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Cinema 月明かりの映画館

セックスと嘘とビデオテープ

sex, lies, and videotape

1989映画アメリカ

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

不能の男が女性たちに性について語らせ、ビデオに収める。インタビューこそが親密さ。90年代のアメリカ独立系映画を変えた一本とされる。

ルイジアナ州バトンルージュ。アンは、有能な弁護士の夫ジョンと郊外の大きな家で何不自由なく暮らしている。けれど精神科に通い、夫に触れられると思うだけで嫌悪を覚えると打ち明けている。そのジョンは、アンの妹で、バーで働きながら絵を描く奔放なシンシアと関係を続け、妻の冷たさのせいだと自分に言い聞かせている。

そこへジョンの大学時代の友人グレアムが、部屋が見つかるまでの居候としてやってくる。放浪を続けてきた彼とジョンにはもう共通点がないが、アンとは気が合う。部屋探しにつきあう彼女に、グレアムは自分が性的に不能だと打ち明ける。後日、新しい部屋を訪ねたアンは、女性の名前が書かれたビデオテープの山を見つける。女性たちに性の体験や空想を語ってもらったインタビューで、グレアムはそれをひとりで見ることでしか満たされない。アンは動揺して帰る。入れ替わりに押しかけたシンシアは話を聞き出し、自分もカメラの前に座る。それを聞いたアンも、ジョンも凍りつく。

寝室に掃除機をかけていたアンは、妹の真珠のイヤリングを見つけ、夫と妹の関係を悟る。彼女はグレアムの部屋へ向かい、渋る彼を押しきって自分のテープを撮らせる。そして夫に離婚を切り出し、テープのことを告げる。ジョンはグレアムの部屋に乗り込んで彼を殴り、外へ引きずり出して締め出すと、テープを再生する。画面のアンは、セックスで満たされたことは一度もないと語り、グレアムと寝ることを考えたと認める。やがて彼女はカメラを彼に向ける。グレアムは、かつて病的な嘘つきで、その嘘が恋人エリザベスとの関係を壊したこと、区切りをつけるためにこの街へ戻ったことを語る。アンが彼に歩み寄ったところで、テープは終わる。

ポーチに出たジョンは、エリザベスとは彼女がグレアムとつきあっていたころに寝ていた、と言い捨てて去る。グレアムはカメラとテープをすべて壊す。しばらくして、ジョンは上司の部屋に呼び出される。アンとシンシアは、シンシアの働くバーで仲直りをする。アンはグレアムの家を訪ね、ポーチで彼の隣に並ぶ。雨になりそう、と言う彼女に、彼は答える。もう降っている。

主な出演

  • ジェームズ・スペイダーグレアム役

    ジョンの大学時代の友人。放浪の末に街へ戻った不能の男で、女性たちが性について語る姿を撮りためている。

    グレアムの物語

    グレアムは九年ぶりにバトンルージュへ戻ってくる。鍵は車の一本だけ、もう嘘はつかないと決めている。部屋探しにつきあうアンに、自分は不能だと打ち明け、テープの山を見つけられると、中身をありのまま説明する。シンシアにはテープを撮らせてほしいと頼み、アンに押しきられて彼女のテープも撮る。ところがアンにカメラを向けられると、かつて病的な嘘つきで、その嘘がエリザベスとの仲を壊したこと、区切りをつけるために戻ってきたことを語りだす。乗り込んできたジョンに殴られて部屋から締め出され、去りぎわに、エリザベスと寝ていたと告げられる。ひとりになった彼は、カメラとテープをすべて壊す。最後に、アンがポーチの彼の隣に腰を下ろす。

  • アンディ・マクダウェルアン役

    ジョンの妻。何不自由ない暮らしの中で精神科に通い、夫に触れられることを思うだけで嫌悪を覚える。

    アンの物語

    アンは家をすみずみまで磨き上げ、精神科医には、世の中のごみがどこへ行くのか気になると話す。グレアムとは最初の晩から気が合うが、テープの山を見て怖くなり、あの人には近づかないでとシンシアに電話する。浮気をしているのかと夫に正面から尋ね、否定されると、その言葉を信じる。ところが寝室に掃除機をかけていて、妹の真珠のイヤリングを見つける。車でグレアムの部屋へ向かい、渋る彼に自分を撮らせる。カメラの前で、セックスに満たされたことは一度もないと言い、あなたと寝ることを考えたと認める。それからカメラを彼に向け、今度は彼に語らせる。その夜、夫に離婚を切り出す。しばらくして、シンシアの働くバーで妹と仲直りし、グレアムの家のポーチで彼の隣に座る。

  • ピーター・ギャラガージョン役

    成功した弁護士。妻の妹と関係を続け、その理由を妻の冷たさに押しつけている。

    ジョンの物語

    ジョンは順調な弁護士で、アンの留守に妻の妹シンシアを家に呼び、夫婦の寝室で関係を持つ。彼女に会うために、大事な顧客との約束も動かす。変わり果てた旧友グレアムには、嫌悪を隠さない。浮気をしているのかとアンに問われると、否定して言いくるめる。グレアムのテープに出たとシンシアに聞かされると、彼を口汚く罵ってすべてを押しつけ、シンシアのほうから別れを告げられる。やがてアンに離婚を切り出され、彼女もテープを撮ったと知る。グレアムの部屋に乗り込んで殴りつけ、外へ締め出してテープを見る。そのあとポーチで、エリザベスと寝ていたとグレアムに言い放つ。しばらくして、浮気にかまけて顧客をおろそかにしてきた彼は、上司の部屋に呼び出される。

  • ローラ・サン・ジャコモシンシア役

    アンの妹。奔放な画家でバーテンダー。姉の夫と関係を持ち、グレアムのテープにも応じる。

    シンシアの物語

    シンシアは絵を描き、バーで働く。姉とのわだかまりはいつまでも解けず、その姉の夫と関係を続けている。グレアムには近づかないでと姉に言われると、まっすぐ彼の部屋へ押しかけ、テープの意味を聞き出して、自分も撮らせる。それを話すと、姉は凍りつき、ジョンはグレアムを罵ってすべてを彼のせいにする。そんなジョンに愛想を尽かし、彼女は別れを告げる。アンが寝室で見つける真珠のイヤリングは、彼女がなくしたものだった。しばらく姉妹は口をきかない。やがて姉が彼女の働くバーを訪ねてきて、ふたりは仲直りをする。

この作品が問いかけるもの

『セックスと嘘とビデオテープ』が見つめるのは、セックスレスであり不誠実でもある結婚と、目の前の相手に望みを言えない四人だ。触れられることに耐えられないアン、妻に嘘をつき妻の妹と寝るジョン、レンズを隔ててしか欲望を感じられないグレアム。映画は静かに、性について正直に語ることは性そのものより親密でありうると示す。グレアムが身を隠すカメラが、アンに初めて本音を語らせる道具にもなる。26歳のスティーヴン・ソダーバーグが120万ドルで撮ったこの作品は、1989年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受け、彼は単独の監督として史上最年少の受賞者となった。ジェームズ・スペイダーは男優賞を得た。90年代のアメリカ独立系映画を変えた一本とされる。結末にあるのはセックスではない。真実を告げ合ったふたりが、雨のポーチに並ぶ姿だ。