EN
メニュー

Cinema 月明かりの映画館

Thappad

2020映画インド

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

パーティーでの一発の平手打ち。彼女は離婚を申し立て、誰もが「そんなに酷かった?」と問う。

アムリター・サバルワールの一日は、夫より早く始まる。牛乳と新聞を受け取り、チャイを淹れ、植木に水をやり、夫のヴィクラムを起こして朝食を食べさせ、送り出す。これは自分で選んだ暮らしだ、と彼女は言う。かつてはダンサーを夢見ていた。いまは、夫を亡くした隣人シヴァーニーの娘サーニヤーにダンスを教えている。ヴィクラムはロンドン勤務への昇進を目前にしており、ふたりは自宅で祝いのパーティーを開く。その最中、一本の電話で、社内の駆け引きに昇進を損なわれたと知ったヴィクラムは、上司のラージハンスに食ってかかる。止めに入ったアムリターの頬を、彼は客たちの前で打つ。

大丈夫かと尋ねる者は、誰もいない。義母のスラクシャナーは客の相手に戻るよう促し、女は耐えることを覚えるものだと言う。ヴィクラムは仕事の重圧を語るばかりで、謝らない。アムリターは実家に身を寄せるが、母サンディヤーは娘が夫のもとへ帰ることを願っている。家に戻れという法的な通知が届くと、アムリターは著名な弁護士ネートラ・ジャイシンを訪ねる。ネートラは妥協を勧めるが、アムリターは離婚を申し立てる。ヴィクラムの弁護士は、偽りだらけの申し立てで応じる。やがて妊娠がわかり、ヴィクラムは和解金と引き換えに子の親権を求める。家庭内暴力で訴えると告げられ、彼は協議離婚に応じる。あの夜に口論した上司ラージハンスは、悪いのはきみだとはっきり告げる。

一発の平手打ちは、まわりの結婚をも揺さぶる。手柄を夫ローヒトのものにされ、その夫にレイプされてきたネートラは、すべてを捨てて出ていく。毎日のように夫に殴られてきた家政婦のスニーターは、ついに殴り返す。サンディヤーは夫のサチンに、結婚のために歌をあきらめたこと、そして夫が一度もその理由を尋ねなかったことを告げる。生まれてくる子のための祈りの集まりで、アムリターは義母に語る。あの夜、家族の誰ひとり自分の様子を尋ねず、ただ耐えろと言っただけだった、と。スラクシャナーは詫びる。

数か月後、出産を間近に控えたアムリターは、小さな部屋でひとり暮らしている。離婚を確定させる書類に署名するため裁判所へ出向いた日、ヴィクラムは初めて謝る。仕事は辞めた、きみにふさわしい人間になりたい、と。ふたりは離婚し、希望を残して別れる。

主な出演

  • タープシー・パンヌアムリター・サバルワール役

    夫の暮らしに一日を合わせてきた主婦。パーティーでの一発の平手打ちで、結婚に奪われてきたものに気づく。

    アムリター・サバルワールの物語

    アムリターは家の誰よりも早く起き、チャイを淹れ、毎朝同じ空を写真に撮る。夫ヴィクラムを中心に回る暮らしを、自分で選んだものだと言う。平手打ちのあと、大丈夫かと尋ねる者はいない。彼女は実家に移り、妥協を勧める弁護士をよそに離婚を申し立てる。夫に求めるのは自由だけだ。それでも義母の世話には毎日通い、妊娠がわかると、この子に父親はいるが私は戻らないと夫に告げる。夫の弁護士に偽りの申し立てを重ねられると、家庭内暴力で訴えると迫る。子のための祈りの集まりでは、家族の誰も尋ねなかったことを口にする。数か月後、小さな部屋でひとり暮らす彼女は離婚の書類に署名し、夫の初めての謝罪を聞いて、自分で車を運転して帰っていく。

  • パヴェイル・グラーティーヴィクラム・サバルワール役

    ロンドン勤務を目前にした会社員の夫。客の前で妻を打ち、それがなぜ問題なのかを理解できない。

    ヴィクラム・サバルワールの物語

    ヴィクラムの人生は計画どおりに進んでいる。ロンドンへの栄転、向こうで住む青い扉の家、家庭を回してくれる妻。だが自宅での祝いの席で、社内の駆け引きに昇進を損なわれたと電話で知ると、上司のラージハンスに食ってかかり、止めに入ったアムリターの頬を打つ。翌朝も自分の受けた屈辱を語るばかりで、謝らない。帰宅を命じる法的な通知を送り、弁護士には偽りだらけの申し立てをさせ、生まれてくる子の親権と引き換えに金を差し出す。ロンドン行きは結局かなうが、ラージハンスには、あの夜悪かったのはきみだと言われる。家庭内暴力で訴えると迫られて協議離婚に応じ、裁判所で初めて謝る。仕事は辞めた、きみにふさわしい人間になりたい、と。

  • マーヤー・サラーオネートラ・ジャイシン役

    アムリターに妥協を勧める著名な弁護士。自らも、見下され虐げられる結婚の中で暮らしている。

    ネートラ・ジャイシンの物語

    ネートラは、注目を集めたセクハラ裁判に勝ったばかりの弁護士だ。だが家では、テレビ記者の夫ローヒトが、きみが勝てるのはジャイシン判事の義理の娘だからだと言い、彼女をレイプする。車の窓から身を乗り出して外の空気を吸い込み、恋人のシェフ、プリヤンとは、誰にでも幸せになる権利があると語り合う。相談に来たアムリターには、自分がしてきたのと同じ妥協を勧め、次には多額の財産分与を求めさせる。だがアムリターが望むのは離婚だけで、その姿がネートラを動かす。最後に彼女は結婚写真を箱に詰めてローヒトのもとを去り、プリヤンとも別れる。これからは何をするにも幸せでいたい、と告げて。

  • タンヴィ・アーズミースラクシャナー・サバルワール役

    息子の世話のために夫婦と同居する義母。女は耐えることを覚えるものだとアムリターに説く。

  • クムド・ミシュラーサチン・サンドゥ役

    最初から娘の決断を支える穏やかな父。だが、妻が歌をやめた理由を尋ねたことはなかった。

  • ラトナー・パータク・シャーサンディヤー・サンドゥ役

    娘に波風を立てずにいてほしいと願う母。かつて自分も、歌う夢をあきらめた。

この作品が問いかけるもの

この映画が物語の土台に選んだのは、考えうるもっとも小さな暴力、たった一度の平手打ちだ。そして、それを小さなことだとは誰にも言わせない。問われるのは、ヴィクラムが暴力的な男かどうかではない。義母も、母も、弁護士でさえも、なぜアムリターにそれを呑み込ませようとするのか。そしてその期待が、彼女たち自身の結婚について何を語っているのか、だ。作品は家庭内暴力を、それが育つ静かな代償と並べて見せる。家を切り盛りする人になった元ダンサー、歌うのをやめた歌い手、手柄も同意も夫に奪われた弁護士。2020年2月に公開され、フィルムフェア賞で作品賞とタープシー・パンヌの主演女優賞を含む7部門を受賞した。最後に残るのは、アムリターがうまく言葉にできずにいたことだ。尊重が失われたなら、それだけで去る理由になる。