実践 · 第二の棚
自分の悦びを知る ― からだの地図、空想、そして年齢
自分の悦びは、誰かに教わるものではなく、自分で見つけるものです。この手引きでは、からだの地図の描き方、Gスポットとアナルの探り方、空想や好みとの付き合い方、そして20代から50代までに起こりやすい変化を、順に、具体的に説明します。急ぐ必要はありません。これは試験ではなく、長い旅です。
要点
- クリトリスの大部分はからだの内側にあり、見えるのは先端だけ。
- 自分の地図は、急がない観察の時間から生まれる。
- 空想も、年齢による変化も自然なこと。知ることで、分かち合えるようになる。
この手引きは、公開されている研究や資料にもとづく一般的な情報であり、医療上の助言ではありません。医師による監修はまだ受けていません。ご自身のからだ、健康、薬、妊娠や避妊については、医師や薬剤師に相談してください。
見えている部分、見えていない部分
クリトリスは、外から見える小さな突起だけではありません。見えているのはその先端(陰核亀頭)で、奥に本体が続き、左右に長い脚(陰核脚)が伸び、膣の入り口の両脇には、興奮すると膨らむ前庭球があります。全体の大部分は、皮膚の下にあるのです。だから、入り口のまわりや膣の前壁への刺激も、クリトリスの一部に届いています。
地図を描く
- 時間と場所:誰にも邪魔されない30分を。温かい部屋で、潤滑剤と手鏡を用意します。
- 見る:鏡で、自分の形をよく見ます。形や色は人によってまったく違い、どれも正常です。
- 触れる:まずは性器以外から。首、胸、内もも。それから、外陰部全体を手のひらで包みます。
- 変えてみる:強さ(羽のように軽く、しっかりと)、速さ、方向(円、上下、左右)、場所(クリトリスの真上、横、フードの上から)。
- 記録する:何が良かったかを、短くメモに。同じ触れ方でも、日によって、周期によって感じ方は変わります。
達することを目標にしないでください。今日の目的は、知ることです。
Gスポット
膣の入り口から3〜5センチほど奥、お腹側の前壁に、少しざらっとした、押すと独特の感覚がある場所があります。これがいわゆるGスポットです。現在の研究では、独立した「点」というより、クリトリスの内側の部分、尿道、膣の前壁が重なり合う領域として理解されています。
探し方:十分に興奮してから(この領域がふくらみ、見つけやすくなります)。清潔な指を入れ、お腹側に向けて「こっちへおいで」と手招きするように曲げます。軽くなでるより、しっかりとした圧を。尿意に似た感覚が来ることがありますが、事前にトイレを済ませておけば、たいていそのまま進めて大丈夫です。液体が出ることもあります(潮吹き)。これも正常です。
何も特別に感じなくても、それもまた正常です。感じ方は、本当に人それぞれです。
アナルの悦び
肛門のまわりは神経が豊富で、骨盤底のほかの部分と神経を共有しています。だから、ここへの刺激を心地よく感じる女性は少なくありません。大切なのは、ゆっくり進めることです。
- 準備:シャワーで十分です。浣腸は必須ではありません。爪は短く。
- 潤滑剤はたっぷりと:肛門は自分では濡れません。長持ちするシリコン系が向いています。
- 外側から:入り口のまわりを、指の腹で円を描くように。
- ゆるめる:息を吐きながら、骨盤底をふわりと下げます(骨盤底の手引きの「ゆるめる」練習がそのまま役立ちます)。肛門には、意識で動かせる外側の括約筋と、意識では動かせない内側の括約筋があり、内側がゆるむには時間がかかります。
- 一本の指から:入り口で止まり、自然にゆるむのを待ってから、少しずつ。
- 決まりごと:おもちゃは必ず、根元に広がり(フレア)のあるものを。肛門から膣へは、洗うかコンドームを替えるまで移らない。痛みを消す麻酔クリームは使わない(痛みは止まる合図です)。痛みや出血があればやめる。パートナーとなら、性感染症予防にコンドームを。
空想と好み
性的な空想は、ほとんどすべての人が持っています。支配されること、見られること、複数の相手、禁じられた場所。大規模な調査では、「珍しい」と思われがちな空想の多くが、実はありふれたものだとわかっています。そして、空想は願望でも計画でもありません。頭の中で自由に遊べるのは、そこが安全だからです。
くり返し現れる空想には、場面の奥に「テーマ」があります。委ねること、選ばれること、見られること、許されること。場面ではなくテーマに気づくと、現実の関係の中で何を求めているのかが見えてきます。
試してみたくなったら:
- 「はい・いいえ・たぶん」リスト:やってみたいこと、したくないこと、条件つきならいいことを、ふたりで書き出して見せ合います。
- 小さく始める:目隠し、手首を軽く押さえる、言葉で導く。
- 止める言葉を決める:「やめて」が遊びの一部になりうるときは、別の合図を。
- 終わったあとに:抱きしめ、話す時間を(アフターケア)。
