という居心地の悪い可能性だ。