実践 · 第二の棚
骨盤底の手引き ― 締める、ゆるめる、深く達する
骨盤の底には、ハンモックのように張られた筋肉の層があります。内臓を支え、排尿や排便をコントロールし、そしてオーガズムのときには波のように収縮する。文字どおり、悦びを担う筋肉です。この手引きでは、場所の見つけ方から、鍛え方、ゆるめ方、そしてセックスの最中の使い方までを、ぼかさずに説明します。
要点
- 骨盤底は、内臓を支え、オーガズムのときに波のように収縮する筋肉。
- 締めることと同じくらい、ゆるめることが大切。
- 毎日数分の練習が、感覚とオーガズムの深さを変えていく。
この手引きは、私たちが参照できた情報にもとづく一般的な内容です。医療上の助言ではなく、医師の監修を受けていません。ご自身のからだ、健康、薬については、医師に相談してください。
この手引きは、公開されている研究や資料にもとづく一般的な情報であり、医療上の助言ではありません。医師による監修はまだ受けていません。ご自身のからだ、健康、薬、妊娠や避妊については、医師や薬剤師に相談してください。
どこにあるのか
骨盤底筋は、前の恥骨から後ろの尾骨まで、左右の坐骨のあいだに広がっています。その中を、前から順に尿道、膣、肛門の三つの通り道が抜けています。筋肉はこの通り道を8の字に取り囲み、締めると内側へ、上へと引き上げます。オーガズムの最中に感じる規則的な脈動は、この筋肉がおよそ0.8秒間隔で収縮しているものです。
見つける
まず、場所を確かめます。方法は三つあります。
- 想像する:おならを我慢する、尿を途中で止める。その「締めて、引き上げる」感覚です。ただし、実際に排尿を途中で止める練習はしないでください。膀胱に負担がかかります。
- 指で確かめる:清潔な指を一本、膣に浅く入れて締めてみます。指が握られ、奥へ引き込まれる感覚があれば、正しく使えています。
- 鏡で見る:脚を開いて座り、締めたときに会陰(膣と肛門のあいだ)が小さく持ち上がるかを見ます。
お尻、太もも、お腹に力が入っていたら、それは別の筋肉です。息は止めずに。
毎日の基本
- ゆっくり締める:吐く息に合わせて締めて引き上げ、5秒保ちます。それから5〜10秒かけて、完全にゆるめます。これを10回。
- すばやく締める:1秒締めて、1秒ゆるめる。これを10回。
- 1日3回。横になっても、座っても、立っても行えます。
6〜8週間かけて、保つ時間を10秒まで伸ばします。変化を感じはじめるのは、たいてい数週間後からです。ゆるめる時間は、締める時間と同じくらい大切です。
ゆるめることを覚える
締めすぎもまた問題です。挿入時の痛み、こわばり、なかなか達せないといった悩みの多くは、弱さではなく、ゆるめられない緊張から来ています。逆の動き、リバース・ケーゲルを覚えましょう。息を深く吸いながら、骨盤の底がふわりと下がり、広がるのを感じます。いきむのではなく、ほどく感覚です。横隔膜と骨盤底は呼吸に合わせて一緒に動き、吸う息で下がり、吐く息で戻ります。痛みがある方は、締める練習の前に、まずこちらから始めてください。
セックスの最中に
膣の締まりは、生まれつきの形よりも、興奮と筋肉のコントロールで決まります。十分に興奮すると、膣は奥へ伸び、広がります。だから、急がないことが、ぴたりと合うためのいちばんの近道です。
挿入中は、パートナーの動きに合わせて、軽く締めてはゆるめる「パルス」を入れてみてください。強く締め続けるより、リズムのほうが、ふたりとも感じやすくなります。上になる体位のように、自分でペースを決められる形だと、コントロールしやすくなります。
より長く、より深く
- 急がずに高める:興奮がゆっくり積み上がるほど、オーガズムは深くなる傾向があります。
- 寄せては返す:達しそうなところまで近づいたら、刺激をゆるめて少し戻る。これを3〜4回くり返します(エッジング)。
- 息を止めない:頂点が近づくと息を止めがちですが、ゆっくり長く吐きつづけると、感覚が広がりやすくなります。
- 骨盤底で迎える:頂点の直前にリズミカルに締めると、収縮が強く、長く感じられることがあります。反対に、ふっとゆるめて押し出すほうが強く感じる人もいます。両方試してみてください。
二度、三度
一度目のあと、クリトリスは触れると痛いほど敏感になることがよくあります。止めずに、刺激を軽くするか、場所をずらし(まわり、内もも、胸)、興奮を落とさないまま少し待つ。そして、また戻る。多くの女性がこうして続けて達することができますが、それは目標ではありません。一度で満ちたなら、それで十分です。
脳イキ:触れずに達する
性器に触れずに、呼吸と意識とイメージだけで達する、いわゆる「脳イキ」は、作り話ではありません。1992年の小規模な研究では、イメージだけでオーガズムに達した女性の生理的な変化が記録されています。ただし、誰にでも起こるわけではなく、練習と相性があります。
練習のしかた:横になり、ゆっくり深く呼吸します。吸う息で骨盤の底がゆるみ、吐く息で軽く締まる。そのリズムに、心が動く場面の想像を重ねていきます。波が来たら追いかけず、呼吸とパルスを保ったまま、ただ広がるのを待ちます。
専門家に相談するとき
次のような場合は、婦人科、または骨盤底を専門とする理学療法士に相談してください。セックスのときの痛み、尿もれや便もれ、膣の中の重さや、何かが下がってくる感覚、出産後や閉経後の変化。練習で痛みが出たら、すぐにやめてください。
出典と、この手引きの性格
- 研究 臨床や実験の研究に裏づけられ、出典を末尾に示しています。
- 体験 合う人と合わない人がいるもの。約束ではなく、試してみる提案として。
- Masters, W. H. & Johnson, V. E. (1966). Human Sexual Response. Little, Brown.
- Whipple, B., Ogden, G. & Komisaruk, B. R. (1992). Physiological correlates of imagery-induced orgasm in women. Archives of Sexual Behavior, 21(2), 121–133.
- Dumoulin, C., Cacciari, L. P. & Hay-Smith, E. J. C. (2018). Pelvic floor muscle training versus no treatment, or inactive control treatments, for urinary incontinence in women. Cochrane Database of Systematic Reviews.
- NICE (2021). Pelvic floor dysfunction: prevention and non-surgical management (NG210).
この手引きは、私たちが参照できた情報にもとづく一般的な内容です。医療上の助言ではなく、医師の監修を受けていません。ご自身のからだ、健康、薬については、医師に相談してください。
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