空想が苦しさや自分を責める気持ちを伴うときは、セックスセラピストに相談できます。
落ち着いて進むために
目覚めには、決まった時刻表はありません。
- 結果より好奇心:達したかどうかではなく、何に気づいたかを数える。
- 恥の声を聞き分ける:「こんなことを感じるのはおかしい」という声が聞こえたら、それが誰の声なのか(親、学校、昔の恋人)を考えてみる。多くの場合、それはあなた自身の声ではありません。
- 反応は評価ではなく、情報:あまり感じない日も、失敗ではありません。疲れ、ストレス、周期、薬、関係の空気。からだはそれを正直に伝えているだけです。
十年ごとのプログラム
年齢によって、からだも暮らしも変わります。下の表は、多くの女性に起こりやすいことの目安で、すべての人に当てはまるわけではありません。ライブラリーの「Decade by Decade」と合わせて読んでください。
20代
からだの地図を描く。週に数回、急がないひとりの時間。
自分の反応を知る時期。「演じる」ことと「感じる」ことの違いに気づく。
性感染症の検査を習慣に。避妊の選択肢を知る。
挿入時の痛みが続く。一度も達したことがなく、それがつらい。
30代
応答的な欲望を育てる。予定に入れた悦びの時間。
仕事、出産、育児で欲望が後回しに。授乳中は潤いが減ることがある。
出産後は骨盤底のケアを。潤滑剤を常備。
何か月も欲望がなく、それが苦しい。産後の痛みや尿もれ。
40代
時間をかけた前戯。骨盤底と血流を保つ。
周期の変化、潤いの減少、興奮に時間がかかる。「これでいいのか」という問い直し。
更年期について知る。話しやすい婦人科を見つけておく。
性交痛、眠りや気分の大きな変化、不規則な出血。
50代
保湿剤と潤滑剤を味方に。ゆっくり、長く。
閉経後の乾燥や組織の変化はよくあることで、治療できる。避妊や子育てから解放され、欲望がシンプルになる人も。
腟の保湿剤や、必要なら処方の局所エストロゲンについて医師と話す。
痛み、頻尿や尿の不快感。閉経後の出血は必ず受診を。
パターンを読む
三か月ほど、短い記録をつけてみてください。日付、周期の何日目か、眠り、ストレス、お酒、その日の欲望の強さ(0〜5)、試したこと、感じたこと。多くの女性が、周期の中で欲望が高まる時期や、眠りや緊張との関係に気づきます。パターンが見えると、自分を責める代わりに、自分を理解できるようになります。それが、成熟するということの、ひとつのかたちです。
出典と、この手引きの性格
- 研究 臨床や実験の研究に裏づけられ、出典を末尾に示しています。
- 体験 合う人と合わない人がいるもの。約束ではなく、試してみる提案として。
- O'Connell, H. E., Sanjeevan, K. V. & Hutson, J. M. (2005). Anatomy of the clitoris. Journal of Urology, 174(4), 1189–1195.
- Jannini, E. A., Buisson, O. & Rubio-Casillas, A. (2014). Beyond the G-spot: clitourethrovaginal complex anatomy in female orgasm. Nature Reviews Urology, 11(9), 531–538.
- Joyal, C. C., Cossette, A. & Lapierre, V. (2015). What exactly is an unusual sexual fantasy? Journal of Sexual Medicine, 12(2), 328–340.
- Lehmiller, J. J. (2018). Tell Me What You Want. Da Capo Lifelong Books.
- The NAMS 2020 GSM Position Statement Editorial Panel (2020). The 2020 genitourinary syndrome of menopause position statement of The North American Menopause Society. Menopause, 27(9), 976–992.
- Basson, R. (2000). The female sexual response: a different model. Journal of Sex & Marital Therapy, 26(1), 51–65.
この手引きは、私たちが参照できた情報にもとづく一般的な内容です。医療上の助言ではなく、医師の監修を受けていません。ご自身のからだ、健康、薬については、医師に相談してください。
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